表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
扉の話。  作者: MKS
6/6

邂逅2

孫。

孫だって!産んだあたしが見間違える程にそっくりな孫!


冷静になってみれば、もう何十年と経っていた。いくらあたしの血を引いているって言っても、長耳の血は四分の一。若い姿を保てるとは限らない。まあ、短耳にしちゃあ、長生きした様だけど。


ま、長生きっていっても、母親のあたしを置いて逝っちまうんだから。まったく。


ちらと曾孫を見れば、怪訝な顔で此方を伺っていた。


「サクから聞いたことがないかい?両親について」

「ない、ですけど、貴女が祖父の母親ってのは冗談が過ぎますよ。誰なんですか?貴女。」


眉をしかめた顔は、ただでさえ似た顔がもっと似て見えた。あの子に嫌いなほうれん草を食べさせた時と同じ顔。


「まごうことなくお前さんのひぃばあさんさ」

「そんなわけないでしょ。祖父は101歳だったって言ったでしょ。どう見ても半分位の年齢じゃないですか。娘ならまだしも、母親は……俺の事、馬鹿にしてます?」


50!ふふ、そんな小娘に見えるだなんて、嬉しい事を言ってくれる。


「人を見掛けで判断するもんでも、自分の知識だけが全てだと思うもんでもないよ?」

「仰る通りですけど、それとこれとは別でしょ?それとも貴女は祖父より年上だとでも?」

「そうだけど?」

「いい加減にしろよ?アンタ」


おや。口調が変わった。

あっちでもそうだけど、若い輩ってのは本当に頭が固い。


「んなわけねぇって言ってんだろ。ふざけんな。大体何なんだよ。何のマジックだってぇの!」

(それ)の事かい?マジックって手妻(てづま)だっけ?そんなちゃちなもんと一緒にしないでおくれよ。魔法だよ、ま・ほ・う」


言って孫をふわりと浮かせる。浮遊の魔法だ。頭の固い輩には、論より証拠ってね。


「はあっ?!わっ!なんっ!ちょおおっ!」


空中でばたつく孫。


「さて、よくお聞き。あたしはちょっと老けるのが遅い(たち)なのさ。他とちょいと違う。魔法(こんなこと)ができたりね?あたしはこんな見た目だけど、あの子の母親で、あんたのひぃばあさんなんだよ。」

「ぬおおっ?!ぎゃあっ」

「何をぐるぐる回ってんだい。聞いてんのかい?ったく。ああそうだ!へその緒!へその緒があるよ!まぁ見て分かるってもんでもないけど、作之丞の分も、凪のも、灯のも、世之典のも!」

「……………」


あれ。返事がない。

くたりとした孫はまだ回っている。凪なんかは、こうやってあやしてやると喜んでいたのに。まったく、根性のないこと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