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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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フィオラ6歳 そうだ、温泉を掘ろう!1

話は遡って4月のこと。

秘密のノートにゲームで得た知識を書き記し、人手のない今は人手のかからないことをしようと考えたフィオラは、一人で温泉を探すことにした。

そこで思い出したのは前世で得た知識……知識というか、都市伝説というか。

L字の針金を両手に持つことで水脈を探す方法、ダウジングだ。

L字の短い方を手で軽く握り、長い方を“前ならえ”の様に二本平行に前に突き出しながら歩いていると、水脈や鉱脈があるところで棒が左右に展開するという方法。

上手くいくかどうかわからないが自分の体力増進のお散歩ついでにできるので、フィオラはフォルトの従者カルスを引き連れて城の裏側に出ると、ダウジング・ロッドを持って森の中をうろうろ歩き回っていた。城壁の根元に目印を置き、そこから北の方にまっすぐ頑張って進んで戻るのを何度も繰り返した。

昼食後の隙間時間を使っているので、歩けるのは1時間弱くらい。しかも毎日行けるわけではないので、結果的にそれほど広い範囲を調べることはできなかった。

しかし何か所か、本当にロッドが左右にふよーんと開いていったのでフィオラはたいそう驚いた。

その場所に目印を置くとともに、カルスにだいたいの位置を地図に書き込んでもらうと移動するということを、こそこそと3か月くらい行っていた。


そして7月。

リュドが研修を終えて護衛についてくれた初めての日、いつものようにお昼の散歩にエリサとリュドを引き連れて城の北側の森へとお出かけした。

フィオラがいつものようにダウンジング・ロッドを持ったまま歩き出そうとするとリュドに「それは何ですか?」と質問された。


「これはね、魔法の道具なの」

「? 魔道具ですか?」

「違うわ。魔石も何も使ってないけど、水脈や鉱脈がある場所を教えてくれるの」

「……どのようにですか?」

「これをこうやって持ったまま歩くとね、時々勝手に両側に開くの……見せてあげるからついて来て」


そういうとフィオラは二人を一番近い印のあるところまで案内した。

印の少し手前からゆっくりロッドを持ったまま歩き出す。そして印のあたりに来ると、フィオラが何も力を入れないのに左右に開き始めた。


「ね、すごいでしょ! きっとこの下に水脈か鉱脈があるわ!」


興奮気味に騒ぐフィオラと対照的に、リュドはとても静かで真顔なままだった。

なんでそんな反応?と、フィオラが小首をかしげて疑問に思っていると、リュドはその場にしゃがみ込んで両手のひらを地面に当てて何かを、魔法を使い始めた。そのまま1分くらいしてリュドは顔を上げてフィオラに告げた。


