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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第9話 ラスト・ダンジョン
86/92

84.邪眼



 ・前回のあらすじです。

『ユノがディアボロスをおこらせる』







 (りゅう)あばれた余韻(よいん)はしらがゆらぐ。


 上層じょうそうの通路がヒビ割れる。

 ユノのもとに、くずれた天井(てんじょう)とディアボロスの眼光が殺到(さっとう)する。


(――!!)


 轟音(ごうおん)粉塵(ふんじん)と共に拡散する。

 ユノは覚悟した。

 こわばった体が、不可視(ふかし)の、においのない劇薬をびて石に変わる……。


(あ、)


 手が動く。


(れ?)


 (はだ)きずだらけの黄土(おうど)色で、生物的な感覚(かんかく)をともなったままだった。


 眼前(がんぜん)に積もった、壊れた天井てんじょう見上(みあ)げる。


 とっさにユノの全身にちからがこもる。

 壁となり、りゅう邪眼(じゃがん)をはばんだガレキが、石ころの色に変わっていた。


 ――ユノが跳ぶ。


 石くれを破壊(はかい)して、ディアボロスが突進する。


『運のいいやつめ!』


「それだけでやって来たんだ!」


 ユノは逃げながら()えた。

 りゅうの首をかわし、(ゆか)反転(はんてん)する。


 ディアボロスはもう加減(かげん)をしない。

 ユノを睨み石化の毒気(どくけ)はなつ。


「セレンさん!」


 ユノはいのった。

 彼女かのじょたすけを()うのは、()けだった。


 突き出した左手から、閃光(せんこう)(ほとばし)る。


 妖精(ようせい)の光が透明とうめい瘴気(しょうき)とぶつかり、爆発(ばくはつ)こす。


『こざかしい真似まねを!』


 ――ガクンっ……。

 ユノのあしからちからがける。

 【気術(きじゅつ)】はしばらく使っていなかったせいで、加減を(わす)れてしまっていた。


 カルブリヌスをゆかに突き立て、くずれる身体を支える。

 (かた)膝をついたところに、つづけざまにりゅうの毒が放出ほうしゅつされた。


 神秘(しんぴ)の刀身が、(あやし)眼力(がんりき)(ふせ)ぐ。

 選定(せんてい)(けん)の切っ先から(つか)にかけて、(かがや)きが()せていく……。


万事(ばんじ)……(きゅう)すだ――!)


 右手みぎて中指なかゆびに、キラリと(ひかり)がはねる。


 ユノは見開みひらいた。


(……いや、まだだ。(あきら)めるわけには、いかない!!)


 ――最後の一手(いって)に賭ける。


 はしりだす。


 ディアボロスの眉間(みけん)が、ピクとふるえた。


無駄むだなあがきを』


 あわれみさえまとった低い(うな)り。

 金の(ひとみ)は、石になったカルブリヌスを振りあげる、ユノの右腕(みぎうで)っていた。


「こっ、のおおおおおおおおおお!!」


 半狂乱(はんきょうらん)になってわめく勇者(ゆうしゃ)に、ディアボロスは悠然(ゆうぜん)くちける。

 彼の腕を()む。


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