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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第6話 ローラン
46/92

44.夏の終わり



 ・前回のあらすじです。


 『銀髪ぎんぱつの少女ローランが、冒険者ぼうけんしゃギルドに駆け込む』





「ここもさみしくなったわね」


 受け付けの女性が言った。


 (なつ)の終わりの(あつ)さただよう待合所(まちあいじょ)には、パーティがひとつ、 分け前を分配ぶんぱいしているすがたのみ。

 それも数日(すうじつ)前は四人よにんだったのが三人に減っている。


「モンスターも調子いいみたいだしねー、仕方ないんじゃないかなあ」

 ローランはカウンターにふたつの巾着袋(きんちゃくぶくろ)を置いた。


 ひとつは依頼品の薬草(ハーブ)が、もうひとつには魔物(まもの)から()ったジェムがはいっている。


 鑑定人(かんていにん)のおじいさんが、片めがね(モノクル)みがきながらぼやいた。


勇者(ゆうしゃ)は今頃どこで何をしているんだか……魔族(まぞく)をなんとかしてくれるんじゃなかったのか」

「そーよ、そうそう勇者さま。ローラン、あんた王都(おうと)で見てきたんでしょ。どうだった? 男前おとこまえだった?」

「五年後に期待って感じかなー」


 ローランは掲示板(けいじばん)をながめながら答えた。

 一枚いちまい依頼書(いらいしょ)のピンをはずす。


「なにこれ?」


 ――討伐(とうばつ)クエスト。

 商隊(キャラバン)襲撃犯(しゅうげきはん)の首をもとむ。

 王国おうこく騎士団より――


「それはやめときな、(じょう)ちゃん」

 ガチャリと鈍い音をたてて、テーブル席から(よろい)の男が振り向いた。


 (ほお)に傷のある四十路(よそじ)ほどの大剣使い。

 団体席で話し込んでいるパーティのリーダーである。


「よそのギルド支部でそのクエストにあたったヤツらがいたが、全員死体(したい)になって帰ってきた」

「まじ?」

「まじ」


 少女に鸚鵡おうむ返しして、男はメンバーたちとの次のクエストの打ち合わせにもどった。

 ローランはギルドのカウンターを見る。


「これ、ただの山賊(さんぞく)とかじゃないの? それとも殺人狂さつじんきょうとか……なんかやばいやつ?」


「さあなあ、被害(ひがい)にあってるのは魔族まぞくせたドレイ(しょう)や、それにくっついていった討伐者とうばつしゃとは聞いているが……」


 鑑定をえた(ろう)職員(しょくいん)が、報酬(ほうしゅう)を準備をしながら言った。


「……わりかしイイやつなんじゃないの? これの犯人はんにん

「あんた……そんなこと言ってると信者(しんじゃ)に殺されるわよ」

上等(じょうとう)だわ」


 職員たちのほうに依頼書いらいしょを持っていく。

 (ぞく)退治を引き受ける。



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