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●29 どうしてこうなるのか 2








 予定になかったイゾリテの急襲――というと語弊があるか――があろうとも、俺のやるべきことは変わらない。


 正規軍の到着を待ち、そこから国境を越えて侵攻を開始。


 その時機が来るまではひたすら待機だ。


 一人きりなら風景を眺めてボンヤリしたり、適当に食い物を焼いたりして時間を潰すところだが――今回はイゾリテがいる。


 しかも、二人っきりだ。


 小さな頃から知っている間柄とはいえ、二人だけになるのはなかなかに珍しいシチュエーションである。


 しかも、イゾリテもいまや年頃の女の子。


 さらに言えば、いったんは取り下げられたとはいえ、俺は愛の告白を受けている。


 果たして、遠慮なくいつも通りに振舞っていいものかどうか。


 実に悩ましい。


 ちなみに今回、俺が野営の場所に選んだのは、ビューボイジャーの大森林を見下ろすことのできる小高い丘の上。視線の通りがよく、頬をなでるそよ風が実に心地いい。


 そんな中、


「お待たせいたしました、アルサル様」


 鼻腔びこうをくすぐるコーヒーの芳香ほうこう。淹れたて熱々をくたびれたシェラカップへと注ぎ、イゾリテが手渡してくれる。


「おう、ありがとな」


「いえ。道具はすべてアルサル様が用意されたものですから、私は何も」


 礼を言うと、イゾリテは殊勝にもへりくだった。


 俺はコーヒーを一口ひとくちすすり、味を確かめる。


「……うん、ばっちりだな」


「ありがとうございます。これもアルサル様のご指導の賜物たまものです」


 あくまで謙遜を忘れないイゾリテ。楚々(そそ)とした所作しょさで頭を下げる。


 この態度は昔からなのだが、今ではすっかり成長してしまっているので、なんとも居心地がよくない。実を言うと、再会してからずっと、胸の奥に微妙な違和感があるのだ。


 特に、こうして二人きりになるとそれが強まってしまう。


 イゾリテが子供だった頃は、おままごとの延長みたいなものだと受け流すことも出来ていたのだが――


 なんというか、立派に育ちすぎなのである。身も心も。あちこちが。うん。


「――? アルサル様? どうかされましたか?」


「んっ……? あ、ああ、いや、ちょっと考え事をな……」


 知らず知らず、シェラカップのふちに唇をつけたまま固まっていた俺に、イゾリテが小首を傾げる。ローチェアを並べて座っている状態なので距離が近く、それだけにちょっとした変化も目にとめられやすい。慌てて取り繕って、ごまかす。


「そ、そういえば、あれからジオコーザ達の処分とかはどうなったんだ?」


 焦るあまり、頭の浮かんだ話題を適当に投げてみた。


 が、直後。いかん、あまりにも無神経すぎるネタを振ってしまったか――と後悔した。


 相変わらずイゾリテの表情筋は一ミクロンも動かなかったのだが、それでも返答まではかすかながあった。


「――その件につきましては、現在保留中です」


「保留?」


 思わぬ答えに、俺はオウム返しをした。


「はい。セントミリドガルは今なお他国との戦争が続いております。なにより、お兄様が王として掲げた『世界統一』という目標を考えれば、戦いは激化の一途を辿るでしょう。そんな最中、彼らの処分について頭を回す余裕はありません」


「…………」


 いや、なるほど、その言い分はわかるのだが――だったら何故、お前はここにいるのか? というツッコミをせざるを得ないのだが、どうしたものか。


「よって、お父――いえ、元国王オグカーバと元王太子ジオコーザ、そして元将軍のヴァルトルについては全てに決着がつくまで判断保留といたしました。それまではしばらく地下牢にて過ごしてもらいます」


 オグカーバのことを『お父様』と言いかけて、しかし『元国王』と言い直すあたり、公私を混同しない姿勢が実にイゾリテらしい。


 が。


「……ここは別に王城の中じゃないぞ。呼びたいように呼べよ、家族のことぐらい」


 俺は溜息交じりにそう言った。


「ですが……」


 イゾリテは視線を斜め下に逸らし、言い淀む。


 事情が事情だ。色々と複雑すぎて、俺にはイゾリテの心情なんてまったく想像できない。


 故に、俺は適当に混ぜっ返すことにした。


「ま、ジオコーザのことを兄貴と呼ぶのはためらわれる、ってのはわからなくもないけどな。なんせ、ガルウィンとは性格がまったく違うもんな。見た目もお前らとあんまり似てないし」


