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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第3話 アイ
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14.森の中



 ・前回のあらすじです。

 『コルタのまちで、防衛戦ぼうえいせんがおこなわれる』





 ・・・・・・


 一軒(いっけん)の小屋が森の中にあった。

 街道かいどうからおおきくはずれた、盗賊(とうぞく)も踏みこまない奥地(おくち)である。


 しげ天蓋(てんがい)に、朝の日差しがはばまれていた。

 魔鳥(まちょう)(おに)の影が、うっそうとけぶる霧のこうに横切よこぎる。


 彼女は()かぶ椅子いす(すわ)っていた。

 野鳥(やちょう)にエサをやっている。

 それはもはや日課(にっか)と呼べるほどに、彼女にとって自然な行動になっていた。


 ぼうっ。

 (にわ)の周囲が(あお)ひかる。

 鳥たちが()っていく。


 彼女は()ちあがった。

 赤い頭巾(ずきん)をかぶり直し、田舎くさい洋服(ドレス)から、パンくずをたたいてとす。


 地面が揺れる。

 鬼の足音(あしおと)がする。

 ――悲鳴ひめいが迫る。


「た……助けてえええ!!」


 茂みからひとりの(おとこ)()び出した。

 大陸ではオーソドックスな、(くろ)い髪にくろ。安い布と皮でつくった、冒険者(ぼうけんしゃ)によく見る旅装(りょそう)

 手には剣を握っているが、剣士(けんし)というよりは、できそこないの猟師(りょうし)といった、情けない顔つきをしていた。


 彼は少女の敷地(テリトリー)んだ。

 清浄せいじょうな光をするりと抜けて――人の手で整えた(くさ)の地面に、身体から着地ちゃくちする。


『ごおおおおお!!』


 大きな(こぶし)を、男の後頭部めがけて(オーグル)が放つ。

 ぶうんっ!

 男の(かみ)をかすめて、無骨(ぶこつ)一振ひとふりは結界(けっかい)れた。


 ばちんっ!!

 火花が散って、赤い巨躯(きょく)はじかれる。


『ぐううう……』

 オーグルは太いのどうならせた。

 くるりと背を向けて、ずんずんと獣道(けものみち)き返していく。


「し……死ぬかと思った」

 男はつぶやいた。

 彼――ユノは少女の足にしがみつく。


「離れてくれる?」

 少女は少年(しょうねん)を見下ろした。

 赤い眼差まなざしは冷たい。


 少年――ユノは離れない。

 そんな彼を、少女は思いきりり倒した。




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