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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第9話 ラスト・ダンジョン
77/92

75.ソド



 ・前回のあらすじです。


 『ユノが仲間たちと別れ、ひとり【魔界まかい】に行く』




 やせた土地に枯れた草が()えていた。

 風はつめたく、(こおり)(やいば)のように全身を()りつける。


 暗澹(あんたん)とした世界。

 魔物(まもの)の住む常闇(とこやみ)領域りょういき――魔界(まかい)


 王の居城(きょじょう)そびえる黒い峻峰(しゅんぽう)をのぞむ巌谷(いわや)に、【ソド】という町がある。

 【魔物まもの】だけで構成された、その原始的(げんしてき)な集落は、数日前にやってきた来訪者(らいほうしゃ)の話で持ちきりだった。


『また【勇者(ゆうしゃ)】が来たって?』

『こりないねえ、人間も』

『これで何人目だろう』


 (がけ)岩肌(いわはだ)あなった造りの建物。

 人界(じんかい)からさらってきた半魔族(はんまぞく)や人間をおつまみに、爬虫類(はちゅうるい)(づら)大柄(おおがら)な戦士【サラマンデル】たちが酒をあおっている。

 さる(がた)のモンスターが、木の(うろ)でこっそり発酵(はっこう)させていたのをかすめ取ってきたのだ。


『で、今はどのあたりに?』

『城にはいったってよ。食い()めようとした一隊(いったい)も全滅。防衛軍(ぼうえいぐん)に志願しなくて正解だったぜ』

妖精(ようせい)が手引きしてんだものな。いつもより早い気もするが……まあ、そんなものだわな』

『しかし、もし魔王(まおう)さまが()たれれば、魔界(ここ)人間界(にんげんかい)からは完全に隔離(かくり)される。今の内にいくらか狩り()んでおこうか』


 三頭(さんとう)のサラマンデルのうち、ひとりが立ち上がった。

 キキキ。

 と一人(ひとり)が笑う。


『そうだな。特に半魔(はんま)の連中はこっちで飼ってやったほうがよっぽど幸せかもしれねえ。人間さまったら、オレらよりずっと(あつか)いがヒドイっていうじゃねえか』

家畜(かちく)や食料になるよりヒドイってどんなだ』

()()()か……おまえ……』


 いちばん年少ねんしょうのサラマンデルに、さっき笑っていたやつが半眼(はんがん)になる。

 ジョッキをカラにして、年嵩としかさの彼らも立ち上がった。

 棲家(すみか)(ほら)を出て、人間界にわたる(ほこら)へ飛ぶ。


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