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一限目の異変

 学校に着き自分達の教室に向かった俺と十華は同じ教室で席も隣で近かった

 教室内は数人ほど先に来ていた

  「ふ〜、朝から災難だった」

 席に座り大きく息を吐いた

  「ね〜、本当に大丈夫?」

 俺の隣に座って十華がまだ心配して聞いてきた

  「大丈夫大丈夫、もう痛みなんて無いから」

  「むぅ〜」

 俺は多少頭の痛みを心配していたが今はその痛みの欠片さえ無いため心配している気持ちの何処かに安心している気持ちもあった

  「まぁ、次痛んだら病院行くよ」

  「約束ね!」

  「分かった分かった」

  「全く〜……ん?その時計どうしたの?」

 十華が俺のヒビが入った腕時計に気づいた

  「ああこれか?なんか朝見たらヒビが入っていたんだよ原因が分からなくて、でもまた買うから」

  「ふ〜ん、なんか珍しいね」

  「何がだ?」

  「いや腕時計のガラス部分にヒビが入るなんてどうやったら入るのかな〜、なんて…」

  「んー確かに、でも付けたまま机の角とかにぶつけたのかな?いやでも記憶無いな〜、なんだろう」

  「零くんの事だからボケてやったのなら納得ね」

  「あ!、十華だってこの前に似たようなことをしただろ!」

  「覚えてませーん」

 十華はツーンとして明後日の方を向いた

  「こいつ……」

 俺は席を立ち上がり十華の後ろに回り込んだ

  「ーーこうしてやる」

 十華の両頬をつねりあげた

  「いふぁいいふぁい(痛い痛い)!!」

 腕をパタパタとさせて痛みを体現していた

  「全く……」

 俺は手を離して席に戻った、十華は赤くなった頬をさすっていた

  「一限目は数学だっけ?」

 気持ちを切り替えてカバンから教科書などを出しながら十華に聞いた

  「そうですよー」

 十華は答えたが少し怒り気味でまだ頬をさすっていた

  「ん?あれ?」

 数学の教科書とノートを出した時に何か既視感を覚えた

  「どうしたの?忘れ物?」

  「あ、いや違う、なんか前にも見たとゆうか同じ事を体験したような感覚だったからちょっとね」

  「あー、分かるあるよね〜、夢で見たものが時々、現実でも感じることが」

 確かに十華の言う通りだった、夢で見たものが現実でも起きるとゆう不思議な感覚、既視感

 でも俺が感じたのは既視感だが夢ではない、本当にあったかのような感覚

 そして何かを思い出し数学のノートの最後から数ページをめくった

  「は……?なんだよこれ」

 そこには『お前は何回目だ?』『分からないけど多分俺は35回目』『何回目か分からない、真実には辿り着かない』などといった意味不明な文字がノートの見開きで乱雑に書かれていた

  「ん?なになに?どうしたの?」

 十華が席から立って俺の隣に来ようとした

  「あーいや、なんでもない、ハハ」

 俺は笑って誤魔化した

  「ふ〜ん」

 十華は興味を無くして席を立って教室にいた女友達の所へ向かって行った

  「誰だよ、こんなイタズラ」

 俺は再度目を落としてノートを見た、文字は乱雑でまるで何かに気付き急いで書いたように見えた

  「『何回目?』どうゆう事だ?」

 訳の分からない『何回目』とゆう単語が多数あった、俺は次のページにも何か書かれていることに気付きページをめくった

『5月25日、一限目数学 小テスト……』

 と書かれていて、設問と答えが全部書いてあった

  「小テスト?そんな事は先生一回も告知してないぞ?」

 そう、一回も告知していないむしろ数学の先生は抜き打ちでテストをする先生では無かったからだ

 俺は誰かのイタズラだろ、と思いノートを閉じた


 朝のホームルームが終わり一限目が始まる時間になり数学の先生が入ってきて教卓の前に立った

  「えー、今日は抜き打ち小テストをやる」

 先生はそう言った瞬間に教室の全員が驚きどよめいた

  「そうだな、今まで無かったからビックリするだろうな、だから一、二分程度だけ教科書、ノートを見返していいぞ」

 するとみんな焦り始めて一斉に教科書、ノートを開いてテスト対策を始めた

  「ねぇねぇ、零くんテストだって大丈夫?」

  「あーうん、十華こそ大丈夫か?」

  「そ、そうだね」

 十華も焦って教科書とノートを開いて対策し始めた

 かくいう俺は焦りの前に唖然としていた

 数学のノートに書かれていた設問と答え、もしあれが今回のテストに出題されるならば満点は確実だろう答えが合っていればの話しだが、俺は面白半分で信じてみることにした、ノートを開き設問と答えが書いてあるページまでめくり覚えた

