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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第9話 ラスト・ダンジョン
88/92

86.あるべきところ



 ・前回のあらすじです。

『ユノが魔王まおうをたおす』







()わりましたね」


 おんなの声がした。

 ユノは振りく。


 みどり長髪(ちょうはつ)ながみみ萌黄(もえぎ)のドレスをまとった、新緑(しんりょく)の季節をしのばせるよそおいの、妖精(ようせい)の美しき(おさ)


 魔王(まおう)のいなくなった謁見(えっけん)に、彼女かのじょ――セレンは立っていた。


正直しょうじき最初さいしょ不安ふあんでした。まともに魔物(まもの)と打ちえるのかと」

「……でも、ボクが死んだところで、セレンさんは(こま)らないんでしょう?」

「ええ」


 セレンは笑った。()えはいくらでも()くと。


 彼女は魔王まおう残骸(ざんがい)のあった場所ばしょた。

 【魔石(ジェム)】はい。

 ぽっかりと、虚無(ブラックホール)のように、どこかへつづく()()()ができている。


「まあ、あなたにとって本意(ほんい)ではない結果となってしまうのは心苦こころぐるしいですが」

「取り(つくろ)わなくてもいいです」


 ユノはエクスカリバーに視線(しせん)をやった。

 (けん)は、()まれたての無垢(むく)なるもののようにあたたかく、希望(ひかり)()ちていた。


「それにボク、この世界の人たちは、セレンさんの言うようにはいかないっておもってますから。なんだかんだで、これからも(たくま)しく生きていけるんじゃないかな……」


 セレンはムッとしたようだった。柳眉(りゅうび)(はし)がピクとはねる。


「なぜそう思います」

「そうあってしいから」


 ユノは笑った。

 輝く剣をどうしようかまよった(すえ)、セレンに()し出す。


 セレンは受け取った。

 霊樹(れいじゅ)(つえ)を振るう。

 のぞいた空間に、どこへともなくエクスカリバーをおくる。


「それ、どこに収納(しゅうのう)されるんですか?」

「あるべき(ところ)へ」

 セレンは言った。


 みどり()をユノにける。

「で、どうします、ユノ(さま)

「どうって?」

「お帰りになられますか?」


 ――(たたか)いに麻痺まひしていた感覚が、ユノの全身にもどってきた。

 みぎの、()みちぎられた部位(ぶい)が痛い。

 出血しゅっけつあたまがくらくらする。


「帰るのであれば、あなたの本当ほんとう名前(なまえ)をお返しします。それで元の世界(せかい)にもどれます。ここで体験(たいけん)した記憶きおくも、()ったケガも、全部なかったことになるでしょう。……まあ、あなたが()まえの時間にもどされる、と考えていただければよいかと」

「じゃあ、ここでこったことは? 魔王まおうたおされなかったことになるんですか?」


 セレンは首をよこに振った。


「あくまで、あなたが『蘇生(そせい)する状態(じょうたい)』について、のはなしです。こちらであったことは、相変(あいか)わらず、連続したものとして()りつづけます」

「てゆーか、ボク、死んだことになってたんですね……現実(あっち)では」


 セレンは(うなず)いた。


「なお、もどれば二度(にど)とこの世界に()ることはかないません」


 ――もう一度(いちど)彼女かのじょは質問した。


「どうします? お帰りになられますか。のこるとすれば、今度(こんど)は逆に、もとの世界には帰れなくなりますが」


 ユノは考えた。

 血の不足(ふそく)したあたま懸命(けんめい)にひねる。


 選択(せんたく)する。





 ※最終回さいしゅうかいは、ふたつのパターンを投稿とうこうします。

 ・『パターン:a』→ユノが、異世界いせかいのこ選択せんたくをする。

 ・『パターン:b』→ユノが、もとの世界にもどる選択をする。

 (投稿する順番じゅんばんは、『パターン:b』が先になります)




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