「…………」


 軽くおどけてみたが、あまり効果はなかったようだ。


 イゾリテは表情を深刻なものにしたまま、手にしているシェラカップへと視線を落とす。そこにはきっと、真っ黒な水面みなもに愁いを帯びた美少女が映っていることだろう。


「……あー、なんか、すまん……」


 たまらず謝罪すると、はた、とイゾリテが顔を上げた。


「――いえ、アルサル様がお気になさることではありません。申し訳ありません、お気を使わせてしまって。私は大丈夫です、問題ありませんので」


「……あのな。本当に大丈夫な奴は、自分からそういうこと言わないもんだぞ?」


「……はい」


 流石に声を低めて告げると、イゾリテもまた声音を落としてうつむいた。


 まったく、今の反応で『大丈夫なのか、それはよかった』なんて思うわけないだろうに。無理しているのが見え見えすぎて、心配かけまいという気配りが露骨な嘘になってしまっている。


 ともあれ、これだけは確認しておかねば。


「一つ聞いておきたいんだが……殺すのか?」


 主語は敢えて省いた。この際、指し示すのはオグカーバであれジオコーザであれ、どちらでもよかった。


 イゾリテは面を上げ、真っ直ぐこちらを見つめ返した。感情にカーテンをかけた緑の瞳が、ブレることなく俺の顔を捉え、


「いえ、そのつもりはありません」


 はっきりとそう断言した。


「その点についてだけは、既にガルウィンお兄様とも話がついております。宮廷聖術士を名乗るボルガンなる男の策略によって、洗脳を受けた元王太子ジオコーザと元将軍ヴァルトルはもちろんのこと、肉親を人質に取られ望まぬ選択をせねばならなかった元国王オグカーバは、明らかに被害者です。ボルガンの悪行さえなければ、本来なら犯すことのなかった罪を犯させられたのです。首を落とすのは流石に不憫ふびんです」


 不穏なセリフをとどこおることなくつむぐイゾリテ。敢えて『処刑』ではなく『首を落とす』と表現したところには、何とも複雑な感情が見え隠れしている。


「ですが、彼らが未曽有みぞうの戦争を起こし、国内外問わず多くの血を流したのは事実です。特に、自らの意に添わぬ臣下を一族まとめて粛清していったことについては、どうあろうと許されない罪だと考えます」


 普段から無表情なのがイゾリテだが、それがより顕著けんちょに思えるのは、私心を殺し、公人に徹しているからだろうか。


 とはいえ。


「なるほどな」


 イゾリテの意見にはおおむね同意である。というか、俺もジオコーザに似たようなことを語った。事情は理解しているが、やったことがやったことだ。決して無罪放免とはなるまい――と。


「そういった観点から、落としどころが非常に難しいと考えております。ですので、結論は全てが片付き、世界情勢が落ち着いてからと――そのようにガルウィンお兄様と決めました」


「いや、うん。命まで奪うつもりがないってことが聞けて安心した。ありがとな、イゾリテ」


 三人の処分について、判断を保留にする理由もわかった。納得の結論だ。これ以上聞くべきところはない。


 ちなみに、イゾリテやガルウィンには聖術士ボルガンの正体が聖神であることはまだ話していない。


 というか、説明が難しい。


 詳しく話すとなると、まず魔王討伐の真相や、八悪の因子についても語らねばならない。さらに言えば、俺達四人が召喚されたのではなく、コピーされた存在であることも。


 どれもこれも、できるだけ耳に入れたくないネタばかりだ。イゾリテだけに限らず、叶うのならば誰にも話さず、俺達四人だけの秘密にして、そのまま墓まで持って行きたいぐらいだ。まぁ、肝心の墓に入る予定がまったくないのだが。


 聖神というのは、いわばこの世界の創造主だ。いや、複数いるのだから『創造主達』と言った方が正確か。


 いくら俺達の眷属になったからと言って、この世界の人間であるイゾリテやガルウィンが、創造主相手に喧嘩をふっかけようなんて話についてこられるわけがない。


 なにより、いわゆる『神』と呼ばれる存在が原因で、人界がここまでおかしなことになったことを暴露するなど、こくに過ぎる。


 人には信じるものが必要だ。神や仏と言った存在は、その最たるものだ。それを奪うのは、生きる希望を奪うにも等しい。


 だから、知らない方がいい。知らせない方がいい。その方が絶対に幸せだ。


「――アルサル様、突然ですが、お話を変えてもよろしいでしょうか?」


「ん? ああ、別にいいぞ」


 気の重い話題が一段落したのもあってか、イゾリテが話題転換を申し出てくれた。あちらもあちらで、俺が気まずい思いをしていることに気付いていたのだろう。気を遣わせてしまって申し訳ない気もするが、同時に、あの幼かったイゾリテがよくぞここまで成長したものだ、と感慨深くもなる。