「確かにこの下に水脈が走っていますね」

「そうでしょ! ……って、え? なんでわかったの?」

「フィオラ様。土魔法と水魔法が使える者なら、地中の水脈のありかを探れますよ」

「え? ということは?」

「フィオラ様にも可能だということです」

「え? じゃあこれで頑張ってた私の努力は?」

「……残念でしたね」


嘘でしょと呟きながら両ひざと両手を地面に着けて打ちのめされているフィオラをエリサが「服が汚れます」と立ち上がらせようとしたが、リュドがそれを止めた。


「フィオラ様、ジャドから鑑定魔法は習っていませんか?」

「……習ったわ。まだ簡単な鑑定しかできないけど」

「では鑑定魔法で大地を……地中深くの岩の形状を探ってください。魔力をまっすぐ真下に伸ばすイメージで放ってください」

「こう?」


言われた通りに岩を鑑定するつもりで魔法を放つ。ゆっくり魔法を伸ばしていくと、深い場所に穴が開いているというか、岩のない場所を感じることができた。


「岩のない場所があるわ」

「ではそこに向かって水魔法を、今度は水の有無を探ってください」

「分かったわ」


ずっと何も感じられないまま鑑定魔法の筋が地中に進んでいき、先ほどと同じくらいの深さにたどり着いた時に、いきなり水の気配を感じ取った。


「水がある」

「初めて地中を探ってそれが分かれば素晴らしいです」

「そうなの?」

「鑑定に慣れている魔導師でも、初めて自然物を探るとあそこまでまっすぐ鑑定魔法を放てませんので」

「そうなのね。リュドには何が分かったの?」


そうフィオラが訪ねると、リュドは両手の土誇りを払いないながら立ち上がり、指をさしながら説明した。


「山の方からここを通って、城の真下を通って湖の方に水が流れています。たぶん城の井戸水を取っているのがこの水脈でしょう」

「井戸水ってことは温泉じゃないのね」

「温泉?」

「えーと、地下のマグマで温められた地下水で、それが泉の様に湧くというか……」

「温泉自体の意味は分かっていますが、もしかして国の西側にある温泉と同じものがここにあるということですか?」

「そうなの! だってすでに火を絶対に噴かないって言われてる西の山(ラクビナ山)のふもとですら地下水が温められているのよ? ここにだってあるに違いないわ」

「確かにそういわれればそうですね……フィオラ様、他に反応があった場所は?」

「えーっと、エリサ、カルスから地図を受け取ってる?」

「はい。こちらに」


地図には何か所か印が書かれていたが、いくつかは今の水脈の上のものだった。

しかしリュドが注目したのは東の端の方にぽつぽつとある印の群れだった。

山側にはあまり反応が出なかったものの南の方に、なんとなく湖の端の方につながりそうだなとフィオラも気になっていた場所だった。


「……今から行ってみるか。エリサ、走っていくけど大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。走るのは得意だもの」


上の方で二人が何か言っているなあと思ったら、リュドにいきなり抱えられた。

着ている服は散歩用とはいえシンプルなドレスだからか、小脇に抱えられるわけでもなく左腕で作られた輪の中にお尻をスポッとはめるような感じで座らされ、そのまま優しく上体を支えられるという抱き方をされていた。


「え!?」

「走りますので私の服にしっかりつかまっていてください」


言われた通りにリュドのベストのへりをしっかりつかむと、リュドがいきなり走り始めた。目線がリュドと同じくらいになり、自分では走ったことのない速度になったフィオラは、


(速い、怖い!高い、怖い!速い、怖い!高い、怖い!……)


と内心泣きそうになっていた。

いつまでこうして走ってるのと叫びそうになった時に、「リュド、あそこ」とエリサが声を掛けたことで速度が緩み、少しして止まった。


「フィオラ様、これですか?」


そう聞かれても無言で頷くのが精いっぱいだった。

リュドの腕から地面に降ろされたが、フィオラは先ほどまでの浮遊感の所為か足元がふらついてしまった。

エリサが支えてくれたので転ばなくて済んだものの、まだちょっと怖くてフィオラは彼女の腕にギュッと抱き着いてしまった。

しまったと、淑女らしくないことをしたと思ったものの「大丈夫ですよ」とエリサが頭を撫でてくれたので、そのまま落ち着くまで腕を抱きしめていた。

フィオラがそうしているころに、リュドは先ほどと同じく両手を地面に着けて、先ほどよりも長い時間、強い魔力で地面の中を探っていた。

5分くらいたったころ、リュドは顔を上げると、フィオラにとてもいい笑顔を向けてきた。


「フィオラ様。努力が無駄にならずに済みそうですよ」

「ほんと?」

「ええ、本当です。先ほどの水脈よりも深い場所になりますが、ここの下に熱い水が流れています」

「え!」

「先ほどの地下水よりもかなり深い場所を、山の根本の方から流れている水脈がこのあたりで少し上がっているようで、それでその道具が反応したのでしょう」

「じゃあ、掘る事さえできれば温泉が湧くって事?」

「ええ、幸い岩盤もそれほど硬くなさそうなので、技術者や道具があれば掘れると思います」


フィオラは心が躍ったが、それと同時に愕然とした。

温泉を掘って温泉街として領地を盛り上げれば収入も得られるはずだと希望を抱いたものの、技術者や道具について失念していたことに気が付いて息をのんだ。

フィオラの前世は温泉を掘ることに一切かかわったことが無い為、掘削の知識は全くなかった。


お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや下の☆での評価をお願いいたします。

徐々に数字が増えてくるとやはり嬉しいもので……とても励みになっています。

ありがとうございます。


そして今回は温泉探しですが、2、3話くらいで終わるはずです。

たぶん……。


引き続き、よろしくお願い致します。


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