邂逅
「サクっ!」
扉の向こうにいた人のうちの一人が、突っ込んで来るように飛び込んできた。反射的に受け止めたその人は、そこそこ美人なオバサンだった。
「サク!サク!帰ってきた!」
えーっと。え?何だこの状況は。誰?いや、そうじゃなくて、あれ?そうじゃなくなくて?んんん?
「怪我は?どこもないかい?よく顔を見せて!サク!」
とりあえず、俺の顔をがっしりつかんだオバサンが超絶泣いてらっしゃるわけだが……サク?
「あっあの、ちょっと落ち着いて!落ち着きましょう!」
「生きてたんだねっ!ああ神様っ!サク!」
「いやっ、ちょっ、サクって、作之丞のことですか?」
「当たり前だろ!?何言ってんだいこの子は!」
「違っ!俺は!作之丞じゃないですぅっ!」
「……え?」
オバサンが止まる。まじまじと見つめたその目が見開かれ、揺れた。
「やだ……ほんと、あの子じゃ、ない……あ…あの子、は?」
「作之丞は、他界、しました」
作之丞は、俺の祖父の名だ。親戚達は祖父をサクちゃんと呼んでいた。
「死ん、じま……た?」
へたりと畳に崩れるオバサン。
その隙にちょっと距離をとって、俺も、落ち着いてみる。
………いやいやいや!無理!無理だろ!何これ?!どーゆーマジック??!何が起こってんだ?!
「……あの」
「え?あ、はいっ」
俺が落ち着くより、崩れていたオバサンが気を立て直す方が早かった。
「愚息の、死亡、お知らせ下さりありがとう存じます。」
「は、はぁ。いや、あの、とんでもない。」
………ん?
「それで、その、失礼ながら、貴方様はどちら様でしょうか?作之丞とはどの様なご関係でらっしゃいますか?」
「えっと、孫ですが。」
「は?」
「作之丞は祖父です。」
「…は……はあぁああああっ??!」
何何何っ??!このオバサン、ヤバい人?怖いってえ!!!
距離を更に取ろうとした俺の両肩をがっしり掴んで、ぐらんぐらんと揺するオバサン。
「マゴ?!孫って言ったかい?!!ええっ?!」
「いっ言いましたっ」
「あの子は何歳で死んだってんだい!」
「101歳ですっ」
「ひゃくいちぃいいい?!」
ポカンと口を開け、溢れんばかりに見開いた目が、泣き笑いに変わるのはあっという間だった。
「あっはっはっは!大往生じゃないか!101!無事に帰ってこれたんだね!孫だなんて、きっと幸せに暮らしたんだ」
「はあ。多分」
多分、概ね幸せに暮らしてたとは思う。聞いてみたことはないけど。多分。
で、だ。
「あのー」
勇気をもって訊いてみる
「そちらは、どちら様で?」
「ん?あたし?あたしはあんたのひぃばあさんさ。作之丞の母親。」
は?