 そう思いつつ、コーヒーを啜ろうとシェラカップを口元へ運ぶと、


「以前からうかがいたいと思っていたのですが……アルサル様と師匠マスターは、いわゆる〝男女の関係〟なのでしょうか?」


「ぶっっっっ――――――――!?」


 盛大に吹いた。


 あまりにも不意打ち過ぎた。文字通り死角からの攻撃だった。完全に油断していた。まさしく致命傷だった。


 どうにか顔を背けてイゾリテにコーヒーをぶちまけずに済んだのが、不幸中の幸いである。


「は、はぁ!? なに言ってんだお前!?」


 思わず言葉遣いが荒れてしまった。盛大に飛び散ってしまったコーヒーが口周りを汚していたので、慌てて手の甲でぬぐう。


 俺の大声に、しかしイゾリテはまったく動じず、


「いえ、私の目から見ても、アルサル様と師匠――エムリス様は仲睦なかむつまじいご様子でしたので」


 まっすぐ俺を見つめたまま、平静な口調で続ける。


今日こんにちまでは、もしや、と思っていたのですが、何分なにぶんお聞きする機会がなく。今であればちょうどよい機会かと思いまして、お尋ねしている次第です」


 流石にエムリスと一緒にいるときに聞く勇気はなかった、とでも言っているのだろうか。それとも、ガルウィンがそばにいる時は気恥ずかしかった、とかだろうか。


 ともあれ、俺の答えは一つだけだ。


 喉を整えるために咳払いを一つし、


「……言うまでもなく〝ノー〟だ。つか、そんなわけあるか。どういった目で俺達を見ていたんだ、お前は」


 言い淀むことなく、はっきりと否定できたので内心ホッとする。変にどもってしまわなくて本当によかった。どんなセリフも噛み噛みで言ったら説得力がなくなってしまうからな。


「エムリスとはただの昔馴染みで、それ以上でもそれ以下でもない。というか、そんな風に考えたことすらないな。というわけで、お前の見立てはてんで的外れだぞ、イゾリテ」


「そうでしょうか」


 念入りに否認する俺に、イゾリテは短く反論。真っ向から否定するわけでもなければ、俺の言葉を受け入れる風でもなく、何とも絶妙な言い方をする。


「……それはどういう意味だ?」


 なので、俺としてはそう返す他ない。俺は手に持ったままだったシェラカップをローテーブルに置き、きっちり話を聞く体勢に入った。


 イゾリテは緑の瞳でまっすぐ俺を見つめたまま、


「私から見れば、アルサル様とエムリス様のご関係は、とても深いもののように思われます。互いに気安くお話していて、それぞれの態度も気の置かないものです。また、魔王討伐の旅では一年近く、毎日ご一緒だったと聞きます。当時の皆様は幼かったというのに、魔物や魔族と戦う、過酷な命懸けの旅です。そんな中、お二人の絆が強まり、仲間以上の感情が芽生えたとしても、それは決しておかしなことではないと思うのですが」


「……いや、あのなぁ……」


 淡々と、まるで研究対象の観測結果でも述べるようなイゾリテに、俺は返す言葉に困ってしまう。


 確かに、イゾリテの視点は第三者として客観的だと思う。そう言われてみれば、そう見えなくもなかろう、と思うぐらいには。


 しかも、なんて無邪気な顔をしてのたまうのだ、この娘は。


「あー、なんというか、それはだなぁ……」


「それに――」


 俺がどうにか納得がいく説明をしてやろうとしたところ、珍しくイゾリテが声をかぶせてきた。軽く驚いて、思わず舌を止めてしまう。


「――アルサル様はこの十年間、一度も恋人をつくられておられません。一時的に知名度は下がっていたかもしれませんが、それでも世界を救った英雄です。文字通り、引く手あまただったはずです。それなのに、アルサル様はこれまで独身のまま過ごされてきました。それは、エムリス様を慕っておいでだったからではないのですか?」


「…………」


 どうしたものか。なんだか、めちゃくちゃ深く考えてくれているようだが、それはヤバいぐらい的外れな考察でしかない。


 いや、しかし、そうか。なるほどな。変な話だが、ちょっと納得してしまいそうになる。確かに見方によってはそんな風に思えるものかもしれない。


 魔王を討伐した後の俺は――いや俺に限らずだが――確かにモテた。おそらく人生で最大のモテ期というやつだったのだろう。引く手あまだったに違いない、というイゾリテの推察は間違ってはいない。実際、国の内外を問わず、多方面から数え切れないほどの縁談が舞い込んできた。当時の国王だったオグカーバからの又聞きではあったが、やけに記憶に残っている。


