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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第7話 雨期(うき)
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59.楽園



 ・前回のあらすじです。

 

妖精ようせいのセレンが魔王と対話する』




 セレンは黒い(りゅう)無言(むごん)の問いに返した。


「『回帰(かいき)』です。神と妖精(ようせい)、そして精霊(せいれい)さまだけがあった時代。人が私たちに飼われ、楽園(らくえん)で家畜として生きていた……まだ()(よこしま)もなく、(ぜん)(よろこび)だけがあった世界への」


 魔王(まおう)(おお)ヘビの首をもたげる。


『私に(たて)つくというのか。神の半身(はんしん)たる、この私に』

「そうなりますね」


 セレンはあたまを上げた。

 王の()を照らす青い(あか)りがれる。


「もっとも、私たち光妖精(アールヴ)に、あなたを討つだけのちからはありませんが」


 ニコリと(しろ)(かんばせ)()む。


 老王ろうおうはうなった。


『私を(ほうむ)ったところで、悲憤(ひふん)謀略(ぼうりゃく)卑劣(ひれつ)くなりはせぬ。それらはもはや人間の(しん)にまで()(わた)り、たましい()くってしまっているのだからな』

「その程度ならどうとでも」


 セレンは(つえ)を軽く持ち上げた。


(きん)の竜も、今は妖精(わたしたち)(がわ)にある。人を庇護(ひご)する存在はいない。あとは魔王……ディアボロスさま。あなたさえいなくなれば、原初げんしょ――『天国(てんごく)』と(うた)われた時間が、ふたたび戻ってくるのです」


 ――ゴオッ!


 魔王は黒い火炎(かえん)()いた。


 妖姫(ようき)は杖を振る。


 爆音ばくおん(とどろ)いた。


 もうもうと墨色(すみいろ)の煙があがり、冷たい空気にさらわれる。


『……逃がしたか』


 王は歯噛(はが)みした。


 (ねつ)にただれ、衝撃(しょうげき)穿(うが)たれた黒曜石(こくようせき)の床。

 そこに妖精のすがたは無かった。





 んでいただき、ありがとうございました。


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