六限目の異変
情報をまとめただけで五限目が終わった
六限目が始まるまで十華と話そうとしたがなぜか俺を避けて話せることは出来ず六限目が始まった
六限目は英語
しかし、俺は授業が始まる数分前に教科書、ノート類をカバンにしまって荷物をまとめて教室を出ようとした
「ちょっと零くん、どうしたの?」
教室から出ようとする俺を見て十華は慌てて止めた
「悪い、帰る」
「え!?ダメだよ、まだ授業があるんだよ」
「それでも帰る」
俺は十華の制止を振り切って帰ろうとしたが十華は咄嗟に俺の腕を掴んだ
「ダメッ!」
「なんだよ!とお……」
掴んだ手を振り払おうとした時、十華の顔は今にも泣きそうだった
「あーもう、ちょっとこっちに来い」
逆に俺は十華の腕を掴み教室から出て階段の踊り場まで連れていった
それと同時に授業の始まりを告げるチャイムが鳴った
「どうしてダメなんだ?」
他は授業中で大きな声では話さず小声で言った
「………」
十華は俯き何も言おうとしなかった
「理由が無いなら俺は帰る」
俺は階段を降りようとした時、十華が口を開いた
「零くん……」
「なに?」
「言えないの…」
「何がだ?」
「私、言えないの…」
「だから何を」
「ごめんね、私は零くんをーーーーーない」
言葉の途中で不思議と聞こえなくなった
「え?なんて言った?」
俺は聞こえなかったために十華にもう一度言うように頼んだ
「……ダメみたい、じゃあね……」
十華は走って教室に戻って行った
「十華……」
俺は十華が戻ろうとした時に一瞬だけ顔が見えた、その表情は泣いていた
何で泣いていたかは分からない
帰ってはいけない理由、それはもしかしたら俺が死ぬ事を知っているかのように十華は止めたのかもしれない
しかし、俺は六限目を受けようが受けないが家に帰ってしまえば安全だと思い、早めに帰ることにした