 もちろん俺だけでなく、エムリスやシュラト、ニニーヴだって同様だったはずだ。


 くどいようだが、俺達は全員が〝生きる最終兵器〟だ。四人集まれば、それだけで世界をひっくり返せるほどの戦力になる。


 誰だって手元に置いたり、血縁関係を結んで味方にしておきたくもなろう。


 無論のこと、俺達はそういったことも理解した上でパーティーを解散し、現在に至るのだが。


 そして言わずもがな、俺を筆頭に誰も結婚などしなかったし、恋人すら作らなかった。


 まぁ、つい最近シュラトが八悪の因子が暴走した結果、一気に二人も奥さんをめとってしまったわけだが、それはさておき。


 理由は大体察しがつくだろうが、敢えて明言しよう。


 俺達が【人間をやめたから】である。


 知っての通り、存在というよりも概念であり、不老不死にして不滅の魔王――そんなやからをそれでも殺すため、俺達はエムリスの手引きによって外部世界から八悪の因子を呼び込み、この身へと宿した。


 その時点で俺達は人間を超越し、〝人外〟と変じた。


 そんな奴らが、素知らぬ顔で普通の人間と結ばれてもいいものだろうか?


 いや、この場合、ことの是非ぜひ善悪ぜんあくは問題ではない。色々な意見があるだろうし、答えは人それぞれだ。


 だが、俺達四人の場合、その答えは『非』だった。


 俺達のような怪物は、普通の人間と結ばれるべきではない。だからなるべく、そういったことはしないようにしよう――と。


 しかしだからといって、人々との関わりを絶つというわけでもなく、いい感じにバランスを取って行こう――と。


 まぁ、振り返ってみれば俺はセントミリドガル城内からほとんど出ず、エムリスもアルファドラグーン城内の工房に引き籠もり、シュラトも人里離れた場所を彷徨ほうこうし、ニニーヴも聖神教会を介してでしか世間と関わらなかった。


 全然まったく、いい感じにバランスなど取れていなかったのである。


 これでは知名度も下がるはずだ。前にイゾリテが言った通りである。


 俺達は自分達の意思で表舞台を去ったのだ。人々の記憶から忘れ去れていくのも無理はない。無論、それは決して悪いだけのことではなく、よい面もはらんでいるのだが。


 ともあれ、そういった事情から俺は現在に至るまで独身を貫いているのであって、決してエムリスへの恋慕れんぼが故に恋人を作らないわけではなかったのだが――


 うん、まぁ、イゾリテの目から見ればそのように映っても不思議ではない。そこは理解できる。


 しかし。


「――よし、イゾリテ。お前だから正直に話すが……」


「はい」


 俺が口調を改めると、途端にイゾリテは目に見えて居住いずまいをただした。いやいや、そんな身構えんでも――と思うが、口には出さない。正直、心の片隅でそんなイゾリテの態度が少し可愛いとも思ってしまった。


「はっきり言っておくと、エムリスがどうこうじゃなく、俺はそもそも恋愛ってものに興味がないんだ」


「――興味がない」


 俺の正直な告白を、イゾリテは要点を絞って復唱する。無表情のまま、淡々とした声音で。


 一方、俺はしみじみと語ってしまう。


「昔からそうなんだよなぁ。正直、色恋ってものがよくわからなくてな。自分で言うのも何だが、そこんとこが生まれた時から欠落しているのかもしれん。これまでの人生、誰かを一心不乱に好きになったことなんてねぇし、多分、これからもそういうことはないんじゃねぇかな。大体、俺には似合わねぇだろ? そういうことって」


「……これからもない、ですか」


 イゾリテの相槌に、うんうん、と俺は頷き、


「そーそー、俺にはえんのないジャンルなんだよ。とっくの昔から。そんなことより、これからの世界の行く末の方がよっぽど気になるぞ、俺は。まだしばらくは全世界的に戦争が続くだろ? 俺やシュラトが出向く戦場なら、いくらでも犠牲は少なくできるんだが、それ以外の場所で起こる戦いとなると、流石に関与できないからな。それを思えば、色恋なんぞにうつつを抜かすより、これからのこ……はっ?」


 色々とぐだぐだ言い訳を並べて最後に『な? だから俺とエムリスは全然まったくそんな関係じゃねぇんだよ』と言おうと思っていたのだが、突如、度し難いことに、俺は今更になって気付いてしまった。


