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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第3話 アイ
23/92

23.二つの技術



 ・前回のあらすじです。


 『ユノが魔物まものたちをけちらす』





 ・・・・・・


 異世界メルクリウスには、(おお)まかに()けてふたつの超常的(ちょうじょうてき)技術ぎじゅつがある。

 ひとつは【魔法(まほう)】。

 【魔族まぞく】やそれを祖先に持つ特定の人間が、潜在的(せんざいてき)に有している能力のうりょくのことをいう。

 習得には魔法書(グリモワール)を読み()く必要があり、また、専門の訓練も()った。

 『人間(にんげん)純血(じゅんけつ)主義(しゅぎ)』とばれる、熱心ねっしんな信者のあいだでは、『異端(いたん)(わざ)』――【妖術(ようじゅつ)】と呼ばれ、蔑視(べっし)されている。


 もうひとつは【気術(きじゅつ)】。

 大陸極東部(きょくとうぶ)の少数民族(みんぞく)が、独自に()した技法(ぎほう)である。

 修行さえ()めば、純血の『人間』でも(あつか)えることから、戦士たちの(あいだ)人気(にんき)たかい。

 一方(いっぽう)で、自然をつかさどる【妖精ようせい】や【精霊(せいれい)】との交信が不可避(ふかひ)であるため、相性(あいしょう)による術者の力量(りきりょう)がはげしい。


「よっぽど妖精に()かれているんだな」

 アドニスはユノにわらう。

 ――町へとつづく道を、二人(ふたり)は歩いていた。

「そうでも……ないです」

 ユノはぎこちなく答えた。

 セレンの胡散臭(うさんくさ)微笑(びしょう)を頭にかべながら。


「なんにしても、魔法(まほう)じゃなくて良かった。【気術(きじゅつ)】もギリギリだけどな」

「どういうことですか?」


 町の入口(いりぐち)でアドニスは()まった。

 あたりを見回(みまわ)し、声をひくくする。

「ここは熱心な竜神教(りゅうじんきょう)教徒しかんでいない。(かれ)らにとって【魔法】ってのは(けが)れた(じゅつ)でな。使っているところがバレたら、なぶり(ごろ)しだぞ」


 ユノはゾッとした。

 刹那(せつな)既視感(きしかん)めいた感慨に()らわれる。


 晩餐(ばんさん)の祈りをささげる声が、近くの建物(たてもの)からした。


「まあ、町人(まちびと)の前では、あんまり使わないようにな」

「……戦いでも、使わないほうがいですか?」

 ユノにはなんとなくアドニスの心配が分かった。

 アドニスは、鋼鉄(こうてつ)(よろい)に覆われたかたをすくめる。


「いや、俺たちは(ほとん)どが無宗教(むしゅうきょう)だし……そりゃ、洗礼(せんれい)を受けた隊員(たいいん)も、何人(なんにん)かはいるけどな。狂信者(きょうしんしゃ)ってほどじゃないから安心しな」

 気付(きつ)けのように、アドニスはユノの背を(たた)いた。

「とにかく、(とき)場所(ばしょ)を選んで使えよってことで」


 言い残して、中年(ちゅうねん)隊長(たいちょう)(おお)きな屋敷に()かっていく。

 コルタの町長邸(ちょうちょうてい)である。


 ユノは一人になって詰所(つめしょ)に歩いていく。

 往来(おうらい)すずしかった。





 んでいただき、ありがとうございました。



 ※いくつかの表現を修正しゅうせい削除さくじょしました。(・以下は、削除した文章ぶんしょう一例いちれいです)

  きゅう→『(あか)るい小さな(いし)――【(ライト)】の(ちから)を持つ魔法石(ジェム)――を飛ばして、アドニスはユノに笑う。』

  かい→『アドニスはユノに笑う。』



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