57.アミュレット
・前回のあらすじです。
『雑貨屋でユノとパンドラがアイテムを選ぶ』
(そんな安物であの子が納得するのかな?)
ユノはパンドラから目をそらした。
店は立地も外装もよかったが、あつかう品は安価なものばかり。
とてもローランが身につけていたアクセサリーの代わりにはならなかった。
彼女のつけていた――そしてユノの壊した――髪留めは、【リトルガーディアン】という魔法の護符だった。
装備者に危機のあった時、振りかかる災難を一度だけ無効化してくれるのだ。
【魔石】を使ったアイテム――魔法の道具はえてして高い。
硝子玉や金鍍金できらびやかにした純粋な装飾品に、ユノは肩を落とす。
パンドラは陳列台とにらめっこして。
「ユノさん、こーゆーのは誠意が必要なのよ。あれ、確かお兄さんからもらったって言ってたし」
「ますます何をしても駄目のような……」
ユノは愕然とした。
パンドラの話によると、ローランには兄と姉がひとりずついて、彼女の装備品は全てふたりからの餞別だとか。
(いいなあ~きょうだい)
ユノは妹がほしかった。
「これにしよう」
パンドラは花をかたどった飾りに決めて、カウンターに行った。
手にしていた商品を棚にもどして、ユノも会計に向かう。