 これ、遠回しにイゾリテの告白を断る形になっているんじゃないか? と。


 そう。久しぶりに再会した、あの日。開口一番、俺はイゾリテから言われたのだ。


『このイゾリテ、以前からあなたをお慕い申しておりました……』


 当時は正直、導火線に火を点けた爆弾を手渡されたような気分であった。それ故、情けないことに俺は弱腰で引いてしまい、その場ではまともに回答せず逃げてしまった。


 あの後、なし崩しのまま話は流れてしまったが、今でも終わったとは思っていない。


 返事を誤魔化したまま〝宙ぶらりん〟になったままだと、少なくとも俺は感じている。


 だからこそ、先程のは失言だったように思うのだ。


 あれでは誰がどう聞いても『お前の気持ちには応えられない』と言っているようなものではないか。


 いや、まぁ実際にそうなのだが。


 とはいえ、こんな風にいかにもなことを遠回しに言って想いを諦めさせるというのは、やはり卑怯なやり方ではなかろうか。


 いや、卑劣だ。


 少なくとも俺はそう思う。


 なので。


「……いやちょっと待った。悪い。今のはナシだ。誤解だ。忘れてくれ」


 唐突に話を打ち切り、それまでの全てを否定する。


 すると当然。


「はい? 突然どうなされたのですか、アルサル様?」


 イゾリテは小首をかしげ、心配そうな声音で尋ねてきた。


 だよな。うん、わかってる。今の俺がどれほど挙動不審なのか。世界で一番、俺が理解しているぞ。


 んんっ、と咳払いを一つ。


「なんというか、そうだな……恋愛に興味がないのは、確かだ。うん、これまでの人生、興味を持ったことがないっていうのは、どうしようもない事実だ。それは認める。認めるほかない」


 考えながら喋っているせいか、どうにも上手くまとまらない。しっかりしろ、俺。教え子のガルウィンはあんなにも見事な演説を打ってみせていただろうが。


 イゾリテの緑の瞳が、じっ、と俺の顔を見つめている。実に真摯しんしな眼差しだ。こういう目は、極力裏切りたくないものだと思う。


「……だけどな、その、これから先のことに関しては、だな。か、可能性がないわけでもない、というか……未来のことは誰にもわからない、というか? まだ未確定というか……」


 もう開き直ってしまうが、俺は〝勇者〟にして元〝戦技指南役〟であって、政治家や詐欺師のような口八丁なタイプではない。だから言葉がつたないのは俺の個性の一部だ。これはもう仕方のないことなのだ。


「じ、自分で将来の可能性を狭めるのはよくないことだというか……まぁ、予定は未定、ってやつ? みたいな感じで、だな。うん」


 自分で言っていて、何が言いたいのかよくわからなくなってきた。


「と、ともかくだ。今は興味がなくても、その内いつか興味が出てくるかもしれない、ってことだな。だから、なんだ。あれだ。さっきも言った通り、エムリスとは本当に何でもないんだが、もしかしたら遠い未来にそういうことだってあるかもしれない……し、ないかもしれない。とにかく、断言はできない、ってことだ。うん」


 自分を俯瞰ふかんで見てみると、我ながらなんと情けない野郎であろうか。口が拙いのは個性だと開き直るのはいいが、いかんせん弱腰にも程がある。こんな奴のどこが『勇者』なのだ。戦い以外では形無しのチキンではないか。


「――つまり、エムリス様と男女の関係になったことはない、と」


 またしてもイゾリテが俺の言い分をわかりやすくまとめてくれた。もちろんそんなつもりはなかったのだろうが、俺にとっては最高の助け船である。


「そう、つまりはそういうことだ。うん」


「ですが、これからの未来においてはその可能性も有り得る、と」


「……いや、それは、なんだ。ま、まぁ、確かにゼロじゃないんだが……なくもないってだけでな、うん」


「ということは、お相手はエムリス様に限らず、と」


「ま、まぁそうだな。未来のことは誰にもわからないからな、うん」


「では、私にも可能性はある、と」


「ま、まぁ、ないこともない、って感じだな、うん」


「――なるほど、わかりました。私にもアルサル様と結ばれる可能性が僅かでもあるとわかれば、それで十分です。そのお言葉を拝聴できて、とても嬉しく思います」


 いきなりイゾリテの声調がガラリと変わった。


「……うん?」


 思わぬ落差に俺の思考が空転する。


 あれ? 俺なんか間違えたか? 何か今、おかしな手応えがあったぞ?


