表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/114

閑話 港町を視察しました1

3/24 内容が何故か「港町を視察しました2」になってしまっていたので、アップしなおしました。

感想で教えてくださって、本当にありがとうございました。

今後ないように気を付けます。(でもいつどうしてこうなったのか、すごく謎ですorz)

フィオラ9歳の夏のこと。

もともと3年だけ働くという約束だったデマロが地元へ、ドラコメサの港町マラゴに帰る日がやってきた。


ここ3年で温泉街や農産物の販売が軌道に乗り、召使や騎士たちを更に雇うことができた。任務の引継ぎと新人の初期訓練を終えた7月半ばに、デマロが地元に帰るめどがようやく立った。

そして、それに合わせて港町の視察と監査を行うことになった。


視察に行くのはフィオラとソフィア。

ソフィアは子爵家の領内会計監査を行うのがメインで、フィオラは子爵家や港町などをしっかり見分しながら、新たなグルメのネタを探すのをメインに。そのためにユルにも同行してもらうことにした。

他は侍女のエリサとアナ、それに護衛としてリュドとアレクとガルシオ。


「……ほぼ同窓会よね?」

「たまたまです」


リュドにいい笑顔で返されても騙された気分にしかならなかった。

本来ガルシオはフォルトの護衛騎士だし、アレクは街道警備を主な任務にしているので、フィオラの視察についてくるのは異例と言えるのだ。


「今回ガルシオとアレクに同行してもらったのはスタンピードを警戒してのことです」

「スタンピード……」


突発的魔獣大発生(スタンピード)。この辺りでは200年に一度起きると言われている。

マラゴはラトリア山の南東の端に位置し、山は魔物や魔獣の発生源と言われている。

二百年で聖竜の力が弱まるのか、来臨の直前になると各所でスタンピードが起きると記録に残されていた。


「現在ドラコメサ騎士団の中でもトップクラスですし、何より我々は学生時代から連携を取り合っておりますので。このセットが一番安心なんですよ」

「バニョレスは大丈夫かしら」

御山(ラトリア山)の麓なので、起き難いとは言われております」


聖竜の力が色濃く残っているので、竜都(バニョレス)周辺はスタンピードがほぼ起きないと言われている。もちろん例外はあるが。

それにドラコメサ騎士団の面々は一騎当千の強者ぞろいだし、街の冒険者たちも頼りになるものが多いから安心してくださいと言われて、フィオラは胸をなでおろした。


「リュドたちがいる間に発生してくれれば、私も兄も心強いのですけどね」

「そうなのね。じゃあそうなるように祈っておくわ」

「フィオラ様の祈りなら、聞き届けて頂けそうですよね」


すでに退職しているので客人として一緒の馬車に乗っているデマロがそう優しい口調で言ってくれたが、フィオラは(私がトラブルに巻き込まれやすいからって意味じゃないよね?)と疑った。もちろんそんなことはおくびにも出さず、にこにこと笑顔だけを返していたが。


