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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第7話 雨期(うき)
52/92

50.風鳴り



 ・前回のあらすじです。


 『セイレーンの子供が、剣士の少女に交渉こうしょうを持ちかけられる』





 ・・・・・・


 雑木林(ぞうきりん)出口(でぐち)をユノは目指めざした。


(ほとぼりが()めるまではを隠さないと)


 人里(ひとざと)に近づくのはもう難しそうだった。

 『指名(しめい)手配(てはい)』という観念(かんねん)が、ユノを(あせ)らせ不安にさせていた。


 かと言って自分の正体(しょうたい)をあばいた相手に、あらためて(やいば)を向けに戻るいきおいをは無い。


 ふと()(あし)がゆるむ。

 さっきからヒュウヒュウと聞こえていた風鳴(かぜな)りが、(たえ)なる響きを(はら)んだのだ。


(モンスター?)


 背中の(けん)を摑み、構える。

 ぐるりを(かこ)む茂みに生き物の気配(けはい)は無い。


 夜風(よかぜ)()んで、神韻(しんいん)めいた旋律(せんりつ)だけが無色の()を引いていた。


(近くに誰かいるのかな)


 大剣(ツヴァイハンダー)()ろす。

 けもの(みち)や木の(かげ)に、(くろ)い目をこらす。


 水気(みずけ)をふくむ空気にしなるオペラは、神秘的(しんぴてき)粒子(りゅうし)となってユノの心臓に()け浸みこんだ。


(これは……ッ)


 耳をふさぐ。

 身体が(かし)ぐ。


魔法(まほう)だ!)


 毒を()られた暴君(ぼうくん)のように、ユノはそばにあった物にすがりついた。


 無骨(ぶこつ)(みき)を、グローブをめた手が引っかく。

 びちゃりと身体が(どろ)(しず)む。


 歌が、流れ続ける。


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