 まるで地雷を踏み抜いたような錯覚をふと覚え、俺はいつの間にかあらぬ方向へ逸らしていた視線を、イゾリテへと戻した。


 そこにはいつもと変わらず無表情の――否、違う。表情筋は少しも動いていないのに、やたらと情熱的な顔をしたイゾリテがいた。


「…………」


 何か違和感があるなと思ったら、目だ。相変わらずの淡々とした表情の中、イゾリテの緑の瞳だけが爛々(らんらん)と輝いている。まるで身の内で燃え盛る、激情の炎を表すかのごとく。


「アルサル様」


「お、おう……」


 普通に気圧けおされた。百万の魔族を前にしようが、決してたじろぐことのない、この俺が。


「大切なお話があります」


 来た、という感じだった。


 ついに来たか、と。


 ここまでの話の流れで、イゾリテが何を言い出すのかなど容易に想像ができる。


 先述した〝宙ぶらりん〟の話に決まっていた。


「……あー……それ、今じゃないとダメか?」


 この期に及んで、俺はつい逃げの一手を打ってしまった。つくづく情けない男だと思うが、冗談抜きでとんと耐性がないのだ、この手の話には。


 果たしてイゾリテは至極冷静に、


「今でなくとも問題ありません。が、今がいけないという理由もありません。お時間を取らせますが、どうか聞いていただけないでしょうか」


 かっちり理詰めで逃げ道を塞がれた。流石は俺の教える理術を、スポンジが水を吸うかのごとく覚えていった天才少女だ。理の扱いにおいて、この世界で右に出る人間などまずおるまい。


「……わかった」


 俺は内心で深呼吸をし、覚悟を決めた。もはややぶれかぶれだ。何がどうなろうと知ったことか。別に死ぬわけでもなし。どんな結果になったところで、後は野となれ山となれだ。


 俺は居住まいを正し、


「――聞こうか、お前の話」


 その途端、場に凄まじいまでの緊張感が満ちた。


 大森林近くの長閑のどかな土地で、テントを張って楽しくキャンピング中だというのに、まったく似つかわしくない硬質の空気が漂い、肌がひりつく。


 大気が帯電しているかのごとき雰囲気を滲み出させているのは、イゾリテなのか、俺なのか。あるいは双方か。


 まるで魔王との決戦の直前かのような――というのは、流石に言い過ぎだろうか。


 口火を切ったのは当然、イゾリテからだった。


「覚えておいででしょうか。久方ぶりにアルサル様と再び相まみえた際に、私がお届けした言葉を」


 そらきた。俺の背筋を電撃のごとく緊張感が駆け抜ける。


 しかし、なんてこった。イゾリテの奴、一気に間合いを詰めてきやがった。最短距離で懐に飛び込み、一瞬で勝負を決める腹づもりか。てっきり慎重にじっくり攻めてくるものだと思っていただけに、反応が遅れてしまう。


「……あ、ああ、ソレなら覚えてるぞ。多分……ほら、アレ、だよな?」


 しどろもどろと。いや、アレとかソレとか、年老いたジジイか俺は。何というか、頭の片隅には冷静な自分がいて高速思考でツッコミを入れているのだが、肝心の俺本体が周章しゅうしょう狼狽ろうばいしていて、まるでお話にならない。


