2.なう・ろーでぃんぐ…
・前回のあらすじです。
『主人公が異世界に召喚され、新しい名前をもらう』
――メルクリウス。
それは剣と魔法、化け物や妖精が存在する、幻想の世界である。
「元は平和だったんですけれどね。十年前に魔王のちからが増してからは、モンスターも凶暴化してしまって」
「まおう……?」
少年――ユノの前をセレンは歩いていた。
森のなかには、鎧兜をつけた人骨がころがっている。
鼠めいた動物が、カリカリ死骸をかじっている。
「これからどこに行くんですか?」
「王城へ」
妖精の女は、木の杖で草やツタを払った。
「その……。ここも出るんですか? 怪物」
「ええ。でもこのあたりの魔物であれば、私たちに近づくことはできないでしょう」
セレンはうしろを振りかえった。杖を掲げてみせる。
「霊樹の杖と言います。世界を守護する神木の根から作ったこの道具は、邪な存在を寄せつけません。……弱いものに限りますが」
叢の奥で、がさがさと音がした。
鳥の不気味な声が響く。
ふたりは森をぬけた。
――平原の向こうに、城のそびえる町が見えた。
・誤字脱字を修正しました。
・のちの展開とくいちがう文章を修正しました。
旧→『元は平和だったんですけれどね。十年前に“魔王”が誕生してからは(以下略)』
改→『元は平和だったんですけれどね。十年前に魔王のちからが増してからは(以下略)』




