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25.季節月(きせつづき)
・前回のあらすじです。
『森の魔法が解ける』
・・・・・・
「ユノさま」
ぐいぐい。
霊樹の杖でセレンはユノの頬を突っついた。
「ぐええ……」
ユノは布団の上でうめく。
――春の月 四十八日。
異世界の暦は、春夏秋冬に各六十日ずつ割りふられた【季節月】と、それらの中間にはさんだ【土用の月】とで構成される。
【土用の月】は、ひと月が十五日。
計三百日を周期として、メルクリウスの年はめぐる――。
ユノは目を覚ました。
詰所の寝室である。
「セレンさん、どうしたんです?」
「のんきなものですね。他のかたは朝食も済ませて、作戦会議だというのに」
「え!?」
ユノは飛び起きた。
レザーブーツを履いて、ショート・ソードを装備する。
窓の外には、すっかりお天道様が昇っていた。




