69.吹き抜け
・前回のあらすじです。
『ユノたちとアルゴルの戦闘がはじまる』
塔に黒煙がのぼる。
大剣を構えて突進し、ユノは爆炎を突き破った。
アルゴルが跳躍する。
ユノの斬撃をかわし、三条の矢を放つ。
魔のホーミングアローを、ユノは刃の腹で受け止めた。
ダークエルフの黒い魔力が爆発し、衝撃がユノを跳ね飛ばす。
「あっ!」
広間の床から、ユノは遥か下へとつづく穴にほうり出された。
らせん階段の中心――吹き抜け部分に身体が落ちていく。
「ユノ!」
【魔法の石】をローランがユノに投げつける。
緑の石が砕け、気流を起こした。
旋風に押しあげられて、ユノは最上階に舞いもどる。
接地した足がわなわな震えている。
(じょっ、冗談じゃないよ)
頂から一階までを貫く吹き抜けは、虚無のように底が暗い。
(夜になる前に決着をつけないと)
ユノは確かめるように足場を踏みしめる。
崩れたカベの外は、夕暮れを濃くしていた。
閉ざされた間からあふれる燐光だけが、おぼろにフロアを照らしている。
「不便ですね、人間は」
アルゴルが天に弓引く。
一筋の矢が無数の粒子へと展開――
熱波の雨となってユノたちに降り注ぐ!




