二限目の異変
十華は両腕を上げてリラックスしていた
「一限終わり〜、そういえば零くん授業ほとんど聞き流している状態だったけど大丈夫?気分悪い?」
「いや悪くないよ、ただ考え事していただけ」
「そうなんだ、私ちょっとお手洗いに行ってくる」
「ああ、分かった」
十華は教室から出てトイレに向かった
俺は次の授業の準備で現代文の教科書とノートを机に出した
ーーー……た……から……ーーー
「ん?」
朝と同じで声が頭の中で響いた
しかし今回は頭痛は無く声だけが響いただけだった
「まただ、けど誰だ?」
教室の周りを見渡しても誰も俺に声をかけた人物はいない、みんなそれぞれ違う人と会話している
「(一体誰なんだ?それに声は霞みがかって男か女か分からない)」
頭の中で響く声はノイズ混じりで更に掠れかけか分からないが男か女の声の区別もつかなかった
「(……から?何かを伝えようとしてるのか?しかしそれだけじゃ分からない、本当に声なのか?それとも何かの病気?)」
俺は声が声では無く何かしらの病気とゆう可能性も考えて始めて少し怖くなった
「(とりあえず体には何も無いから大丈夫か…)」
頭に響く声は微かに聞こえるが体には何も異常はなかったため朝と同様特に気にもとめなかった
「ただいま〜」
「おかえり」
「ねぇねぇ、聞いてさっき友達と話していたら委員長の永田さんがたまたま通りかかって聞いたら次の授業の現代文は先生が休みだから自習だってよ、やったね」
「なっ!!それは本当か!?」
俺は思わず席から立ち上がって大声を上げた、教室にいたみんなは驚き俺の方を見た
「ちょ、ちょっと〜、零くん驚きすぎ、先生も休む時は休むよ〜」
「わ、悪いそうだよな、ハハッ……」
十華は俺が急に声を上げ立ち上がった事に驚き苦笑いしていた
から笑いしつつ俺は椅子に座り直した
「零くん、今日なんか変だよ本当に大丈夫?」
「大丈夫なのか?分からないけど大丈夫」
「それ本当に大丈夫?」
「いや分からない」
「何それ?」
「さぁ?」
十華は俺を心配していたが俺は何とか苦笑いで誤魔化した
二限目の現代文は自習となりそれぞれ自分のしたい科目を勉強していた、みんなが騒がないために自習担当の先生もいた、しかし担当の先生は定年近い年齢のため教卓の椅子に座って寝ていた
十華は教科書とノートと睨めっこしていた
俺は他と違うことをしていた、それは数学のノートに書いてあった『会話』を探していた
今だに信じられない事だったが一限目の事といい、二限目の現代文の先生が休みで自習まで当ててきた『会話』が他にもあるかもしれないと思い探した
「(あの『会話』は他に無いのか?どこにある)」
現代文のノートをいくら探しても見つからなかった
「(無い!無い!)」
必死になって探していた、心のどこかで見つけなくてはならないとゆう不思議な感覚に襲われていた
「(まさか!)」
一つの事に気づいた、それは至極単純な事だった
「(この授業は自習、すなわち何も無いから書かれてないのか?)」
そう自習であるから未来予測も何も、『何も無い』ため予測する事が無かった
俺はその事に気づき安堵の息をついた
「(ん?なんで俺は安心したんだ?何も安心する事なんてないはずなのに…)」
すると担当の先生が椅子から転げ落ちた
「うわっ!!」
椅子が倒れる音と先生が床に落ちる音が教室内に響いた
「あいたたた……」
「先生!大丈夫ですか?」
「先生!!」
教卓に近かった人達が先生を心配して近付いた
「あーうん、だいじょ……うっ!!」
先生が大丈夫と言い立ち上がろうとした時、先生が固まった
「マズイ、腰をやったかもしれん、すまんが保健室まで頼めるかい?」
「はい、肩を貸しますよ」
どうやら先生は落ちた拍子に腰を打ってしまい腰を悪くしてしまった
そして男子二人に肩を貸してもらい保健室に運ばれて行った
「大丈夫かな〜?」
「ありゃ〜、やっちまったな〜」
俺と十華は二人で話していた、周りも同じく心配した声があった
「歳がとるの怖いね〜」
「しょうがない、人生はそうゆうもんだから」
時間の進みは止められない、それは誰もが知っていること
「(ふむ、一応書いとくか、現代文のノートに)」
俺は不意に先生が椅子から転げ落ちた事を現代文のノートに書いた
特に意味は無い、ただ目の前で起きた出来事を書いただけだった




