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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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フィオラ11歳 父親一家の厚かましさは想定以上でした2

「リュド、発言を許します。さっきの二人の会話の意図を教えてもらえる?」

「では、昔話から致しましょう」


話は10年と少し前に(さかのぼ)る。

バルセロノの本教会で行われた魔力検査の儀の後の『聖竜様との語らいの時間』に教会内が騒然となった。

それの終わりが告げられるという時に、突然聖竜の声が教会内にいた聖職者たちの頭の中で響いた。


『セティオ・K・バルセロノを次の大司教に任ずる!』

『そしてもう一人、リュドルク・バニョレスを我が騎士ドラコミリに任ずる!』

『その証として、二人には祝福を与えた。確認するがよいぞ』


祈りが行われていた大聖堂内は大騒ぎになってしまった。

元々セティオは神童と言われていたのでそれほど意外でもなかったが、まさかこの地からドラコミリまで誕生するとはと、その場は大騒ぎになり、気がつけば教会関係者が二人を取り囲んだ後に拝礼をするという異様な光景が広がっていた。

これにはさすがのセティオもかなり面食らっていたそうだ。

その後、セティオは教会の手伝いの時に、リュドは冒険者としての活動の時に、教会関係者に出会ったが最後、よくて拝まれ最悪様々な人が行き交う道で拝礼されたそうだ。

その為リュドは冒険者たちからよくからかわれるようになり、冒険者と教会関係者を怒鳴りつけることで憂さを晴らしていた。

だが自身も教会関係者であるが故に、彼らの行動の理由がわかってしまう為に、文句も止めることもできずにいたセティオはストレスをためてしまった。

それに気づいたユルがリュドに相談し、リュドはとうとう教会内で爆発し30分間説教をするという暴挙に出た。


「お前らいい加減にしろ! 会うたび会うたび拝んだり土下座したりしやがって、うっとうしいことこの上ないわ!!」


リュドの叫びは聖竜様に祈りを捧げる教会関係者が集っていた大聖堂に響き渡った。


「リュド……あれは土下座ではなく拝礼をしているだけだよ」

「うるさい、セティオ。一般市民から見たらあれは土下座だ。だいたいお前は気持ちがわかるからと我慢したせいで、ストレスで食が細くなって痩せただろうが。ユルに心配かけるな。お前達、こいつは大事な次代の大司教なんだろうが! それに気が付かないってどういうことだ! 心と体調に配慮しろ、この聖竜馬鹿どもがーーー!」


その後続いた説教で言いたいことを言い切ったリュドは、その場で皆に約束させた。

 1、次代大司教とドラコミリに対する拝礼禁止。

 2、拝むのは一日一回だけ。

 3、拝んでいいのも一年間だけ。それ以降は拝まない。

この3つを教会関係者すべてに申し渡すことも当時の大司教に約束させ、「仕事があるから」とその場から去って行った。

不敬といえば不敬だが、司教たちも興奮しすぎていたとはいえやり過ぎたと反省し、その3つを受け入れることにし、ガルンラトリの全教会に申し渡したということだった。


「といったことがありましたので、彼女が準シスターである以上知っているはずだと思い、確認いたしました」

「……かなり思い切ったことをなさいましたのね」

「そこまでやらないと止まりそうにありませんでしたので。どうやら私が帰った後に、聖竜様からの『聞いてやれ』とのお言葉もあったようです」

「そうだったのね……でも聖竜様なら」

「爆笑されていたでしょうね」

「「えっ!?」」


この言葉にマリエラも驚きを隠せなかったが、詳細は秘密なのというフィオラの言葉にそれ以上は聞き出せなかったが、


「聖竜様は、皆様が思うよりも気さくで笑い上戸なのですよ」


と、リュドが同じ日にユルが聖竜の笑い声を聞いていたことも伝えたら、あっけにとられるも納得もしたようだった。

そしてグネスは少し考えた末に謝罪することを選んだようだった。しかし、


「される方はストレスが溜まる……その通りですよね。そんなことも忘れ、申し訳ありませんでした。これから1年で頑張って心落ち着かせられるように頑張りますが……その、今日は初めて出会ったということで、もう一度だけ拝ませていただけませんか?」


