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36.おとしあな
あけまして、おめでとうございます。
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・前回のあらすじです。
『ユノが洞窟でコウモリに襲われて、奥に逃げる』
コウモリは仲間を増やしながら獲物を追った。
前からうしろから、虫のように化けコウモリがユノに飛びつく。
手で、剣で、ピュンピュンまとわりつくモンスターを振り払い振り払いして、ユノは洞窟を駆けていく――
「うわ!」
ガッ!
ずんぐりむっくりした影に足がぶつかった。
動物の屍肉を漁っていた大きな鼠――【火鼠】が、黄色い目を見開く。
鼠は内臓で精製した火をユノに吹きつけた。
ぐるりと、つまずいた勢いそのままに、ユノはねずみの頭上を乗り越える。
ぼうっ!
と空振りした炎が、一瞬岩の道を赤く照らした。
「の、あ、あ、あ、あ――――――!!!」
通路にぽかりと空いた暗闇にユノは落っこちる。
地面が崩れて出来た深い穴に、悲鳴が吸い込まれていく。
読んでいただき、ありがとうございました。