四限目の異変
ーーー必ず……からーーー
夢の中で誰かに言われた
顔が黒く淀み誰だか分からない
けど俺は知っている、確証はない
「う、う〜ん……」
目が覚めた、そこはベッドの上だった
「目が覚めたのね」
俺が目が覚めた事に気づき声をかけてきたのは保健の先生だった
先生は椅子に座って自分の仕事をしていた
「はい、まだ顔面がヒリヒリしますが…」
ベッドから起き上がりまだ顔全体がヒリヒリして痛かった
「ボールをまともに正面から当たれば痛いわ、まぁでも異常は無い、強いて言うなら鼻血が出てた程度かな」
鼻を触ると鼻にティッシュが詰められていた
「着替えはそこに置いてあるわ、お友達が持ってきてくれたわよ」
「はぁ…」
ベッドの横を見ると椅子の上に着替えが置いてあった
「四限目はもう少しで終わるから戻っても戻らなくてもいいわ」
「そうですか…」
俺はベッドの周りのカーテンを閉めて着替え始めた
「(くそ〜、まだ痛いな)」
顔がまだ痛みながらも着替えていると先生が俺に聞いてきた
「斎藤 零寺君だよね?」
「あ、はいそうです」
「君、これが何回目か知ってる?」
「……え?なんかいめ?」
「ええ、君が此処に運ばれたのは五十六回内二十二回は鼻血じゃなく鼻の骨折」
「な、何を言ってるんですか?」
「そうね、五十六回以外の三十……何回か忘れたけど君は私の元に来ていたのよ、それで話を聞いた」
先生は突然に訳の分からないことを言い始めた、しかし回数を聞いてきた事で俺の頭の中に一つのモノが思いついた
「数学のノート」
「正解」
数学のノートに書いてあった『何回目』という単語で会話されていたノート
「どこまで知っているんですか?」
「さぁね」
先生は陽気な声で質問を流した
「じゃあ俺は何回目ですか?」
「えっと〜、九十……何回目だろう、分からないわ」
「それは本当ですか?」
「本当よ、こっちに来てみなさい」
先生に呼ばれて俺は着替え終わり先生の近くに寄った
すると机の引き出しから一冊のノートを出した
「自分で見てみなさい」
「………」
俺は恐る恐るノートを取り、そっと開いた
『俺は斎藤 零寺』
『これは本当の話だ』
『この場所、いや世界は5月25日(水曜日)を永遠と繰り返している』
『俺は十二回目にして気づいた』
『時折、記憶が飛ぶ時がある』
『保健の先生も知っていた、理由は分からないが、協力してもらおう』
『記憶が飛んだ際には保健室に向かう、これが最善』
『真実に辿り着く、だけど何か足りない』
『また振り出しだ』
『十華が怪しい』
『可美奈が怪しい』
『保健の先生が怪しい』
『誰だ?頭の中に声が響いた』
文字が箇条書きに書かれている
もし仮にこれが本当でこの『5月25日(水曜日)』を繰り返しているのならば、なぜ繰り返しているのか理由を知りたい、そして途中で書かれている『真実』と三人が『怪しい』と書かれた文字に不安を抱える
しかし、次のページを捲り二つの箇条書きに俺は驚愕しノートをその場に落とした
『一つだけ判明した』
『この日の最後に必ず俺は……』
ーーー『死ぬ』ーーー
「そんな……、嘘だ……」
鳥肌が立ち、身震いし始めた
「零寺君、それに書かれていることは全部君自身が書き、同じ忘れた君が来て必ずそのページで驚愕している、何回もだ」
「嘘だ……時間が繰り返しているだって?そんな非現実的な事があるのか?」
「零寺君、最初に学校に来た時にもう体験したんじゃないか?数学の小テスト」
「あ……」
「繰り返している理由は今だに分からない、けれど君は必ずこの日の最後に死んでいる」
「どうしてそんな事が分かるんですか!」
「今この内容を見て君は『嘘』と感じただろ、そして次に『非現実的』と考えた、なら次に考えるなら……」
「夢…ですか?」
「そう、夢から醒めるには?」
「頬を抓る?」
「一般的にはそうするだろう、けど君はサッカーボールを顔面に当たってる」
「じゃあこれは夢じゃない」
「そういう事だ、それに君はこの話を聞かずに逃げ出し屋上に行き……」
「飛び降りた……」
先生は頷いた
「な、何回ですか?」
「少なくとも十回」
俺は床に座り込んだ
「俺、どうすればいいんですか?」
「分からない、一日リセット状況ではあまり遠くへは行けない、私は車や飛行機で同じように繰り返している事を認識している人物を探そうとしたがどれも交通事故や墜落事故で私自身が死んだ、だからまともに動けない、むしろ君がいて助かった」
「十華や可美奈も知らないのか……」
「恐らくね」
「じゃあ今出来ることは…」
「私の予測では君が生きて次の日を迎えること、だと思う」
「そしたら前の繰り返しの時に死ぬ時間を書いて、次の繰り返しの時に予測して回避すれば行けるんじゃないんですか?」
「と、思ったんだけどそれが無理なんだよね」
「どういうことですか?」
「いや聞くと全てその時の記憶がすっぽりと抜けているらしくてね、なぜか思い出せないらしいの」
「そんな……」
「だから死因が分からい、時間も分からないようじゃ予測のしようがない」
「先生は何か起きないんですか?」
「私は起きないらしいのよ、ただ一日終えて寝たらまた今日、とゆう感じ」
するとチャイムが鳴り四限目が終わった
「もっと話したいけど君は戻らないと」
「いや話したいです!」
「ごめんね、それは絶対に無理なの」
「どうしてですか?」
俺がもどかしい気持ちのまま終わる話に苛立ちを覚えると保健室のドアが開いた
「零くん!!大丈夫?」
それは十華だった、十華は授業が終わってすぐに来たのか息切れしていた
「三嶋さん、廊下は走らない」
「す、すみません、零くんお昼食べよ!」
十華はズカズカと俺の元に来て腕を引っ張った
「零寺君、これは必ず起きる」
「止めても無理ですか?」
「無理、そしてノートは置いていきなさい」
「あ、はいすみません」
「ほら〜、早く〜〜」
十華は俺と先生の会話を無視してお昼ご飯の事しかかんがえてなかった
「わかった行くよ、先生俺はどうしたらいいですか?」
「さっきも言ったように生きて次の日を迎えることだと思うよ、じゃあバイバイ」
先生は笑って手を振って俺が十華に連れていかれるのを見ていた、俺は何とも言えない気持ちだった『余命宣告』、『見えない糸口』、『非現実的』それぞれの考えと気持ちがごちゃ混ぜの状態のまま教室に戻った




