6.出たよイチャモン
・前回のあらすじです。
『主人公が、剣を手に入れる』
「ふざっけんな!」
戦士たちのひとりが叫んだ。
ハッと、ユノはそちらを見る。
金色の髪を逆立てた、金色の眼の男が、足音を鳴らして出てきたところだった。
大柄だが、ユノと年の変わらない、少年時代の面影を残した顔立ちをしている。
「そんなヒョロっちいチビが、勇者だと!? ポッと出の、余所者が!!」
「世界を救うのに、余所も地元もないでしょう」
「うるせえっ! 妖魔が!!」
鼻で嗤うセレンに男は吠えた。
背中にさげた大剣を抜く。
「オレは……英雄になるために、ガキのころから、鍛えてきたんだ。たかがこんな、わけの分かんねえ円盤に『ちがう』って言われただけで、引き下がれるかよ」
剣のグリップを男はギュッと握りしめた。
鎧から剥き出した腕が、筋肉で膨らむ。
彼の言葉は、王城に詰めかけた人々の気持ちを代弁していた。
「王の御前である。控えよ」
ローブの男が、ユノと男の間に歩を進める。
「よい、」
王が手をかかげる。
彼はユノを、チラと見た。
「どちらが勇者に相応しいか、剣を交えるが良かろう」
ユノはギョッとした。セレンに目で助けを求める。
彼女は肩を揺らすだけだった。
「勝者を改めて勇者と認め、魔族の討伐を命じることとする。たとえ、聖剣の加護が無くともな」
金髪の戦士は王に頭をさげた。
(そんな……)
すがりつくように、ユノはオリハルコンの剣――カルブリヌスを握り込む。
(だって、剣なんて、今日はじめて触ったのに)
前の世界の記憶はなかったが、武器や争いとは無縁であった気がした。
だが、『平和』であったかどうかはよく分からない。
王が立会人をつとめる。
大剣を構えて、戦士の男は、ユノに自分の名を告げた。
「『シグ=モンド』だ。いちおう、名乗っておく」
「えっと、ユノです。よろしく……」
ユノは頭を下げた。
おっかなびっくり、武器を構える。
広間の空気が、ピタと止まる。
王が開始の声をあげた。
※べつのタイトルの連載小説に、今回の話をまちがって投稿してしまいました。
誤って投稿した分については、すでに削除ずみです。
失礼しました。
読んでいただき、ありがとうございました。