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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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フィオラ6歳 魔法のおさらいの時間です2

「やっぱり考え方やイメージの仕方がそれぞれ似ているようですね。フォルト様は論理的に組み立てた方がイメージしやすく、フィオラ様は実際の感覚で説明したほうがイメージしやすい。それぞれリュドとユルに教えた方法で教えるように今までもしてきましたが、やはり正解でしたね」

「そんなに違うのか?」

「大雑把に例えると、家を建てる知識や理論を知っていれば建てられるタイプか、一度建ててみないと建てられないタイプか。裏を返せば、一度建てた経験があれば知識や理論を知らなくても建てられるタイプか、一度建てるのを手伝ったところで知識や理論が無ければ建てられないタイプかに別れるということだ」

「つまりフィオラ様には理論を説明するんじゃなくて、実際に使って見せて感じさせろという事か?」

「その通り。ああ深く悩まなくていいよ。同じ属性の魔法なら相手の手を自分の手の甲に沿わせた状態で魔法を使えば、感じられるだろうから」


そうか、と頷くとリュドはフィオラを呼びよせて「ウォーターカッターとストーンバレット。どちらを覚えたいですか?」と聞いてきた。


「水魔法の方が得意だから、ウォーターカッターがいいわ」

「ではそちらで。ジャド、ここで試していいのか?」

「さすがに攻撃魔法は外でやろうか」


皆でぞろぞろと訓練場に移動すると、リュドがフィオラに、ガルシオがフォルトに、それぞれ初級の攻撃魔法を教えることになった。

ガルシオは言葉で、理論立てて説明していたが、リュドは言われた通りにしようとフィオラを自分の前に立たせると自身はしゃがみ、小さな体を包み込むように抱くと、前に突き出した自分の右手の甲にフィオラの両手を添えさせた。


「ではウォーターカッターを放ちます。水で作る刃を前に放つイメージで行いますので、それを感じ取ってくださいね」

「分かったわ」

「ウォーターカッター!」


手のひらから飛び出したように見える水の刃が、魔法防御の魔石が埋め込まれた壁の表面に当たって消えた。


「うーん、なんか魔力を細く薄くしてるのはなんとなくわかるんだけど……もう一回お願いしていい?」

「はい。何度でもわかるまでやりますので。遠慮なく色々聞いて、感じてください」

「ありがとう」


そうして一時間もすると、フィオラはウォーターカッターを、フォルトはファイヤーボールを出すことができるようになった。

そんな様子をユルが「すごい、すごい」と手を叩いて喜んでいた。


「やっぱり魔力が強いといろいろできていいね」

「ユルはできないの?」

「僕の魔力だと生活魔法がやっとだから」

「ユル、口調」

「えー? このメンツなら気にしなくてよくない?」

「だめだ」

「リュドは堅いなあ。僕は攻撃魔法は一切できません。できるのはこれくらいです」


と言ってユルが手のひらに魔力を集める「アイス」と唱えると、そこに奇麗な氷が現れた。


「え!? こんなこともできるの?」

「水魔法の応用で、料理の時や熱い時期に氷が作れると便利でしたので」

「じゃあ、私にもできる?」

「やってみますか?」


フィオラが頷くと、ユルはフィオラの目の前にしゃがんで手を差し出すと、フィオラがその手の甲に触れてきた。

その状態で「水が凍りますように、氷ができますようにって願いながら手の甲に力を込めます」と説明した後、「アイス」と唱えて手のひらの上に再び氷の塊を作り上げた。


「なんだろう? なんかすごく複雑な感じがしたんだけど……」

「ユル、もしかして美味しい氷を作ってないか? 普通にただの氷を……無理か」

「うん、無理」

「フィオラ様。ユルは水も美味しい水を作ることに特化していて、氷もその延長線上で作っているので、初心者には難しいと思います」

「美味しい水?」

「はい。単純に水を出すだけはできますか?」

「できるわ」

「では、単純に水を出したときと、美味しい水を出したときの違いを感じてみますか?」

「お願いするわ」


するとリュドは再びフィオラを背後から抱きしめると、手のひらを下に向けた自分の右手に、フィオラの右手を重ねさせた。


「普通の水を生成するのはこうです。ウォーター」

「ああ、うん。分かるわ」

「では次に、美味しい水を作ります。ピュア・ウォーター」


最初の水魔法はフィオラにもできるものだったが、次のピュア・ウォーターはどこか複雑な感じがした。ユルのアイス同様に。なんだろうと思っていると、ユルが口を挟んできた。


「リュドって、どう思いながら美味しい水を出してるの?」

「どうって、魔力で出す水に含まれる魔素や不純物を手のひらに留めるようにしながら、美味しい成分だけを残した水を発生させているイメージだ」

「何それ……フィオラ様は僕と同じで『美味しくなあれ』って思いながら使うか、美味しい水の味をイメージしながらウォーターを使うといいかも?」

(美味しい味。前世で飲んだ南ア〇プスの天然水をイメージしてみればいいんだろうか?)