 出し抜けにイゾリテが立ち上がった。


 力みのない自然な動作だったので、咄嗟に反応できなかった。当たり前のようにローチェアから腰を上げたイゾリテは、俺の前へと回り込み、その場でかがみ込む。


 ずい、とイゾリテの顔が迫った。もう少し近付けば口付くちづけてしまいそうなほどに。


 何か花のような、いい香りがした。


「覚えておいででしょうか」


 先程と同じ言葉を繰り返す。まるで念を押すように。あるいは、呪いをかけるように。


 忘却など絶対に許さぬかのごとく。


 至近距離から、緑の瞳がまっすぐ俺を見つめている。イゾリテの瞳に映る、自分の顔が見える。


「あの時、私はお伝えしました。この胸に秘めていた懸想けそうを」


 表情を変えぬまま普通に言うので、防御ができなかった。あの時と同じだ。


 懸想――恋い慕うことを意味する言葉。


 つまり、いや、やはり。


 これまでずっと〝宙ぶらりん〟だった件についての話であり、剛毅ごうきにもイゾリテは二度目の告白をしてきたのである。


 しかも、真っ向から。


 もはや避け得ぬ事態に、俺の頭の中は真っ白に染まる。だが、次はきっと俺が言葉を紡ぐ番だ。


 言わなければならない。できれば言いたくなかったが、俺の本心を――


「ですが、アルサル様からお返事をいただこうとは思っておりません」


「イゾ――へっ?」


 絶妙なタイミングでイゾリテの台詞が先に出たので、まず名前を呼ぼうとした俺は、中途半端なところでつんのめってしまった。


 そのまま、しばし硬直。


「え……いら、ない……のか? 返事……えっ?」


 思考回路に深刻な不具合が発生した俺は、片言ながらもイゾリテの言葉を要約し、聞き返す。


「はい」


 と真摯な表情で頷くイゾリテ。距離が近いせいで、それだけで琥珀色の前髪が俺の鼻に当たりそうになった。


 すぅ、とイゾリテが息を吸う音。


あらためてになりますが、つつしんで申し上げます。このイゾリテ、以前からあなたをお慕い申しておりました。今もその気持ちに変わりはありません」


 至近距離の真っ正面から、なんて台詞をぶつけてくるのだ、この少女は。聞いているこっちが、逆に恥ずかしくなってくるではないか。


 いや、実際に愛の告白を受けているのは俺なのだから、ある意味では照れて当たり前ではあるのだが。


 唖然とする俺に、イゾリテは続ける。


「しかしながら、私はアルサル様とくらぶべくもない矮小わいしょうの身。あなた様のご寵愛を受けようなどと言語道断。分不相応ということは、重々承知しております」


「お、おい……」


 かつての教え子が俺を上げるために自らをいやしめるなど、もってのほかだ。思わず声を上げ、イゾリテを制止しようとする。しかし、


「ですが。いいえ、だからこそ」


 はっきりと強い声がさえぎるように発され、俺の言葉はそこでき止められた。


「……私はあなたのそばにいたい……」


 今にも消え入りそうな、ささやき声。


「――。」


 敬語抜きの、どう聞いても心の底からの本音でしかないその言葉が、俺の胸に詰まった。


 ちくしょう、俺は馬鹿か。どうして気付かなかったのか。


 イゾリテだけじゃない。ガルウィンだってそうだ。


 二人は、いつだって俺やエムリスを立ててくれていた。褒めそやしてくれていた。


 だが――それは同時に、彼女ら自身をおとしめることにつながっていたのではないか?


 ずっと社交しゃこう辞令じれいだと思っていた。自らを卑下ひげし、英雄である俺達を称賛しょうさんする言葉の数々。


 だが――それらがもし、【本心からの言葉だったとしたら】。


 俺は、もしかしなくとも、ひどく残酷な自傷行為を続けさせていたのではなかろうか。


 自らを傷つけ目に見えぬ血を流すイゾリテを、そうと気付かず、ずっと見過ごしていたのではなかろうか。


「――……っ!」


 そう気付いた瞬間、膨大ぼうだいな量の後悔が俺の胸にあふれ返った。


「……ですから、どうかアルサル様、このイゾリテをおそばに置いてください……」


 追い打ちをかけるように、イゾリテがささやく。今にも泣きそうな声音で。まるで、自分が捨てられることが前提かのように。


 いや、違う。確かにそれは、間違いでも勘違いでもない。


 俺は全てが終われば、一人旅に出ようと考えていた。誰にも邪魔されない、スローライフの旅を画策していた。


 それをおもてに出したつもりはないのだが、あるいは、その気配を察知されていたのかもしれない。


 だがおそらく、それ以上にイゾリテはこう思っているのだ。


 自分は、アルサルにとって取るに足りない芥子粒けしつぶのような存在だ――と。


 だから容易よういに捨てられる、離ればなれになってしまう――と。


「…………」


 正直、ぐうの音も出ない。図星を突かれるとはまさにこのことだ。ギクリとしなかったと言えば、完全に嘘になる。


 だからこそ、胸の内にき上がる後悔もひとしおだった。


「……イゾリテは、あなた様のお側にいられるのなら、それだけで幸せです……それで十分なのです……ですから、どうか……どうか……」


 普段、感情など母の胎内に置いてきたかのようなイゾリテが、瞳をうるませ、声を震わせている。


 必死。その一言であらわしうる少女の姿に、俺はどうしようもなくなってしまった。


 すわ愛の告白か――などと身構えていた俺は、これ以上ない道化であり、愚か者だった。


 イゾリテの吐露とろは、想像していたような甘い代物しろものではなかった。


 切羽詰まった、悲痛な叫びだったのだ。


「――イゾリテ……」


 溜息を禁じ得なかった。


 反省せねばなるまい。己の愚かさ加減を。


 こんなにもしたってくれる相手を、俺はろくに見てもいなかったのだ。不安にさせてしまっていたのだ。


 それこそ、何が勇者だ。何が英雄だ。


 いい加減にしろよ、この鈍感野郎。


「……悪かった。不安にさせちまったよな」


 俺は片手を上げ、そっとイゾリテの頭に乗せた。琥珀色の髪を押さえ、優しく撫でる。


「お前の気持ちはよくわかった。約束する。俺は、お前を置いていかない。勝手にどこかへ消えたりしない。ちゃんとそばにいる」


「――――」


 珍しい。あのイゾリテがキョトンとしている。目を見張って、呼吸も忘れたように硬直している。


「ああ、もちろん四六時中じゃないぞ? 別行動することもあるだろうし、トイレや風呂に行くこともあるからな。あくまで概念的なお話だ。ある日突然、黙って姿をくらましたりなんかしないぞ、って意味な」


