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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第9話 ラスト・ダンジョン
89/92

87-b.帰還



 ・前回ぜんかいのあらすじです。

『今後の行き先をユノが考える』






「元の世界に帰ります」

 しっかりとユノはセレンに()げた。


「わかりました」

 と彼女かのじょはおごそかに(うけたまわ)る。

 霊樹(れいじゅ)(つえ)を黒い(ゆか)にトンとく。

 白く発光(はっこう)する(せん)び、ユノの本当ほんとう名前なまえ(ちゅう)につづった。


 ――幸村(ゆきむら) (のぞむ)


「……なんか、すごくなつかしい感じがする」

 漢字かんじ(しる)された自分のに、ユノ――幸村 望は安堵(あんど)した。


 不思議そうにセレンが問いかける。

「元の世界に帰ったところで、あなたの運命(うんめい)が変わるともおもえませんが……なぜ帰ろうと?」

「だって……ボク、()んだことになってるんでしょう?」

「ええ」

とうさんやかあさんが、かなしむかなって……」


 はあ。

 とセレンは嘆息(たんそく)した。

 ばつがわるそうに、ユノは(ほお)をかく。固まった血がパラパラちる。


「……(みずか)いのち()った人がそれを言うんですか」

「もうしないよ」


 光の文字(もじ)をセレンはユノに返した。それは彼の(むね)い込まれ、消えた。


 ほのかにユノが輝く。

 転移(てんい)はじまる。


「あの、セレンさん」

 ユノは妖精(ようせい)に告げた。

日本にほん――元の世界で、また不幸な()っても……今度はボク、なんとかできるような気がするんです」

「ここでのことをわすれてしまうのに?」

「でも、ボクが生きていたっていう軌跡(きせき)のこるんでしょう?」


 ほこらしげに、しかしすこさみしそうにユノは笑った。

 小さくセレンも微笑(ほほえ)む。


 光が散った。


 彼は消えた。

 彼にあたえていた【ユノ】という名前なまえだけが、光の文字になってのこる。

 それもまた、やがてちゅう()けてくなった。


「ご健闘(けんとう)をおいのりしています」


 ひっそりとセレンはつぶやいた。

 無人むじんになった魔王城(まおうじょう)虚空(こくう)かって。


 霊樹(れいじゅ)(つえ)を振る。

 空間くうかんを開く。


 そして妖精(ようせい)(おんな)もまた、消えた。




                  【side-b:完】






  んでいただき、ありがとうございました。



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