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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第1話 ユノ
9/92

9.スミス



 ・前回のあらすじです。

 『ユノがカルブリヌスを使うのを怖がる』





 ・・・・・・




 日当ひあたりの悪い細道(ほそみち)職人街(しょくにんがい)はあった。


 煉瓦造れんがづくりの家並みにはさまれて、一軒(いっけん)だけ、木造きづくり家屋(かおく)がある。

 『スミス・ドヴェルグ』。

 そんな看板のかかった武具店(ぶぐてん)に、ユノとセレンは入っていった。


「いらっしゃい」

 低い挨拶あいさつった。

 白髪(しらが)の伸びた老人が、カウンターにすわっている。背は低い。

 ユノはペコリと老店主にあたまを下げた。


 皮をなめしてつくった防具が、店のスタンドに展示てんじされている。

 かべには剣や槍が掛かっていた。

 セレンが武器ぶきをながめる。

 取って、ユノに渡す。


初心者(しょしんしゃ)向け……かどうかは分かりませんが、オーソドックスなのはブロード・ソードですね」

「おっ、も……」


 ――がくんっ。

 ユノは上体をとした。

 (ブレイド)の部分がゆかにつく。

 (しろ)で引いたき抜いた剣は、(はね)のように軽かったのに。


「お兄さん、新人の冒険者(ぼうけんしゃ)?」

 カウンターで、老店主(ろうてんしゅ)が目をすぼめる。

「アールヴをお伴にするってなあ……あんた、よっぽど仲間にめぐまれてないんだなぁ」

「ご心配しんぱいなく。ここでの用事をすませたら、私は(さと)かえるので」

「えっ!? ついて来てくれないんですかっ?」

 ユノはセレンに取りすがった。


仕事(しごと)がありますので。面倒をるのはここまでです」

「お兄さん」

 店主てんしゅが立ちあがる。

 座っていた時よりも、背は小さくなっていた。

妖精(ようせい)ってのは基本、人間嫌いなのさ」


 男は鉱山(こうざん)の妖精――〈ドワーフ〉だった。

 剣立けんたてのつぼから、ドワーフの男は短めのものを、一振ひとふす。それはセール(ちゅう)の商品だった。


「このへんの魔物(まもの)相手なら、こいつで充分じゅうぶんだな」

 ブロード・ソードよりも刀身のみじかい武器ぶき――ショート・ソードと呼ばれるけんである。

 ドワーフは、それをユノにわたした。

 おそるおそる、ユノは両手で剣の(つか)にぎり締める。


「あ、これなら……あつかえそうかな」

「それじゃあ、お買いあげということで」

 無骨(ぶこつ)な手がうえく。

 セレンがユノに、巾着袋(きんちゃくぶくろ)を寄越す。


陛下(へいか)より今朝たまわった資金です。あなたの衣装も、これで購入こうにゅうしました」

(ちゃっかりしてるなあ……)

 ユノはお金をった。

 銀貨(ぎんか)銅貨(どうか)が、袋にはたっぷりとはいっていた。

「ボクは王様に会いに行かなくてもよかったんですか?」

「声はかけたのですが、うなされていましたので。こちらで勝手に、ませておきました」


 ユノは苦笑にがわらいをした。

 ドワーフに代金だいきんを払う。








 んでいただき、ありがとうございました。



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