フィオラはユルとリュドの魔力の感じを思い出しながら、頭の中に美味しい水をイメージしながら、水を出してみた。


「ピュア・ウォーター」


魔力を抑えるのを忘れてしまったために手のひらから派手に水が出たが、それを手で受け止めたユルが躊躇なくリュドの目の前に差し出すと、ため息を一つついてからリュドがそれを口に含んだ。


「すごい。ちゃんと美味しいですよ」

「ほんと?」

「あ、ほんとだ。美味しい」


残っていた水を飲んだユルも褒めてくれたので、フィオラはとても嬉しかった。

ただ複雑な魔法になるとどうしても威力を殺すことに気が回らないというか、魔力操作が上手くいかない為、何度か試してようやく量も調整できるようになった。


「じゃあこれで氷を作る魔法を試したいんだけど……」


ユルにもう一度頼もうとしたら、


「ではまた同じように手を重ねてください」


と、リュドに先に言われたために、条件反射の様にフィオラはリュドの手の甲に自分の手を添えた。

けれどちょっと納得がいかなくてユルの方を見たら、ユルは苦笑しながらこちらを見ていた。


「ごめんね、フィオラ様。ボク、そろそろ魔力半分になってるから」

「あ……」

「魔力が低いと生活魔法を使うのがやっとという意味が分かりましたか?」

「うん。ごめんね、ユル」


申し訳なさが先行して素直に謝ったのに、ユルは「ん?」と聞いてないふりをしてきた。

フィオラも(確かに、謝るのは何か違う気もしてきた。うん、違うよね)と思い直して言葉を変えた。


「ありがとう、ユル」

「どういたしまして」

「ではいいですか? やりますよ。ピュア・アイス」


なるほどと、美味しいお水を作った時の魔法と熱を奪う魔法がうまく組み合わさった感じが伝わって来た。

しかしここでフィオラの中に疑問がわいた。


「あれ? リュドはピュア・アイスって唱えたけど、ユルはアイスだけだったわよね? なのに、どうしてどちらも同じ美味しい氷が出てくるの?」

「フィオラ様、何故魔法名を詠唱するかは覚えていますか?」

「確か……自分の中で固めた魔法のイメージを発動するスイッチの役目をするのよね」

「その通りです。では、そのイメージは全ての人が同じでしょうか?」

「あ、もしかしたらリュドとユルだとアイスのイメージが違うってこと?」

「はい。私は単純に水が凍っているイメージで発していますが、ユルは食用に使える氷をイメージしているので、ユルのアイスの魔法は美味しい氷が作られます」

「え、でも、そうしたらユルには美味しくないって言うか、道端の氷みたいなアイスは出せないって事?」

「その通りです。ユルは攻撃魔法が使えず、生活魔法もやっとなので、魔法はほぼ全て調理からイメージされたものになっています」

「ボクってば、根っからの料理人だから」

「「食い意地が張ってるだけだろう」」


同期二人から同時に放たれた言葉に「酷くない!?」とユルは怒りをあらわにしたが、それはジャドによって華麗にスルーされてイメージの仕方についての講習にうつっていった。


「では今度はフォルト様に分かり易いようにファイアー・ボールで説明しましょうか」

「ファイアー・ボールも色々あるのか?」

「はい。リュドのファイアー・ボールは自力で生み出したせいか特殊でして。ガルシオ君のは一般的なものだよね? という訳で二人の魔法を比べてみましょう」


一般的と言われるガルシオのファイアー・ボールは、炎が打ち出されるイメージのため、まっすぐすごい勢いで飛んでいく。

しかしリュドのファイアー・ボールは、手の上に浮かんだ火の玉を自身のイメージで投げていた。そのため、それほど速度は出ない。しかし壁の向こうの見えない敵を、壁を迂回して攻撃することはできるらしい。


「一般的なファイアー・ボールの場合、ある程度は曲げられますが、リュドの物ほどの自由度はありません。逆にリュドは自分で投げるイメージの為、どうしても人が投げる速度以上は出ませんが」

「その代わりこういう芸当もできます。ファイアー・ボール」


リュドの出した小さめの火の玉は、その場でふわふわ浮きながらリュドの指先に合わせて移動していた。


「俺はファイアー・ライトって覚えたんだけどな、これ」

「投げなければ浮いたままだよなって思ったら、できたからなあ」

「というわけで、魔法はイメージが大事という話です。フォルト様はどちらのファイアー・ボールを覚えたいですか?」

「うーん。リュドは火の玉を素早く打ち出すことはできないのか?」

「できますよ。ガルシオ、盾役をよろしく」

「壁に打ち込めばいいだろう! 面倒くさいからって全力で打とうとするな!」

「ちっ。ファイアー・アロー」


リュドの手から細く鋭い炎が的に向かって打ち出された。それを見たフォルトがリュドのファイアー・ボールとファイアー・アローを覚えたいと言ったので、リュドがフィオラにしたのと同じように後ろから腕を回して教えていた。

お読みいただきありがとうございます。


今回はどこで切ろうか迷いましたが、ボリュームバランスを考えてこのあたりにしました。

話しの切れ目としていいのはもうちょっと先なんですが、そこまで載せると次の話が短くなりすぎそうなので。

ここでも書かれているようにこの世界ではイメージによって魔法が発動します。

イメージがしっかりしていればしっかりしているほど魔法も強固なものになるし、自由度も増えます。


魔法陣もありますが、イメージの補助として大きな魔法の時にだけ使用されています。


魔石は魔法のイメージを保持する力がもともと備わっているので、生活に欠かせない道具の一つとなっています。

ただし、一度イメージが固着されると、よほど大きな力で上書きしない限り、その魔石はその魔法専用となります。


このあたりは生活するうえで身についてしまう、すでにフィオラにとっては常識の話だと思い文中には書けませんでした。


魔法うんちくは次で終わる予定ですし、同時に6歳から抜け出せるはずです……たぶんorz

引き続き、よろしくお願い致します。

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