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ドラゴンの使者・ドラコメサ伯爵家物語 ドラゴンの聖女は本日も運命にあらがいます!  作者: 栗栖 龍


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フィオラ17歳 学内の森での実習も大変でした3

※誤字報告、ありがとうございます^^

フィオラ達が森を突っ切り信号弾が発射された場所に到着すると、そこは阿鼻叫喚の様相を呈していた。

たどり着く直前に見えた光景は、生徒たちがある者は血を流しながら転び、ある者は体の一部が石化した状態で苦しんでいた。

パーティーが進んでいただろう道に出ると、第二王子と側近の文官が寄り添い、それを守るように魔道士が風属性の守りの盾を展開していた。

その前に左腕全体が肩から石化したニコが片手で剣を構え、飛んでくるものを叩き落していた。


「ヴェネコカトリオだ!」


フィオラ達がたどり着いたのに気づいたニコが、魔獣の名前を叫んだ。

威圧感から魔獣の位置を確認すると、クラジャとフィオラが魔法を展開した。


『暴風!』

『守りの盾!』


クラジャは、その場に毒素を含む臭気が漂っているのにも気づいて風魔法で拡散させたのだが、状況が最悪なら敵も最悪だった。

毒コカトリス(ヴェネコカトリオ)は全長10mの蛇の尾と飛竜の翼を持つ鶏と言われているが、どちらかといえば顔はヘビクイワシに似ている。口から毒液を吐き、それがかかると布すら石化する。また長距離攻撃として、羽毛のある竜のような翼から石化した羽が飛んでくる。近寄れば鋭いくちばしでつつかれ、蛇の尾で跳ね飛ばされるというAクラスの魔獣の中でもかなり厄介な存在だった。

ただし肌はそれほど固くないために、攻撃力の割には倒しやすいと判断されてSクラス認定はされていない。

ただ毒や羽攻撃のインターバルはそれほど長くなかったはずだと思いだしたフィオラは『守りの盾』を強化しようとした。しかし、


「お嬢! 魔力を温存! クラ、そのまま盾も展開! ビア、そこから気を引け!」

「「了解」」


緊急事態になればリュドが指示を出すのは当たり前であり、二人もそれに従った。フィオラもすぐ守りの盾を解除して、ニコの後ろへと下がった。


『ウィンド、守りの盾』


クラジャは大気を前方に押し流しながら、左前方に居るビアも守る形で盾を展開した。

そこからと言われたビアは『ストーンバレット』をヴェネコカトリオの顔に向けて放った。

その間にリュドは右手に移り、ヴェネコカトリオの顔がビアに向いた瞬間にダッシュした。


『水鎧』


そうつぶやいた瞬間にリュドの姿が揺らぎ、そのままヴェネコカトリオへと突っ込んでいった。


「うおぉぉ!」


リュドが警護用の長剣を下から上にふるうと、ヴェネコカトリオの首が分断され、頭がビアの方に飛んで落ち、体は一瞬後に大きな音をたてながら地面に倒れた。


「……今の何? 何の魔法?」

「水鎧は水衣の進化系で、自分の周りを厚く水の層で覆うことで、ヴェネコカトリオのような水溶性の毒を受けても流せる効果があります」


フィオラの呟きに答えてくれたのは、第二王子の護衛でありリュドの同級生でもあるニコだった。


「それもだけど、首を落とした時に魔法名を言ってなかったけど」

「リュドは切るときに魔法を使っておりません。純然たる腕力というより技術です」

「技術」

「彼が騎士・魔道士・冒険者のランクの全てがAだが、実力はSクラスだと言われているのはご存じですか?」

「ええ」

「あれがSクラスの騎士の切れ味ですよ」

「なるほど」


火の蛇よりは細いものの、それでも30cmはあるだろう首を一刀両断にできるなんて、すごい技量だわと感心していたら「フィオラ様、こちらへ!」と呼ばれたのでしゃがんでいるリュドの傍に行った。

そこにあった……居たのは、全身が石化している第二王子の側近騎士だった。


「エルダリオ殿!?」

「急いで治療します。フィオラ様も覚えてください。他にも部分的に石化している人間を急いで治療したいので。これから体内浄化をしながら石化した体に再び水分を戻す魔法を使います。感じて学んでください」

「わかったわ」


了承したフィオラが側近騎士の体とリュドの手の上に、自身の手を重ねた。


『ピュリファイング・ハイドレイション』


手を通じてリュドの魔法が石化している体をどう治療しているか感じることができた。解毒作用のある体内浄化で細胞を石化させている毒を取り除き、それに加えて乾ききっていた細胞の一つ一つに再び水分を与えていっていた。


「わかるわ。これならできると思う」

「ではニコに施してください。ニコ、フィオラ様の治療を受けたら周りの警戒をしてくれ」

「ああ、いいが、大丈夫なのか?」

「フィオラ様ができると思った時は、必ず成功しているから心配するな」

「わかった。お願いいたします、ドラコメサ女領主」

「ええ、左腕に触るわよ。『ピュリファイング・ハイドレイション』」


まだリュドほどのスピードはない物の、フィオラは確実にニコの腕を正常な状態に戻していった。


「ふぅっ。マントは無理だけど、これで毒は抜けたはずだわ」

「ありがとうございます。……はい、指もしっかり動きますので、もう大丈夫です」


左肩から指先までの稼働を確認したニコは、固まっているマントを脱ぐと体力回復ポーションを飲み、落としていた長剣を拾って周りの警戒をしに行った。

ほっとしたフィオラの耳に何かをリズミカルに押す音が聞こえてきたのでそちらに目を向けると、リュドが石化を解いた側近騎士に心臓マッサージをし、ビアがその口元に手を当てて『ブレッシング』という相手の肺に空気を送る魔法を使用していた。


