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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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フィオラ15歳 学園生活が始まりました

毎年8月28日土曜日は、王立高等学園の入寮日だ。

午前中に寮に引っ越し、寮内の案内と生活ルールの説明を兼ねて寮での初めての食事である昼食を、新入生が全員そろって食堂で取る。

その日の夕食からは食堂で食べるもよし、料理を受け取って部屋で食べるもよし、各々の召使が作った料理を食べるもよしとなっている。

伯爵以上の貴族たちは従者だけでなく召使を連れて寮に住むものがほとんどだ。該当する者の多くは簡易の台所が設置された使用人部屋が併設されている一人部屋に住む。

更にハイクラスで役職・爵位持ちの為に、その他来客が多い貴族子女のために、書斎・居間・寝室のある『学生・使用人以外が入室できる部屋』も男女各5部屋用意されていた。

フィオラとマリエラはもちろんその大部屋を借りていた。マリエラは王子妃教育の場所として、フィオラは領地経営とフィディとの仕事の為に、どうしても来客が許される部屋が必要だった。

それ以外に貴族用の1ルームと二人部屋、主に平民用の4人部屋があり、貴族は各々の経済力に合わせて部屋を選び、平民は無料で借りられるのだった。


翌9月1日日曜日は入学式が行われる。

入学式は講堂で行われ、緩い弧を描いた階段状の席に、貴族の子女が成績順に中央のエリアに座り、左右のエリアに平民がやはり成績順に座る。

伯爵以下の参列客はその後ろに、やはり貴族の家格の高い者が中央前列に座り、そこから左右に広がっていく。

貴族が座り終えた後、平民の有力者が座り、あとは子供の成績順に席が空いていれば座り、それ以外は通路に立って式の進行を見守ることになる。

ハイクラスの貴族の家族は2階席と言われる後方上部にある席に座り、主賓たちは同じく2階の左右にあるボックス席で観覧する。

国王夫妻はさらに奥の、舞台上手上部に専用ボックス席がある。

上級生の代表や参列客、そして来賓が着席してから新入生の入場となる。国王夫妻が最後に入場されて、皆で挨拶をしてから着席すると説明されていた。

この世界にも音を録音して流す魔道具は存在するが、国王夫妻が参列するような催し物の場合、王宮楽団が生演奏するのが慣例だ。

学園の入学式も舞台のカーテンの裏に楽団がいるらしく、そちらから新入生歓迎のための曲が聞こえてくる。

その中をフィオラはマリエラに続いて新入生の席に案内された。

制服を着ての初めての行事に、フィオラの胸はドキドキしっぱなしだった。


制服はパフスリーブのドレスシャツに、襟付きのベストに、ロングスカートになっていて、こういう公式行事用にブレザーも用意されていた。

ちなみに男子の制服は、すっきりとした肩口のドレスシャツと襟付きのベストとすっきりとしたスラックスだ。

ロイヤルブルー(瑠璃色)より明るいセルリアンブルーの地色に、ベストの襟と肩回りやブレザーとシャツの袖口に紺色の縁取りが、さらにスカートとズボン脇にそって2本の紺色のラインが入れられていた。

ベストとブレザーの胸ポケットには学園のマークが刺繍されており、ベストにはよく見れば織り模様で小さなツタとバラが描かれていた。

バラは王家の子供の象徴。ツタは聖竜様が全ての人に這わせている精神網の象徴。

この学園の生徒はすべからく国と聖竜の子供だと言い表していると言われている。

そしてドレスシャツの首元に女性は白いリボンを、男性は白いクラバットをつけることになっており、それを止めるブローチの色で家柄が分かるようになっていた。

辺境伯以上のハイクラス貴族の黄色、伯爵家の黄緑、子爵男爵家の緑と平民のオリーブグリーン。

また、王族はロイヤルブルーでドラコメサは赤茶色と決められている。

このブローチは魔法陣を組み込んだ焼き石――七宝焼きのようなものでできており、これは生徒手帳の代わりであり、どこにいてどのような魔法を使ったか等を記録されるものでもあるので、学園内で問題が起きたときに一番に提出を求められる物でもある。

そんな物まで身につけていては、気を引き締めなければと緊張して当然だった。


まだゲームが始まる1年前だからか、何の問題も起きずに滞りなく式は終了し、外に出た参列者と新入生はしばしの別れを建物の前の広場で惜しむことになる。

全寮制であるために、入学式以降は王都住まいなら週末ごとに会えそうなものだが、遠くの領地から来ている生徒は長期の休み以外は家族に会えなくなる。

フィオラもそうだ。フォルトにはあと1年領地経営に力を入れてもらわねばならない。

二人が学園に通う3年間はどうしても遠距離からの指示しかできなくなるので、その下準備もフォルトに任された仕事だった。


「フォルト、大変だろうけどよろしくお願いね」

「大丈夫ですよ、姉さま。領城の皆もサポートしてくれますから」

「そうね。皆で頑張ってね」


そんな会話を交わした後、フィオラは同じクラスのメンバーが集まっている場所に行き、皆と教室に移動した。

そして軽いオリエンテーションの後、昼食を挟んで選択授業の説明が行われ、どれをとるかを下校時間までに決めるようにと説明された。

選択授業は自分が取りたいものが取れる。多くなりすぎたらクラスを2つに分け、少なすぎても少人数で行われる。

また来週中なら選択授業の変更も認められる。

選択してみたものの、やはり自分には合わないや違う方を先に取った方が良さそうだと判断する時間が必要だろうとの学園側からの温情だった。


未来を決めるのは自分自身だ。


そう言われているようなものだったが、だからこそ生徒たちは入学前から吟味し、実際の説明会を回ってどれをいつ取るのかを決めるのだった。


(……来年、あの子はこれができるのかしら……本当に不安しかないわ)


フィオラはどれを取るか決めて提出書類を書き、間違いがないか見直しながらも、どうしてもそんな不安な気持ちが心から離れなかった。

父親の養女でさえなければと、思っても仕方がないことを考えてしまうのも仕方がない話だった。


そんな気疲れをしながらも書類を提出し、寮の自室にフィオラは帰ることにした。

お供は侍女服に身を包んだエリサとシアだった。

ハイクラスの貴族は校内に従者を一人つけてもいいと案内に書かれていた。

王族とその婚約者=準王族は従者一人に護衛を一人、しかも護衛に至っては授業中も教室内で警護することができる。

ドラコメサの女領主という国として重要な立場にあるフィオラにも護衛をつけたいと願い出たものの、学園側から「学園内の守りは完全で、内部でも大きな事態は起きないからご安心を」と言われた以上、表だって護衛をつけることができなかった。

交渉の末、授業が終わった後にもう一人従者が出迎えるのは問題ないと言われたので、寮の行き帰りを侍女のエリサと護衛侍女のシアで、授業時間中は交代で付き添うことになっていた。

とりあえず入学式当日から問題を起こすものはいないだろうと思ったものの、念のためオリエンテーションが終わった頃にシアも合流し、警護に当たることにしたのだった。

そして懸念は現実化した(フラグは立っていた)

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

とても励みになりますし、頑張る気力にもなります。


漸くアップに至りました。

来週もどうなるかわからなくなったというか、今年度中はアップが不定期になる予感がしております。

もう一つ不測の事態が重なる予定が入ったのでorz

厄年じゃないはずなんですけどね。なんでしょうね、これ……って感じでバタバタしております。


本人はいたって元気なので、合間を縫って頑張ります(`・ω・´)

不定期になってもよろしくお願いいたします♪

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