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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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フィオラ15歳 学園生活が始まりました2

男性寮と女性寮は建物自体が別で、二つは幅20mの並木道を挟んで向かい合っている。

その並木道は校舎へ行き来するためのメインの道路であり、その通学路をフィオラがエリサ達と帰寮している時だった。

寮まであと少しという所で一人の男子生徒が近寄ってきて、ボウ・アンド・スクレープの左手を腰の後ろに回した状態で挨拶をしてきた。

それは貴族としては無礼な行いにあたるので、彼を見とがめたエリサがフィオラの前に立ちはだかり、苦言を呈した。


「左手を前にお出しください。そして何も持っていないと示してください」


ただの侍女が何を言うと言わんばかりの不快な表情を浮かべた男子生徒に対して、フィオラが扇で口元を隠しながら畳みかけた。


「ふふ。学園で貴公子としての挨拶を学ばれることを期待いたしますわ」


そう言い放って「では、ごきげんよう」と立ち去ろうとすると、男子生徒は左手に隠し持っていた瓶を投げつけてきた。

それをシアが守りの盾ではなく風属性の攻撃魔法で防いだため瓶が割れ、ガラスの欠片と中の液体は全て持ち主に返っていった。


「うわああああああ!」


男子生徒はとっさに守りの盾を展開できず、ガラスによって怪我を負い、薬液のせいなのか体を真っ赤にしてもだえていた。


「……これはどういうことかしら?」

「フィオラ様、近寄ってはなりません」

「おそらくですが、媚薬の類いが使われているのではないかと。リュドさんがいればすぐに分かったと思うのですが」

「私がやってもいいんだけど……」


そんな会話を交わしていると、同じく帰寮途中の生徒たちがわらわらと集まってきた。

それと同時に、シアの攻撃魔法が学園内の魔力監視網に引っかかったのか、教師が学園警備隊を引き連れてやってきた。


「一体何があったのか、説明できますか?」

「それが……」


フィオラが応えようとするのを遮るように、息を荒くした男子生徒が教師に向かって哀れみを請う表情と供に訴えかけた。


「ドラコメサ嬢がいきなり攻撃を、瓶を僕にぶつけてきたんです!」

「……それで?」

「それを防ごうとしたら割れて、こんな目に……しかも中の液体がかかってから僕の体がおかしいんです! なんか、心臓がその、拍動が強くなりっぱなしで」


騒ぐ彼を助こした警備隊の人間が、ガラスの欠片をよけてやり、液体を拭い取っていた。そしてそれに対して鑑定魔法を一人がかけていた。


「媚薬のようです」

「やっぱり! ドラコメサ嬢が僕に、僕を籠絡しようと、媚薬を……」

「そんなことをしてフィオにどんな利点があるというんだ?」

「そうですわ。男爵子息のあなたをどうにかする必要がどこに、それもドラコメサ女領主にあるというのかしら?」


そこに集ってきた生徒の中にいたビアとマリエラが、フィオラが反論する前に突っ込みを入れてきた。


「そんな利点は思い浮かびませんわ、ビア様。この方は男爵子息だったのですね、マリエラ様」

「あらあら、フィオ様。この方のことを覚えておられなくて?」

「ほほほ、初対面でしてよ」

「……その話し方を続けるのか?」

「あら、淑女として」

「当然の言葉遣いですわ」


ハイクラス子女3人組の会話に誰も突っ込みを入れないため話が少しそれてしまったが、そういったものに慣れているのか警備員はフィオラの前に立つと「ブローチの提示を」とクールに対応してきた。

もちろんですわとフィオラが自分のものと、エリサとシアの入校許可証代わりのブローチを差し出した。

その3つを順々に持っていた石板の凹みにはめ込み情報を読み取ると、三人にブローチを返しながら相手をじっと眺め、最後はフィオラに視線を戻した。

フィオラはそれに対して扇越しににっこり笑うと警備員は一礼して男子生徒のもとに歩み寄った。

同じく提示を求め、彼のブローチも読み取った。


「結果は二つの魔法使用が確認されました。ドラコメサ様の侍女の風属性の衝撃波と音拡散魔法です」

「音拡散魔法?」

「わたくしの侍女の得意魔法でして」

「ええ、フィオ様たちの声はわたくしにも聞こえておりましたわ」

「だから急いで駆けつけた」

「こ、声が何だと……」


そんなものが何の証拠になるのだと言いたかったのだろうが、


「左手を後ろに隠していた時点で怪しいだろう。そして風の音がして瓶が割れる音がした。それに相当する魔法は、この場合『風の衝撃波』しかない。それで割れたということは、投げたのは貴様だ。違うか?」


ビアのストレートで容赦のない口撃に、男子生徒は何も言い返せなかった。

そしてうなだれてしまった男子生徒は治療の為もあり、警備員に連行されていった。


「フィオ様、大変でしたわね」

「仕方がありませんわ。学園の警備隊は学園内で起きる可能性のある大きな事態に備えて要所に配置されておりますけど、通学路の全てに配置するわけにはまいりませんものね」

「本当に……わたくしは殿下の婚約者ということで小さな事態にも備えられるようになっておりますけど」


そう言いながらマリエラはちらりと自分の護衛に視線を送った。


「このようなことが続くと怖いので、我が家から警備のものを出すように、もう一度申請してみますわ」


フィオラは不安でいっぱいだという声色で、けれど強い視線を扇越しに教師に送って、暗に「やっぱり護衛がいないと危険じゃない!」と告げると、皆で寮に帰っていった。

フィオラは部屋に戻ってすぐに王都屋敷に連絡を入れた。

すると翌日、リュドを引き連れたフォルトが学園側に異議申し立てをし、フィオラにも警備を付ける許可をもぎ取った。

なんせ件の男子生徒が、


「フィオラ嬢と繋がりを持てれば、男爵次男の自分の立場が上がると思った。だから媚薬を使って篭絡しようとした。失敗したところで罪をなすりつければ何らかの利権を手に入れられると思った」


と浅はかな理由を自白したのが大きかった。

この一件だけなら学園側も拒否できただろうが、夜にもう一つ事件が起きたため無理だった。

入学式でようやくフィオラの顔を知った子爵子息が夜這いをしようとして、夜間の警護を任していた侍女に撃退されたのだった。

これにより『ドラコメサ領主には警護が必要』と認定されたのだった。



PS.

「これで来年僕も護衛付きで学園生活を送れます」

「それ重要! フォルのお嫁さんは私が吟味して決めるから!」

「……そこですか」

「そこが重要よ!」

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

とても励みになりますし、頑張る気力にもなります。


少し短めですが、ちょうどいい切れ目だったのでここまでにしました。

何とか火曜日中に仕上がってホッとしております。

次は閑話を挟む予定です。


そして来週はまたどうなるかわかりません(週末に予定が立て込みました)。

でも、書くこと自体が楽しいので頑張ります♪

これからもよろしくお願いします^^

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