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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第6話 ローラン
48/92

46.灯



 ・前回のあらすじです。


 『ぞくがふたりの商人を殺す』





 ・・・・・・


 足音(あしおと)が通り()けた。

 レイピアを掴んでローランは立ち上がる。


 疾風(はやて)のように()()()ぎった影は、馬具(ばぐ)をひっかけたままの馬だった。


(どっかから逃げてきたのかしら?)

 おびただしく()えた林木(りんぼく)彼方(あなた)をのぞきこむ。

 魔物(まもの)遠吠(とおぼ)えも、血に()えた剣呑(けんのん)な気配もない。


 強大(きょうだい)な『なにか』がいるのだ。


「まどろっこしいわね」


 フードつきのマントを銀色(ぎんいろ)のおかっぱ頭からかぶって、ローランは野営地(やえいち)を後にした。


 ずだ(ぶくろ)から太い枝を出し、あぶらをふくませた先端に()き火から(あか)りをもらう。

 けもの()けにしていた火を土をかけて消して、()()()()()かりを頼りに夜更(よふ)けの林を歩いた。


(あれは……)


 かざした光のなかにチカリと反射するものがある。

 それを身につけたシルエットは、複数(ふくすう)


 (おび)えるように彼らは進行方向を()えた。


 ローランは()け出す。

 相手も走る。


魔族(まぞく)だわ!)


 ザザザザ!!


 下草(したくさ)(たび)()れた足でローランは蹴散らして進む。


 狼。

 鬼。

 魔鳥(まちょう)


 耳やつの(つばさ)やしっぽを持つ混血種が、互いを突っつき押して()かして逃げまどう。


 彼らの首には(ちから)(よわ)め声を()つ【魔封(まふう)じの(かせ)】がめられていた。


(でも、どこから来たのかしら?)


 ピンッとローランは閃いた。


「あー!」


 くちもとに手を当てて大声(おおごえ)を出す。


「こんなところに魔族まぞくがいるわ! ドレイにして売りさばけば大儲(おおもう)けまちがいなしよウッシッシ!」


 ばささ!!


 鳥の羽がひるがえった。

 が、【首枷(くびかせ)】のせいでつばさを持つ人型(ひとがた)――まだ子供だ――の身体は(そら)へ上がりきらず地にコケる。


(……あれ? 来ない)


 子供に追いつく。

 起きあがろうとした彼女の横に、ローランは(けん)を突き立てた。動けないよう牽制(けんせい)する。


「てっきりピンチになればウワサの(ぞく)がお出ましするかと思ったんだけど」


 他のドレイたちがこれ幸いとローランから(とお)ざかっていく。


「なにあんたら? サーカスから脱走(だっそう)でもして来たの?」

「あっ!」


 という形に翼の少女がくちをけた。

 だが【(かせ)】が光を放ち、彼女の声は音になる前に(くだ)け散る。


 ローランは自分の背後(はいご)を見た。


 剣士(けんし)がひとり、大剣(おおけん)を構えて立っている。


 銀髪(ぎんぱつ)の頭に、長い刀身(とうしん)が振り()ろされる。


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