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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第9話 ラスト・ダンジョン
82/92

80.ディアボロス


 ・前回のあらすじです。

 『ユノが、自分と同じ世界から来た人たちをつける』







 中指(なかゆび)まった、精霊(せいれい)のちからの宿る指輪(ゆびわ)


(これを使えばたすけられるのかな?)


 砕けた石像(せきぞう)をユノはまわす。

 状態じょうたい絶望的(ぜつぼうてき)だった。

 自分と同い年くらいの元戦士たちは、石になり、砕けて、元に戻っても死の運命(うんめい)は変えられそうもない。


 ユノは自問(じもん)した。

(でも、試してみる価値(かち)はある……?)


 同郷(どうきょう)戦士(せんし)たちが体を取りもどし、さらにバラバラになった部位(ぶい)を復活させる――。


無理むりのある奇蹟だとは思うけど)


 ユノは指輪を自分(じぶん)まえにかざした。(いの)りをこめる。


(って、使(つか)いかたこれで良いのかな。どうすればいいか聞いてないや)


 ボッ。


 ()れた。

 生物(いきもの)の動く気配(けはい)がする。


 ユノはカルブリヌスを掴みなおし、(くら)がりにをやった。


 黄金(おうごん)球体(きゅうたい)が光っている。


 ゾッとするほど(あか)るくあたりを照らす眼光(がんこう)に、猫目石(ねこめいし)のようにするど縦線(たてせん)はいった――


 (くろ)巨体(きょたい)が起きる。

 まるで熱気を()るかのように、(けもの)がひとつ呼吸をすると、火が()いた。


 鬼火(おにび)のなかに、(りゅう)輪郭(りんかく)が浮かびあがる。


 あおい光を()りかえし、鈍色(にびいろ)につやめく(うろこ)はだ

 城を(ささ)えるはしらよりも太い四肢(しし)

 長いヒゲをはやした頭部(とうぶ)は、ユノのイメージしていたドラゴンよりもいくらか()(おもむき)が強い。


 (つばさ)を持つヘビの造作(ぞうさく)に、(みっ)つの(つの)をはやした、異形(いぎょう)(かみ)


「……ディアボロス」


 ユノはなんとかそれだけを言った。


『いかにも』

 竜のヒゲが、意志(いし)あるもののようにれる。


『私が全ての化生(けしょう)(たば)ねるもの。お前たち人間が【魔王(まおう)】とぶ存在』


 段差(だんさ)をいくつかのぼった先。

 本来ほんらい玉座(ぎょくざ)のあるところから、竜

は動かなかった。

妖精(ようせい)(おさ)から話は聞いている』

「セレンさんから?」


 ユノは目つきを(けわ)しくした。

 竜はがえんずるようにうなる。

 空気が重量(じゅうりょう)()す。


対話(たいわ)の席は(もう)けるようにしているのでな。その段取(だんど)り、といったところだ』


 ディアボロスの語気(ごき)は落ちついていた。

 ユノは反論(はんろん)をこらえる。


「対話? 誰と」

『お前とだよ。なに、悪い(はなし)じゃない』


 竜は壊れた石像(せきぞう)一瞥(いちべつ)した。

『そこにある勇士(ゆうし)たちは、私の邪眼(じゃがん)にやられた。私の()は、()びたものを石に変える(どく)を持つ』


 ユノはだまっていた。


『だが、私としても()の世界の住人(じゅうにん)危害(きがい)をくわえるのは本意(ほんい)ではない。このまま我々に干渉(かんしょう)せず、(もと)の世界に帰るなら、私はお前を見逃(みのが)そう』


「ここまで()させておいて……」

(ちゃ)くらいは出そう』

「ふざけるなよ」


 ユノは()えた。

 だが心は、竜の提案(ていあん)(かたむ)いていた。


『セレン、とお前はんだか。彼女に(たの)めば帰還(きかん)かなえてくれるだろう』


 ――チャンスは一度(いちど)きりだ。


 と、ディアボロスは(ねん)()した。



 ※投稿済とうこうずみの内容と食いちがっている可能性があります。

 修正はおこなう予定ですが、時期は未定みていです。


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