3.三下っぽい三人の男
・前回のあらすじです。
『主人公たちが森を出る』
町の門は閉じていた。
見張りの兵士に、通行の許可をとる。
兵士はセレンを見るなりかしこまって、道をあけた。
大通りのむこう――険しい丘のうえに、王の居城は建っていた。
「人、多いんですね」
きょろきょろとユノはあたりを見た。
石造りの家の軒に、まだ火の灯らないランプがぶらさがっている。
酒樽の絵看板を吊った、大きな建物の軒下に、若い男たちが屯していた。
「おまえ、どうだった?」
「だーめだ。おふくろが大枚はたいて剣術学校にまで通わせてくれたのによぉ」
「なにが『選ばれた戦士』だよ。くそっ!」
泡のあふれたジョッキを、男のひとりが呷った。
三人の青年たちは、いずれも金属や革でできた鎧で武装した戦士だった。
左目に傷のある男と、ふと、ユノの目が合う。
「……見ない格好だな」
ぐっと男は酒を呑んだ。
「からむなからむな。まだ子供じゃねえか」
「って、おい。……それよりあれ、アールヴだぞ」
若者たちの赤ら顔から、サッと血の気が引いた。お互いに小突きあって、店内に引っ込んでいく。
「今日は宿をとりましょうか」
すこし離れた場所に、セレンは目を留めた。
三角屋根の、『INN』の看板を貼りつけた建物が、そこにはあった。