「どうして!?」

「石化が心臓に至っていたようです」

「だめだ、呼吸が戻らない」


フィオラはなんてことと、前世であれば電気があり、電気ショックを送るAEDが街の至る所にあったのにと虚無感を感じた。でも何かできないかと考えた時に、ある可能性を思いついた。


「ビア、あなた確か『帯電』が使えたわよね?」


『帯電』とはこちらでいう雷、つまり電気を拳や電気を通せる武器にまとわせる魔法で、攻撃力を上げる付与魔法のことで、風魔法の一つにあたる。


「それを彼の胸というか心臓に向けて放って」

「は? 何を言ってる?」

「雷に打たれて心臓が止まって死ぬことがあるんだから、その逆だってあり得るんじゃない?」

「そんな奇天烈な」


そんなやり取りに割り込んだのがリュドだった。


「ビア、やれ!」

「リュド先生!?」

「試してみる価値はある。どうせこのままでは彼は死ぬ」

「……分かった。『帯電!』」


ビアが側近騎士の胸に向けて放った帯電は表面を流れるだけで、心臓に達している様子はなかった。


「もっとこう、雷の力で心臓を鷲掴みにするような……そう! 直に心臓をマッサージするイメージで放って!」

「え……うーん……よし、行くぞ! 『心臓マッサージ!』」


ビアは言われるがままにイメージして、言われたままの言葉に乗せて魔法を放った。その直後に側近騎士の体はビクンと跳ね上がり、ついで激しく咳き込んだ。

心臓マッサージが、蘇生が成功したようだ。


「よかった! うまくいった~♪」

「まったく、フィオはとんでもないことを思いつくな」

「必死だっただけよ」


フィオラはビアを労いながら抱きしめた。

そうやって一息ついている間にリュドは治療師の女生徒を呼び、側近騎士の体の内部と外部の治療を行うように指示していた。

それを見て二人も役割を果たさないとねと、ビアは周りを警戒しながらも魔獣の死体の処理をしていたクラジャのところに合流し、フィオラは体の一部が石化している生徒の治療をするために移動した。

頭や胸が石化している生徒はリュドに任せ、フィオラは手足といった体の中心部から遠い所が石化しているクラスメイトの治療にあたろうとした。

するとその対象が、メンバー表に貴族文官と書かれていたモハメドが、いきなり悲鳴を上げ、地面を転がり始めた。


「ぎゃぁぁっ! いあいいいいい!」


言葉になっていないが痛いと叫んでいるのだろう。

フィオラが慌てて駆け寄ると、暴れたことで石化していたズボンが割れ、その下から出てきた左足はミイラ化していた。

石化が解け、固められていた神経が復活したために、激痛に襲われているようだった。


「『身体強化』これ飲んで!」


フィオラはモハメドの頭を片腕でしっかり掴むと、もっていた痛み止めポーションの蓋を開けて無理やり口の中にねじ込んだ。

飲み干せたことで痛みが引いたのか、モハメドがおとなしくなったので、地面に横たえるとリュドにどうすればいいかと確認した。


「さっきと同じで」

「え? ミイラ化でも一緒でいいの?」

「水分がなくなっているのは確かなので」

「雑ねえ……」


そう文句を言いながらも言われた通りに『ピュリファイング・ハイドレイション』を使えば、ミイラ化していた足は徐々に水分を含んだ普段の足に戻っていった。


「あ……ありがとう、ございます、フィオラ嬢」

「もうっ。ポーションは症状に合わせたものを、石化だったら“石化を解く用のポーション”を使わないとひどい目にあうって、薬草学で学んだじゃない」

「すみません……怖くて、つい、毒消しを」

「でもとりあえず、石化した時に毒消しを飲むとミイラ化するって言うのは分かったわね」

「そんな実証したくありませんでした」

「お疲れ様。今は休んでてね」

「はい。ですが一つだけ」

「なに?」

「言葉使いが乱れておりますよ」

「非常事態だからいいの」

「確かにそうですね……本当にありがとうございました」

「気にしないで」


フィオラがモハメドの頭を撫でながら慰めていると、Aチームの残りのメンバーが到着した。


「フィオ……」

「マリエラ、大丈夫そうね。それよりグネス、まだ『ヒール』が使えるなら彼の事頼める?」

「はい。今行きます」


フィオラは、マリエラが自分を可哀そうな子を見る目で見てくるのが気になったが、それよりも今は治療が一番とグネスにお願いした。

その後は、だれがどういう状態化を確認し、どのように隊列を組み、どう助け合うかを決めてから森の入口へと皆で移動した。

お読みいただきありがとうございます。

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誤字報告ありがとうございます。

この間、全部読みなおした時に、色々見つけて直したはずなんですけどね……出てきますね、まだまだorz

自分では気づけないものがまだまだありそうなので、皆様よろしくお願いしますTT

同人誌時代から思いますが、なんで何度も見直したのに後から誤字って発生するかなあ。・゜・(ノД`)・゜・。

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