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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第4話 おおかみ
33/92

32.小屋



 ・前回のあらすじです。


 『ユノがはしを壊して、町人たちの足止あしどめをする』





 ・・・・・・


「アイ!」

 小屋のドアをユノは開けた。

 ――小さなダイニング。

 奥の寝室(しんしつ)に移動する。

 飾り気のない家のなかには、誰もいない。


(爆発にき込まれちゃったのかな……)

 ユノは屋内(おくない)を見渡した。

 アイが逃げていることを祈りながら、なかに踏み込む。


 背中を()っとばされた。

「ちょっと、勝手に人の家に入らないでよ」

「アイ!」

 戸口(とぐち)のまえに、赤い頭巾(ずきん)をかぶった少女が立っていた。

 歓喜(かんき)して、ユノは彼女の手を取る。

「よかった、無事だったんだね!」

「いちおう、ね」

 アイはユノの手を(はた)き落とした。

 ジンジンと痛む両手を引っ込めて、ユノが笑った。


 アイは大樹たいじゅのあったほうを向く。

「あんまり穏かにしてはいられないけど。誰かが余計なことをしてくれたせいで、封印(ふういん)()けちゃった」

「封印……」

「森にかかってた【魔法(まほう)】。古い土地神(とちがみ)の石像がその装置(そうち)だったけど、壊れたの。きのう、大きな爆発があって……」


 ユノはギクリと動きを止めた。

「ごめん……、それ、ボク」

 必死になって、ユノは弁論(べんろん)をはじめた。

「モンスターの()れを、退治したかったんだ。でも、あんなに威力(いりょく)があるとは思わなくて……」

「もう少し周辺のこと考えてよね」

 アイはユノの胸を小突(こづ)いた。

 小屋を出て、彼女はどこへともなく移動する。


「待ってよアイ」

 ユノは少女を追いかけた。

「逃げないと。町の人たちが、魔女(まじょ)を退治しようとしているんだ。町がモンスターに襲われるのはその人のせいだって。その人を殺すのが、信者としての務めだって」

 緊張(きんちょう)に息をのんで、ユノはつづけた。


「……彼らの言う【魔女】って、キミのことなんでしょう?」


 アイは立ち止まった。

 二人(ふたり)は小屋の裏手(うらて)にいた。

 丁寧ていねい()った芝生(しばふ)に、花の()わった場所。

 ()を組んで作った十字架(じゅうじか)が、そこにひとつ立っていた。





 ※いくつかの表現ひょうげん修正しゅうせいしました。

 ・きゅう→『避難ひなんしたのかな』

 ・改→『爆発ばくはつき込まれちゃったのかな……』



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