4.特別待遇ですわ~
・前回のあらすじです。
『主人公のユノが、チンピラっぽい男にからまれそうになるが、からまれなかった』
次の日。
ユノたちは城へ行った。
城門にはふたりの兵士がいて、訪問者を整理していた。
堀にかかった橋のまえに、剣や槍、弓を装備した、年若い男や女が群がっている。
(お城って、どこもこんな感じなのかな?)
押しあい圧しあいする人たちを、ユノは眺めた。
「お触れが出ているんですよ」
広場のすみにある立札を、セレンが指差す。
――魔王討伐のため、勇士募る。我こそはと思うものは、【ペンドラゴンの剣】を取るべし――。
「ペンドラゴン?」
「古くからこの国を治める、王家です」
そっとセレンはユノの手を引いて、門に向かった。
「っと、そこの娘。悪いがその列の最後尾に並んで――」
門番の男は、セレンを見下ろすと顔をギクリとさせた。
もうひとりの兵士に整備を任せ、城のなかにすっ飛んでいく。
ほどなくして、彼はふたりの前に戻ってきた。
「こ、国王陛下より、『すぐに通せ』とのことです。どうぞ……」
城内へ促され、移動しようとするユノたちのうしろから、
「ふざけんな!」
「俺たちをどんだけ待たせてると思ってんだ!」
「特別あつかい、反対ー!」
わーわーと野次が飛ぶ。
割れんばかりのブーイングのなかを、ユノとセレンは歩いていった。
橋を渡り、王城の門をくぐる。
「……順番抜かしできるって、セレンさんって、偉い人なんですか?」
ふっと、セレンはユノに微笑んだ。
「ええ。神さまの次くらいに」