今回の移動には馬車が2台。

フィオラの乗る馬車には客人扱いのデマロ、警護のリュド、侍女のエリサが同乗している。もう一台の馬車にソフィア、アナ、ユルが荷物とともに乗っている。

ガルシオとアレクは騎乗して周辺を警戒しながら馬車に並走していた。

守りが堅いこと名を馳せている2人が外にいるのは、フィオラとしても安心感が大きかった。

そして視察の予定は2週間。最初の1週間はデマロの生家の内部の視察がメインだったので、一行は子爵家の屋敷に直行した。


「屋敷……というか要塞? ごつくて大きいわ」

「ここは海城ですので。マラゴ砦と呼ばれております」


そう説明するのは港町の町長であり領主であるデマロの兄、ドラハヴェルボ子爵だった。

バルセロの同様、古くは海の守りの要で、今でも海の魔獣討伐だけでなく海賊に備えているとのことだった。


「海賊がいるのね」

「ええ。ただの盗賊団ですが、ここは他領や他国との貿易港なので、なかなかいなくなりません。一つ潰すと一つ生まれるといった具合に」


月に数回は船が襲撃を受けるので、見回りも遠距離攻撃も欠かせないということだった。


「魔獣だけでなく人も相手って大変よね。いつもありがとう」


と、フィオラが感謝の意を伝えると、


「これが我々の仕事ですので。しかし労りのお言葉はありがとうございます」


と、優しい笑顔とともに返ってきた。



到着後、小休憩をはさんで、ソフィアを除く一行は城内を案内してもらった。

砦の中ほどと屋上には砲台があり、そこには攻撃魔法では届かない遠距離の海賊船を砲撃するための魔道具の大砲(カノン砲)がそこに設置されていた。

フィオラだけでなくリュドたちも興奮した面持ちで隅々まで見て回った。


その間にソフィアによる会計監査が始まっていたが、「この様子だと、こちらの会計士もしっかりしているので、何の問題もなくサクサク進みそうです」とのことだった。

その言葉にフィオラはほっと胸をなでおろすと同時に、ここに至るのに大変だったことも思い出した。


半年前、父にそろそろ領内の会計監査を行った方がいいと進言してから、実行に移すまで色々大変だった。

領主である父が何故かごねて「するなら、王都の屋敷に戻らせろ」と訳の分からない交渉をしてくるし。

ドラメスブロ子爵は「たかが子供が何と生意気な!」と遠回しに書かれた抗議文を送ってきた。

「聖竜様が来臨される前にいろいろすっきりさせた方がいい」と書面で訴えても、二人そろって「本当にドラゴンがいると思っているのか」と不敬な文章満載の書面が返ってくるし。

二百年前どころか五十年前から隣の国におられる事実を何と思っているのかと頭が痛くなるばかりだった。


しかし3月に入ってすぐ、王都から『今年度の期末に当たる9月に、ドラコメサ領に国の会計監査を入れる』との通達が届いた。

それを理由に伯爵子爵共々黙らせ、タウンハウスに関してはリナルドに任せ、子爵家に関してはソフィアが領内会計監査を受け持った。

その結果色々出てくるわ、出てくるわ……。

帳簿や書類が適当だったり、無いものがあったり、そもそも怪しい書類や項目があったりと、タウンハウスと子爵家の書類や数字を正確に整えるのに、それぞれ一ヶ月以上かかったのだった。


いい加減な(でたらめな)会計をしているだろう所から初めて正解でした」


リナルドとソフィアが同じように力なく呟いたので、本当に大変だったのだなと思った姉弟は、二か所が終わった時点でゆっくり休ませることにした。

その後、農家を取りまとめる子爵家と酪農を取りまとめる子爵家の内部監査を済ませ、リナルドが王都の屋敷へ、ソフィアがフィオラ達と共に港町に向かったのだった。

そして現在、


「予定通り2週間で監査は終わらせられそうです」


すごくいい笑顔で報告してくれるソフィアにフィオラは再び(本当に大変だったんだな)と心の中でしみじみしてしまった。



監査は順調に進み、子爵家がそろえるべき書類はすべて10日以内にそろった。

ソフィアの休日もかねて、一行は港町の監査と称した散策に興じていた。

軍艦や商船、漁船と言った大きな船から小さな船まで係留できる港は圧巻だった。

埠頭と街の間には砦から続く3階建てくらいの壁が築かれていて、そこが税関のような働きをしているようだった。

そしていろいろな露店が壁の町側に沿ってずらっと並び、反対側には一階に店舗を備えた建物がずらりと並んでいた。

バニョレスの温泉街もこんな感じにしたいなと、フィオラは露店をしっかり見て回った。

交易の街だけあって、珍しい食材から装身具や布、小物からちょっとした家具まで露店で売られていた。

建物側には内陸では見られない船乗り向けの店もあって、服とか用具とか珍しいものがあって……前世でも使ってみたいと思ったがついぞ使ったことのなかったハンモックもあったので購入した。

アナとソフィアは留守番のファビアとギリラも含めた色違いのネックレスを、エリサも自分用の服や兄のシャツを購入していた。

騎士たちは武具を扱っている店で色々吟味し、ああでもないこうでもないと議論を交わしていた。

一番大きな荷物を持っているのはユルだった。食材だけでなくスパイスや珍しい調理器具まで購入していた。

昼はシーフードレストランで、合間に露店で色々買い食いをしつつ、カフェで異国のコーヒーを楽しみと、充実した一日を過ごすことができたフィオラ一行だった。

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

とても励みになりますし、頑張る気力にもなります。


閑話が1話で終わりませんでした。

というか、途中で「これ、絶対やらないわ」という状態になったので、慌てて書き変えたので、中途半端な部分で終わってしまいましたorz


来週も閑話にお付き合いください……頑張って火曜日に上げるべく努力いたします(`・ω・´)。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