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【異世界転移】をやってみた《1》  作者: とり
 第3話 アイ
13/92

13.コルタの町



 ・前回のあらすじです。


 『ユノがギルドに行く』






 ・・・・・・


 ゆるやかな(おか)の 上にコルタのまちはあった。


 人の世界をおさめる善神(ぜんしん)――金の竜をたてまつる、宗教色の強い小都市しょうとしである。そのために、無宗教をうたう地域との摩擦(まさつ)も多い。


 夕暮れ字が近づき、住民(じゅうみん)たちは、教区(きょうく)からの鐘を(もっ)て、逃げるように各々のいえけもどっていった。

 はがね(よろい)をまとった派遣(はけん)騎士(きし)や、ギルドの委託(いたく)で来た冒険者(ぼうけんしゃ)たちが、町のぐちあつまっている。


「王都に勇者(ゆうしゃ)が現われたってよ」

「まじか?」

「どんなやつ?」

「さあ……けど、これでやっと、この任務(にんむ)ともおさらばかな」


 戦士たちはいずれもボロボロだった。

 彼らは(まち)の正門付近に(もう)けられた詰所(つめしょ)駐屯(ちゅうとん)し、扉やはね(ばし)のない、簡素なつくりの門をまもっている。

 外周(がいしゅう)の――西(にし)の方面に築かれたスペースには、神官の置いた、墓石はかいしがひとつっていた。


「生き残りてえなあ」

 コルタ独自(どくじ)の洗礼を()けていない、外部の(つわもの)たちは、不浄の(もの)とされ、敷地内の教会(きょうかい)墓地にとむらわれるのをこばまれている。

「前払いで十万(じゅうまん)メダリスは、(うま)すぎるとは(おも)ったけどな」

「おい、たぞ」

 物見櫓ものみやぐら(かね)が鳴って、騎士のひとりが、バイザーをげた。


 総勢三十名ほどの戦士が、剣を抜きはなち、(やり)を構え、(ゆみ)に矢をつがえる。

 まちのなかからは、パタンパタン、と、かり取り用――最近(さいきん)は外を監視(かんし)する用でもある――の窓を閉ざす音がした。


「勝てますか」

 集団の副隊長(ふくたいちょう)をつとめる(おとこ)が、隊長の騎士――アドニスに言った。

「勝つのはなんとかなるさ」


 前方の樹林(じゅりん)地帯から、魔物(まもの)れが、あふれだす。

 逢魔(おうま)(とき)の空に、ギャアギャアと何十、何百のからすく。

 それらは全て、()に転化した動物(どうぶつ)だった。


 瘴気(しょうき)てられ、本来のすがたから肥大化(ひだいか)した怪物かいぶつ――【土蜘蛛(つちぐも)】。【オーグル】。

 そのうしろから、怒涛(どとう)と押し寄せる、体格の変質(へんしつ)した野犬、()て猫、いたち魔物まもの


 弓兵の()が、先行する化物鳥(ばけものどり)を撃ち()としていく。

 騎士や冒険者、賦役(ふえき)を課された若者(わかもの)たちが、武器を()に手にはしりだす。

 化物ばけもの()り込んでいく。



 ――戦いは(よる)までつづいた。


 その()の死者は、十五じゅうご人だった。




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