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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第5話 剣(つるぎ)
44/92

42.ヒーロー



 ・前回のあらすじです。


 『ユノが妖精にキレる』





 月が(かげ)る。

 雲が空を(おお)い隠し、森は光をなくす。


 ユノの持つ(けん)と目の前の妖精(ようせい)だけが、(かく)()の存在のようにおぼろな燐光(りんこう)をまとっていた。


「彼らのやったことが、そんなに気に()らなかったのなら、」

 セレンはユノの右手を指差した。


()り捨てればよかったのでは? その剣で。私にしたように」


 ユノは歯噛(はが)みした。

 今更いまさらのように、胸の骨折がひどく呼吸を圧迫(あっぱく)する。


「……ああいう人たちを……」

 人家(じんか)を焼きはらい、()ればれと帰路(きろ)についた町の人々。

 『彼らもまた見捨みすてるわけにはいかない』と自分でかかげた矜持(きょうじ)は、もはや紙よりもろく頼りない。


()()()()()()()を守るために、ボクは戦わなきゃいけないんですか……」

「ええ」


 セレンは「とりあえずは」とつけ足して、(つえ)を振った。

 ワープ用の空間(くうかん)を開く。


「ひとまず、今回の依頼(クエスト)はおつかれさまです。また国王(こくおう)からの(めい)があれば、お知らせに来ますので」


 (ねぎら)いの言葉をかけて、妖精の女は消えた。

 彼女の(よう)はそれで終わった。


(そんなどうでもいいことのためには姿を見せるくせに……)


 どうして。


 と心の中で()いかけて、ユノは天をあおいだ。

 固く目を閉じる。


 地面を、(しずく)が叩く。






 読んでいただき、ありがとうございました。



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