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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第9話 ラスト・ダンジョン
84/92

82.波紋



 ・前回のあらすじです。

『ユノと、魔王まおうディアボロスの戦いがはじまる』








 雄叫(おたけ)びがユノの鼓膜(こまく)(つんざ)いた。


 黒曜(こくよう)の壁が、アーチが、波紋(はもん)衝撃(しょうげき)(ひび)割れる。


 周囲(しゅうい)で、かろうじて形を保っていた石像(せきぞう)が砕けた。


 圧迫あっぱくする(りゅう)のひと()きを、ユノは地面じめんにかじりつくようにして踏んってこらえる。


()えられないほどじゃない……!)


 ――いまだ!


 と自分(じぶん)ふるい立たせ、剣を片手に(はし)りだす。(うろこ)表皮(ひょうひ)尻目しりめに――やわらかそうな、腹部(ふくぶ)ねらいを定める。


 ドンッ。


 太い(あし)が脇にちる。


 風圧(ふうあつ)にヒヤリ(あせ)としながら、蛇竜(じゃりゅう)――ディアボロスのはらすべり込む。

 ()()白刃(はくじん)を振りげる。


 カンッ。


「っ!」


 ()のぬけたおとがした。

 ビリビリ手にシビれる感覚(かんかく)


 とぼしい松明(たいまつ)かりを反射(はんしゃ)して、こぼれた金属のかけらが、七色(なないろ)のきらめきを(ともな)って散る。


()が……!)


 人を、

 ()(もり)銀狼(ぎんろう)を、


 いとも容易たやすく切り、つらぬいた名刀(めいとう)が、あっけなくけずれなまくらに()す。


 りゅう()んだ。

 (どう)の下に隠れていたユノの身体が(さら)される。


(まずい!)


 ずしんと背後(はいご)で地がれる。

 振動にいすくみ、反応(はんのう)おくれた。


 なが()がぐるりと回転(かいてん)する。

 バックステップしたユノを、鉄柱(てっちゅう)のごときひと()ぎが殴打(おうだ)する。


「がふっ…………!!」


 (よろい)の下で、胸部(きょうぶ)が鈍いおとをたてる。

 はらおく臓腑(ぞうふ)し潰される。

 身体が打ちあがり、()きぬけに飛んだ。


 上階(じょうかい)()()()()え、カベに激突(げきとつ)する。

 土煙つちけむりがり、壁面(へきめん)くずれる。


 糸の切れた人形(にんぎょう)のようになった全身が、瓦礫(がれき)に埋もれる。


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