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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第6話 ローラン
47/92

45.ドレイ商人


 ・前回のあらすじです。


 『銀髪ぎんぱつの少女・ローランがぞく退治のクエストを受ける』





 ・・・・・・


(くら)いなあ~。キャメロンドさん、ここホントに使って大丈夫(だいじょうぶ)なんですか?」

きごと言うなビーンツ。天下の街道(かいどう)じゃあ同業(どうぎょう)がバサバサ()られてるって話しじゃねえか」

「おうちに帰りたい」


 ビーンツと呼ばれた少年は(はな)をすすりあげた。

 商人互助(ごじょ)組合(くみあい)の帽子を頭にのせた丁稚(でっち)である。

 手綱(たづな)を握るビール(ばら)親方(おやかた)――キャメロンドの横で、ほそい両脚を抱えて彼はベソをかいていた。


「しっかりしろい、あつかってる物が物なんだ。安全にとはいかねえさ。そのかわり、(みやこ)につけば大判(おおばん)小判(こばん)ザックザクだあ」


 ガタリ。


 荷台(にだい)が石に乗り上げてれた。

 (ほろ)をかぶせた荷物(にもつ)は、森や岩山(いわやま)遺跡(いせき)で狩った、魔物(まもの)との混血(こんけつ)人種(じんしゅ)たちだった。


「あのー、ウワサに聞く(とお)()って……まさか魔王(まおう)じゃないですよね? こう、同族への報復(ほうふく)みたいな」

「ないな――というか、アカデミー時代に神学部(しんがくぶ)の連中から聞いた話だがな、」


 深いシワのはいった顔を男はきょろりと地下道にめぐらせた。

 竜神教の信者には聞かれたくない話なのだ。


 過去の水路(すいろ)が枯れてできた隧道トンネルには、彼と見習(みなら)いのふたりしかいなかった。護衛代(ごえいだい)はケチった。


「魔王ってのは、(りゅう)のことらしい。もともとこの世界(メルクリウス)には、魔族(まぞく)人間(にんげん)の両方にそれぞれ竜の(まも)(がみ)がいたんだとさ。その二柱(ふたはしら)があって、はじめて世界(せかい)調和(ちょうわ)の取れた――安定したものになるんだと」

「じゃあ、今はなんで魔物が()れてるんですか? おれたちの神さまは?」

()()()()になったんだよ。それが十一年(じゅういちねん)前。だが竜は不滅(ふめつ)さ、死んでもすぐに()まれ変わる。なのに今回の御世(みよ)はあのアールヴが――」

「あああ、キャメロンドさん!!」


 ぬっと現われた影を少年が(ゆび)さした。


「なんだ?」


 たるんだ(まぶた)をすがめ、キャメロンドは進路に立つほそいシルエットを見据(みす)える。


旅人(たびびと)か?」

 馬を徐行(じょこう)させる。


 全身をつつむ(くろ)ずんだマント。

 外套(がいとう)の下に着込んだ金属(きんぞく)(よろい)が、御者台(ぎょしゃだい)にくくったランタンの光を(しろ)はじく。

 手には持ち(ぬし)の身長はあろうかという大剣(おおけん)――ツヴァイハンダー。


「――!!」


 橙色(とういろ)()かりの中で、両刃(りょうば)の刀身がゆっくりと()り上げられる。


「ビーンツ、発煙筒(はつえんとう)を出せ! ぼさっとするな!!」

「ははははいっ!――って意味ないですよここ地下(ちか)なんだから!」


 ――ボンッ!


 剣尖(けんせん)が閃いた。

 少年(ビーンツ)の首が吹き飛ぶ。


 血の(せん)を引いて、白刃(はくじん)がひるがえる。

 ()(さき)が、目を()く男の頭上(ずじょう)()ねあがる。


「ひっ――」


 ずばん!!!


 手綱たづなを引っぱる男の身体がまっぷたつに()れた。


 馬のいななきがして、それから静かになった。




 ・設定に食いちがいをしょうじる可能性があります。修正はおこなう予定ですが、時期については未定です。



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