要望も一緒についてきたことにリュドは驚き、フィオラは驚いた後に笑い出してしまった。


「あははは、おかしいし、面白い……グネスは気が弱いんだか、押しが強いんだかわからなくてすごく楽しいわ」

「グネスは見た目や話し方で誤解されやすいようですけど、芯は強い子なのですよ。だからわたくしも大好きなの」

「ドラコメサ女領主様、マリエラ様」

「フィオよ。私のことはフィオって呼んで」

「そ、」

「恐れ多いも禁止。私はあなたとお友達になりたいの。だからフィオって呼んで」

「……フィオ様でもよろしいですか。高位貴族の方を呼び捨てにはいたしかねますので」

「ええ、それでいいわ」

「私のこともどうかリュドと。ドラコミリと呼ばれるのは落ち着きませんので」

「はい。よろしくお願いします、フィオ様、リュド様」


そう言うなりグネスが二人に向かってもう一度しっかりと拝むものだから、マリエラは扇の陰で微かだがクスクスと笑い声を漏らしてしまった。

そんなおかしなことになった自己紹介が終わると、入れ直したお茶を飲みながら歓談をし始めた。


「……そういえば去年バルセロノの教会を訪ねた時は何もされなかったんだけど」

「あの時は大司教様から箝口令が敷かれまして。まだお二人が幼いというのもあり、せめて学生になるまでは拝むのは禁止すると」

「なのにグネスは今回やっちゃったのね」

「申し訳ありません。突然至近距離でお会いしたら、どうにも我慢できず……」

「しょうがないってことにしておくわ」

「そうね、そもそもわたくしがいたずら心を働かせたのが悪かったのですもの。ごめんなさいね、グネス。フィオも」

「いえ、紹介していただいて本当に感謝しております。しかもお友達なんて……」


そう言うグネスの頬は赤らんでいたが、表情に喜びが浮かんでいるのがわかり、(照れているだけで、嬉しいのですね)と察したマリエラはとても満足げだった。

ふふふと笑いながらお菓子とお茶をたしなんでいると、フィオラは気づいてしまった。


「グネスは普通のお嬢様って感じね。ちょっと宗教色が強いだけで」

「そうですわね」

「それに比べて私たちというか私たち4人と来たら、我が強いというか頑固というか……」

「まあ、普通の貴族のお嬢さんの枠からは外れている気がしますわね」


マリエラは未来の王太子妃で、そのせいか杓子定規なところがあり、なにより友人の前でも言葉遣いを崩さないところが頑固と言える。

フィオラは領主として領地に引きこもっているし、どちらかと言えばきつい性格をしているし、普段の口調に至っては庶民に近い。

子爵家のフィディ(フィディス)は根っからの商人だし、辺境伯家のビア(ゼノビア)に至っては頭の先からつま先まで女騎士というか行動も考え方も全てが戦士といった感じだ。

そんな話をグネスにした後に、二人は彼女をじっと見つめてしまった。


「普通の女性がここに居りますわね」

「和むわ」


と言葉を交わした後に、うっかりグネスを拝んでしまった。そんな二人に拝まれた本人は慌てたが、


「ね、拝まれると落ち着かないでしょ? だから頑張って辞めてね」


とのフィオラの言葉に「頑張ります」と答えることができたのだった。


「一年と言いますけど、あなた達それほどお会いできるのかしら?」

「そういえば、グネスは王都住まいなのよね?」

「はい。ですが今月から2か月に1度はこちらに参る予定ですので」

「二か月に一度って、もしかして聖竜様への供儀の時に毎回参加されるの?」

「はい。父が大司教様の補佐として、荷車を運ぶ役目を引き受けることになりました」


グネスの父親が一番年の若い司教な上に光と土の属性もちで、リュドが考案した軽減魔法を習得できていた。そのために供儀の日に荷車を運ぶ役目を与えられたので、せっかくなので2か月に一度一家でこちらに来ることにしたそうだ。


「聖地巡礼を兼ねて、ご迷惑でなければ家族で山城までご一緒できたらと思っております」

「だったらいっそ、大司教様と一緒に領城に泊まっていけばいいわ」

「!!」

「ふふ、一緒に過ごす中で慣れてね」


フィオラの提案と優しさといたずら心が混ざった笑顔に、熱が上がったグネスは「あぁ……」と小さい悲鳴を上げてソファーの上で倒れたのだった。

その様子を見て考慮したフィオラは、「慣れてもらうには、なるべく一緒に居た方がいい気がしますの」と大司教にお願いし、グネスの一家は次の供儀の時から領城で泊まることが決定してしまうのだった。

決して面白がってではないわよと、弟には語っていた。

しかしフォルトとしても慣れてもらった方がいいと判断し、姉の意見に賛成することとなった。


それというのも……1月10日にグネスの一家が別荘に到着したと一報が入り、フィオラとフォルトの二人はせっかくなのでと挨拶をしようと彼らが借りた別荘を訪れた。

先触れは出しておいたので到着してすぐ応接間に案内されたのだが、エンツアスモ家の執事が扉を開けた瞬間目に入ってきたのは、伯爵一家の綺麗にそろった拝礼だった。しかも最上級の、体のすべてが床の一部と化しているのではと思うほど平たくなっていた。


「グネス!?」

「お許しくださいフィオ様。聖竜様とお言葉を交わし、直接祝福を頂いたお二人は、私たち竜教関係者からすれば聖竜様と同等のお方になるのです。やはり一度は拝まずにはいられません」

「なんでこんな時に気の強さを発揮してるのよ!」


マリエラの別荘での一件を聞いて「面白い目にあいましたね」と笑っていたフォルトだったが、自分がされてみて笑い事じゃないと気づいたものの、どうしていいかわからず固まってしまった。

そんなことがあったので、切実になれてもらわなければとフォルトは痛感したのだった。

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

とても励みになりますし、頑張る気力にもなります。


グネス一家のは正しき聖地巡礼です(`・ω・´)

書ききれませんでしたが、グネスにも10歳の弟フィデロがいてマリエラの弟を通じてフォルトと友人になります。

もう一人7歳のクララという妹がいるので、大人二人子供三人の拝礼というか、床とお友達になっている光景が扉の向こうにあったのでした。

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