 問題は全部で十問、小テストであるため問題数も少なくさほど難しくはない、しかし好奇心からか不思議に書かれていた設問と答えが本当に出るのか気になり試してみることにした


  「よーしやるぞー、全員ノートと教科書をしまえー」

 約二分程経ち先生が全員に指示をした

 そして先生が前からプリントを配り、全員に配り終えた事を確認すると始め、と言った

  「マジかよ……」

 俺は配られたプリントを見た瞬間に思わず小声で言ってしまった

 全てあのノート通りに設問が書いてあった、俺は苦もなくノートの答え通りに書いた


 時間にして約二十分程度、先生が終了の合図をして小テストが終わった

 テストは回収されその日の帰り際に返す事となった、そして通常通りに授業が始まったと同時に十華が話しかけてきた

  「零くんテストどうだった?」

  「ん?ああ、まぁまぁかな〜」

 俺はノートの事を一応隠し話した

  「とか言って、本当はできているんでしょ」

  「うっ…」

 あながち間違いではないが全部合っているとも言えなかった

  「おーい、斎藤、三嶋〜、授業始まっているぞ〜」

 先生が俺たちが喋っている事に気付き注意をした

  「あ!はい、すみません」

  「すみませ〜ん」

 俺と十華は謝り急いで教科書とノートを開いた、みんなは俺たちを見てクスクスと笑っていたが特に気にも留めなかった

 しかし、異変はそれだけでは無かった

 俺はノートを開いたあとに先生が喋りながら板書して書き写そうとした時に気づいた

  「ん?」

 自分のノートと先生が板書している内容が一致していたのだ

  「え…?なんだこれ」

 思わず声が出てしまった

  「どうした斎藤、なにか俺間違った事書いたか?」

  「あ!いえいえ、なんでもないです、すみません」

  「そうか…」

 先生は特に怪しんだ様子もなく板書を続けた

  「どうしたの零くん」

 十華が心配をして顔をこちらに向けて小声で聞いてきた

  「いや大丈夫大丈夫」

  「そう?まぁ零くんが大丈夫て言うなら大丈夫だけど…」

 十華は顔を戻してノートを書き始めた、俺も自分のノートに目を戻した

 ノートには今日の分の板書が全て書かれ、今先生が黒板に書いてある字、数式、今日やる所、一字一句間違いも無く全て一緒だった

  「(なんで全て書いてあるんだ?それに最初の小テストの設問と答え、これは明らかにおかしい)」

 俺自身がおかしい訳ではない、今目の前にあるノートがおかしい

 まさに未来を見て書き残したかのように感じた

  「(またノートの端っこに何か書いてある)」

 ノートの右端の下の方に文字が書いてあった

  「(『これは二十回目で気付いた、ノートや物は干渉しないらしい』、どうゆう事だ?干渉?)」

 そう書かれており次のページを開いた

  「(『二十三回目だろう、腕時計の画面のガラスをワザとぶつけヒビを入れてみた』、は?)」

 俺は自分腕時計を見た、確かに朝と同様ヒビは入ったまま書かれていた事が起こっていた

  「(『三十三回目記憶が混濁してきた、頭が痛い』、『お前は誰だ?』、『これは三十五回目』)」

 ノートの文字が勝手にノートの中で会話が広げられていた、俺は訳も分からなかった

  「(『二限目は現代文、しかし先生は風邪で休みになり自習となる』、自習?そんな馬鹿な…)」

 ノートには次の授業の事が書いてあった、確かに次は現代文だった、しかし誰も現代文の先生が休みとは言っていなかった

  「(ふっ…、可美奈がいたずらでラクガキしたのか?それとも…)」

 十華を見た、十華が俺が教室で居なくなった時にいつの間にか書いたのか、と思った

 現代文の先生は休み、という馬鹿みたいな嘘情報を信じずにこのノートに書かれていた事に興味を無くした

  「(ま、よく分からないがノートと今日の黒板に書かれた事が一緒だから何も書かなくて大丈夫か)」

 俺はノートを開いたまま呆然と授業を聞き流した

 そしてチャイムが鳴り響き一限目の数学の授業が終わった

  「じゃあ小テストは今日の帰りに返すからあとで担任に渡しとく、終わり」

 先生はそう言って教室から出ていった

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