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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第5話 剣(つるぎ)
43/92

41.同類



 ・前回のあらすじです。


 『町の人たちに、魔族まぞくの少女・アイが殺される』





 ・・・・・・


娯楽(ごらく)って言うんですよ」

 セレンはユノの(そば)に立っていた。


 焼けちて骨組(ほねぐ)みだけになった小屋(こや)

 ()げた地面(じめん)には白いはいだけが残っている。


 町人(まちびと)たちは帰っていた。

 ユノは警備(けいび)のためと(いつわ)って、ここに留まった。


 草のなくなった庭にぺたりと(すわ)りこんで、少年(しょうねん)呆然ぼうぜんとしている。

 夕日(ゆうひ)しずんでいた。

 全てが闇の中だった。


「あなたの世界にもあったでしょう?」

 セレンはユノの背中に言った。


「…………」

 ユノはようやく動いた。

「……どうして、」


 戦いで汚れた手が、黒い土を引っ()く。

「どうして来てくれなかったんですか……」


洞窟(どうくつ)で呼んだ時?」

「……ッ」

 カッとユノの身体があつくなる。

 セレンの返事に彼は怒号(どごう)した。


「聞こえてたんじゃないか!」


 カルブリヌスを取ってユノは立ち上がった。

 妖精(ようせい)に向かって(けん)を振る。


 ガツンッ!!

 木の()で作った簡素(かんそ)なロッド――霊樹(れいじゅ)(つえ)が、ユノの一撃(いちげき)を受け止めた。


 セレンはかる()し返す。

 ユノは(うし)ろにバランスをくずす。


生憎(あいにく)と、私はあなたの便利屋(べんりや)ではありませんので」


 (みどり)の長いかみを指で()いて、妖精(ようせい)(おさ)は答えた。


第一(だいいち)、何を悲しむ必要(ひつよう)があるのです?」


 ユノはまぬけにくちをけた。

「なにって、」


 ぱくぱく動かして――やっと言葉を見つける。


「だってアイが……人が(ころ)されたんだ! 何も(わる)いことなんてしてないのに!」

「はあ」

 要領(ようりょう)を得ないふうにセレンが返した。


「セレンさん分からないの!? ただ魔族(まぞく)ってだけで……町の人たちはアイを排除(はいじょ)したんだ! 何も知ろうとしないで、勝手に(てき)って決めつけて……」

「それ、」


 月光(げっこう)がセレンの若草(わかくさ)(いろ)()を不思議そうに(つや)めかせた。


「あなたのやってきたことと、何が違うんです?」


 ユノは(こお)りついた。

 かばんのなかには、今まで()ってきた魔物(まもの)たちの死体(ジェム)が、いくつも詰め込まれていた。





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