 少々誤解されそうな言い回しだったので、念のため補足を入れておく。我ながら少し間の抜けた話なので、思わず苦笑いしてしまった。


「――これでいいか?」


 頭を撫でながら尋ねると、しばし無言のまま固まっていたイゾリテは、ぷい、と顔を背けた。その浅黒の頬が、心なしか朱に染まっているように見えるのは、俺の気のせいだろうか。


「……アルサル様」


「ん?」


「……私は、もう子供ではないのですが……」


 どうやら頭を撫でられていることに対して不満があるらしい。子供扱いしすぎではないか、と言いたいようだ。


 俺は小さく笑って、


「なんだよ。嫌なのか、これ?」


 くしゃくしゃとイゾリテの髪をかき回す。何とも言えない、実にいい手触りだ。


「別段、嫌というわけではありませんが……」


「ま、俺から見れば、お前もガルウィンもまだまだ子供だよ。一応、図体だけは随分大きくなったみたいだけどな」


 少なくとも外見だけなら、成長の止まったエムリスと比べれば十二分に大人に見えよう――そう思ったが、敢えて口には出さない。この状況でエムリスの名を出すことが無粋なことぐらい、俺にだってわかる。


「お言葉ですが、私は見た目も中身も成長しております。少なくとも、あの頃の小さな女の子ではもうありません」


 どこか拗ねたようなイゾリテの口調。そう言いつつ、俺にされるがまま撫でられ続けているのだから、可愛いものだ。


「じゃあ、やめるか?」


 笑って揶揄やゆするように問うと、


「いいえ、こうしてください」


 無造作にイゾリテが動いた。


 現在、俺はローチェアに腰を下ろし、イゾリテはその真ん前に屈んで目線の高さを合わせている状態だったのが――


 いきなり犬か猫よろしく、イゾリテが俺の胸へと飛び込んできたのである。


「おっ……!?」


 思わず声が出た。まさかの奇襲である。イゾリテがこのような行動に出るとは夢にも思わなかった。


「――現在では、こちらの方が適切かと思われます」


 出し抜けに抱きついてきたイゾリテは、くぐもった声でそう言った。ちょうど頭を俺の胸に預ける形で、まぁ抱きつくというより、しがみついていると言った方が正確かもしれない。


 というか、この体勢、誰がどう見ても親に甘える子供の図にしか見えないのだが。


「まったく……お前、昔から思ってたけど、意外と甘えん坊だよな?」


「……そんなことはありません」


 顔を見せぬままかたくなに否定するイゾリテだが、俺の背中に回された腕にはさらに力が籠められ、どんどん密着度が上がっていく。


 苦笑した俺は、改めて片手をイゾリテの頭にのせ、ポンポン、と軽くはたいた。


「そうかよ。じゃあ、そういうことにしておいてやる」


「……恐縮です」


 何とも言えぬイゾリテの声の響き。ちょっとだけからかってやりたい気持ちもあるが、まぁやめておいた方が無難だろう。何も見えている地雷を踏むこともないのだ。


 そういえば、昔も似たようなことがあったな。まだイゾリテが犬っころみたいに小さかった頃の話だ。訓練の見学中にウトウトと舟をこぎだした幼いイゾリテに声をかけると、寝ぼけて俺をガルウィンと勘違いしたのか、ちょうど今みたいに抱きついてきたのだ。


 なんとも懐かしく微笑ましい記憶だ。


 確かあの頃はまだイゾリテの体も小さくて、骨張っていて――


「ん……?」


 奇妙な違和感に、思わず小さな声が漏れた。


 あれ? なんか感触が全然違くないか? 柔らかい。めちゃくちゃ柔らかいぞ。いや成長したのだから体重が変わっているのはわかっているし、この程度の重量の変化など俺にとっては些細なことなのだが。


「――。」


 あー、うん。わかった。というか、考えるまでもなかった。


 これ、アレだな。【エムリスにはないやつ】だな。


 豊満というか。わがままというか。グラマラスというか。ボリューミーというか。


 先程のイゾリテの言葉。あの頃の小さな女の子ではもうありません――なるほど、確かに。


 これは、うん。反応に困るな。とてつもなく。


「…………」


 精神統一だ。無の境地だ。俺は全神経を研ぎ澄まし、思考を澄み渡らせる。余計な邪念、煩悩など決して抱かぬように。


 無心。そう、虚無きょむ坦懐たんかいてのひらを動かし、まるで野良猫にそうするようにイゾリテの頭を撫で続ける。


 はてさて。いやはや。俺はここからどうすればいい? どうすれば、この状況から脱出できる? そんな究極の問題について考えるため、いっちょ高速思考を開始しようとした矢先だった。




『やぁ、アルサル。お楽しみのところ悪いのだけど、少しお邪魔するよ?』




 エムリスから通信が入った。







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