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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第7話 雨期(うき)
51/92

49.セイレーン



 ・前回のあらすじです。


 『ユノが自分の保身ほしんを考える』





 ・・・・・・


 こっそりと少女は立ちあがった。


 亜麻(あま)(いろ)()()に、一枚(いちまい)(ぬの)のそまつな服をつけた子供だ。

 年齢ねんれい十才(じゅっさい)かそこいらほど。

 背中に()えているのは、怪鳥(かいちょう)――【セイレーン】の(はは)ゆずりの(しろ)つばさ


 彼女はうずくまる女流(じょりゅう)剣士(けんし)のようすを見ながら、そろりそろり足を踏み出す。


(えっ!?)

 ぬっ。

 とものめいた影が視界(しかい)すみに映り込む。

 林立(りんりつ)する針葉樹(しんようじゅ)にすべったその大きなシルエットは、少女がまばたきをする間に()えた。


「どこ()こうってのよ」


 松明(たいまつ)を拾って剣士(けんし)うなった。


「……って、しゃべれないのよね」


 はあ。

 と剣士は(いき)をつく。

 血とあぶら(あせ)にぬれた(おもて)青白(あおじろ)い。


「あんた、セイレーンの子どもよね? 呪歌(じゅか)は歌える?」


 き毛の少女(しょうじょ)は首を横に振った。

 (かた)として、剣士はレイピアを動かす。

 地面に五線譜(ごせんふ)を描く。


「じゃあ、いま習得(しゅうとく)して」


 ふるふるふるふる。

 おさない首に()きついた、声を(ふう)じる(かせ)左右(さゆう)ふるえた。


「なーに、楽勝(らくしょう)よラクショー。人間には難しいけどね、あんた自分が天才(てんさい)だってもっと自覚(じかく)したほうがいいわよ」


 血色(けっしょく)わるい目元を剣士は笑わせた。


「……それに、わがまま言える立場(たちば)じゃないでしょ、あんたは」


 ハーフパンツのポケットに()を突っこんで、剣士がほそいものを取り出す。


「私の手助(てだす)けをしてくれるってなら……助けてあげるよ?」


 キラリ。

 ()にするどく輝く。

 それは一本(いっぽん)の、鉤状かぎじょうにまがった(はり)だった。



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