邂逅2
孫。
孫だって!産んだあたしが見間違える程にそっくりな孫!
冷静になってみれば、もう何十年と経っていた。いくらあたしの血を引いているって言っても、長耳の血は四分の一。若い姿を保てるとは限らない。まあ、短耳にしちゃあ、長生きした様だけど。
ま、長生きっていっても、母親のあたしを置いて逝っちまうんだから。まったく。
ちらと曾孫を見れば、怪訝な顔で此方を伺っていた。
「サクから聞いたことがないかい?両親について」
「ない、ですけど、貴女が祖父の母親ってのは冗談が過ぎますよ。誰なんですか?貴女。」
眉をしかめた顔は、ただでさえ似た顔がもっと似て見えた。あの子に嫌いなほうれん草を食べさせた時と同じ顔。
「まごうことなくお前さんのひぃばあさんさ」
「そんなわけないでしょ。祖父は101歳だったって言ったでしょ。どう見ても半分位の年齢じゃないですか。娘ならまだしも、母親は……俺の事、馬鹿にしてます?」
50!ふふ、そんな小娘に見えるだなんて、嬉しい事を言ってくれる。
「人を見掛けで判断するもんでも、自分の知識だけが全てだと思うもんでもないよ?」
「仰る通りですけど、それとこれとは別でしょ?それとも貴女は祖父より年上だとでも?」
「そうだけど?」
「いい加減にしろよ?アンタ」
おや。口調が変わった。
あっちでもそうだけど、若い輩ってのは本当に頭が固い。
「んなわけねぇって言ってんだろ。ふざけんな。大体何なんだよ。何のマジックだってぇの!」
「扉の事かい?マジックって手妻だっけ?そんなちゃちなもんと一緒にしないでおくれよ。魔法だよ、ま・ほ・う」
言って孫をふわりと浮かせる。浮遊の魔法だ。頭の固い輩には、論より証拠ってね。
「はあっ?!わっ!なんっ!ちょおおっ!」
空中でばたつく孫。
「さて、よくお聞き。あたしはちょっと老けるのが遅い質なのさ。他とちょいと違う。魔法ができたりね?あたしはこんな見た目だけど、あの子の母親で、あんたのひぃばあさんなんだよ。」
「ぬおおっ?!ぎゃあっ」
「何をぐるぐる回ってんだい。聞いてんのかい?ったく。ああそうだ!へその緒!へその緒があるよ!まぁ見て分かるってもんでもないけど、作之丞の分も、凪のも、灯のも、世之典のも!」
「……………」
あれ。返事がない。
くたりとした孫はまだ回っている。凪なんかは、こうやってあやしてやると喜んでいたのに。まったく、根性のないこと。