99回繰り返した時間
俺と可美奈は家の近くのファミレスでお昼を食べたあとに周辺を歩き回った
時刻は夕暮れ時を過ぎようとしていた
「そんじゃあ生徒に顔を合わせる前に帰るか」
「そうだね、あ、コンビニ寄ってもいい?」
「ああ、構わないぞ俺は外で待ってるから」
「うん!」
帰り道にコンビニに寄って可美奈が中で買い物してる中、俺は外で待っていた
「(さて最後は俺はどうゆう死に方をするんだ)」
記憶が蘇った今、俺は様々な死に方をした
だからどんな死に方でも不思議ではなかった
俺は色々と考えてる中で待っていると可美奈が買い物を終えて出てきた
「おまたせ〜」
「さて帰るか…」
二人で帰ろうとした時、一人の人物がコンビニから出てきた
「(ーーッ!お前は!)」
俺は覚えがあった、黒いパーカー姿の人物
時々、事故死ではない時に必ず俺の元に現れたその人物
「可美奈、悪い先に帰ってくれ」
「え?お兄ちゃん?」
俺は黒いパーカー姿の人物を止めようとした
「おい待ってくれ」
手を肩に置いた瞬間に黒いパーカー姿の人物は走り出した
「待て!」
「あっ!お兄ちゃん!」
可美奈の声が聞こえたが俺はその人物を追いかけるようにあとをつけた
必死に追いかけるも中々差が縮まらない、しかしパーカー姿の人物は急に足を止めた
「ハァハァ……やっと追いついた、おいお前話があるんだが…」
俺は息を切らしながら聞いた、しかしパーカー姿の人物は振り返らなかった
「おい、こっちをみ……」
肩に手置き無理矢理振り返らそうとしたがその時、俺の腹に痛みが走った
腹にはナイフが刺さっていた
「(お前やはり……)」
「目撃者は消えてもらう」
パーカー姿の人物は連続殺人犯だった、俺はその場に仰向けで倒れた
「そのまま死ね」
パーカー姿の人物は俺を刺したナイフでまたお腹を刺した
「ぐっ!」
「あと二回は刺す」
「(二回だと?ふざけんな我慢できねぇよ!)」
俺はナイフを止めようと手を出したがそれが仇となった、ナイフは腕を貫通しそのまま腹へと刺さった
「あがっ!」
痛みが二倍になった
「最後だ…」
パーカー姿の人物が最後にナイフを振り下ろしそうになった時
「お兄ちゃん!!」
可美奈が来た
「くそっ!」
パーカー姿の人物はそのまま走って逃げた、可美奈は俺の元に走ってきた
「お兄ちゃん!!」
「可美奈か…」
ナイフに刺された場所は出血が止まらず視界が霞んで可美奈の顔が良く見えなかった
「お兄ちゃん、嫌だよこんな別れ方……」
可美奈は泣き、涙が俺の顔に落ちた
「また……戻しちゃダメ、だから……」
「でも…」
「かみな……、お前は、ぜったいに幸せになれ……」
「もう幸せだよ、お兄ちゃんと過ごせた『5月25日』を99回過ごせたんだもん、一緒に登校して、一緒に学校でサボったり、一緒に学校を休んだり、一緒に家で過ごしたり、一緒に寝たり、一緒に……、一緒に……」
「99回か…、じゃあ『明日』は初めてか……ぜったいに、たのしい……だろうな………あ〜、おれも迎えたかった『あした』」
「お兄ちゃん……」
「……ん?」
「『明日を迎えさせる』こと出来なくてごめんね」
「ああ……だい……あ……」
最後に聞いた言葉だった、しかし俺はある事に気づいたが遅かった
意識は既に無く、俺は可美奈に伝える事が出来なかった




