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再びあの日へ

授業が終わり俺は真っ先に十華の前に立った

「どうしたの?零くん?」

「話がある」

俺は十華の腕を掴み教室から出て体育館倉庫まで連れていった

「な、何?零くん?」

「十華、話してくれ全部」

「何を?」

「コレだ」

俺はポケットから紙を取り出して十華に見せた

十華は一通り目を通した

「……ど、どうしてこれを?それよりも先生は?」

「先生は何故か何も覚えてなかった」

「どうして?」

「分からない、けど俺はコレを見つけた」

「じゃあどうするの?直接言うの?可美奈ちゃんに?」

「言うつもりだ、けど危険な感じがする」

「私もそう思う、だけどずっと時間が繰り返しているのよ」

「分かってるけど…」

「けど?」

「死にたくねぇよ俺は…」

「あ…、ごめん」

十華は繰り返している時間を進める事はどうゆうことか理解して謝った

「けどこれ以上は十華を苦しめられない」

「そんな事言っても零くん死んじゃうかもしれないんだよ」

「権限があるなら未来は変えられる、なら俺は可美奈に言って変えてもらう」

「そっかそれね」

「今すぐ……」

「私がどうしたの?」

倉庫から出て可美奈に会いに行こうとしたら既にそこには可美奈がいた

「か、可美奈…」

「ダメだよ三嶋さん、喋ったら…」

「ご、ごめんなさい」

「禁忌を犯したから罰ね」

可美奈がそう言った瞬間、俺の横から風を切る音が聞こえた

「とお……か?」

俺が振り返った先には十華の胴体と首が綺麗に真っ二つになっていた

「全く先生も三嶋さんも禁忌を破っちゃった」

何をしたか分からなかった、俺はその場から崩れ落ちた

「可美奈、どうしてこんな事をするんだ?」

「えっとね、それはねお兄ちゃんの幸せのため」

「幸せ?ふざけるな、俺は幸せじゃない」

「えー、だって時間を進めたらお兄ちゃん死んじゃうんだよ」

「未来は変えること出来るんじゃないのか?」

「出来ないよ」

「そんな嘘言って…」

「出来ない、むしろ未来が決まってる」

「どういう事だよ」

「お兄ちゃんの人生は今日『5月25日』で終わりなの」

「そんなの…」

「だから私はずっと、ずーとお兄ちゃんと居たい」

可美奈はそう言って俺に近づいて抱きついた

「可美奈…」

「だって……」

俺の頭に水が落ちた、それは可美奈が泣いていたからだ

「だってお兄ちゃんまで居なくなったら私はどうすればいいの?」

「(そうか、両親が居なくなったのは可美奈が小学生か、そして叔父と叔母は家にはいない、俺も中学時代は部活だったから一人寂しかったのか…)」

俺は可美奈が今まで一人寂しく抱え込んでいた事に気づかなかった

「嫌だよお兄ちゃんまで居なくなるのは」

「可美奈…」

「だからずっと居るこの時間の中で」

「ダメだ!」

「どうして?」

「時間は常に進むものだ、例え後悔や悲しい事があっても止めてはいけない」

「嫌だ!絶対に嫌」

「可美奈!」

「お兄ちゃんは死んでもいいの?」

「俺は……」

俺は正直死ぬのは嫌だ怖い、だけどここでずっと同じ時間を過ごしてるだけじゃ何も変わらない

「俺は大丈夫だ、だから…」

「お兄ちゃん…」

「可美奈?」

可美奈は俺から離れて立ち上がった

「お兄ちゃんもういいよ」

「じゃあ…」

「記憶を消して永遠にずっと、ずーとこの時間の中で生きよう、例えば学校に一緒に登校、例えば学校を休んで遊びに行ったり、例えば家の中でずっと遊んだり、例えば………」

可美奈は壊れたかのようにずっと色々な事を言っていた

「行くところは限られるけどやりたい事、やる事はたくさんあるよ、だからねお兄ちゃん…」

「可美奈、分かった」

俺は答えを出すしかなかった、身を犠牲にしてもこの答えしかなかった

「お兄ちゃん…」

「もう本当に終わりにしよう、俺は死んで可美奈は一人で生きる、十華は戻して二人で一緒に学校に行けばいい、だから俺が居なくても大丈夫、だろ」

「………そんな事は絶対にさせない、『必ず生きて明日を迎えさせる』それが私の願い、だからまた記憶を消すね、それまでは私が必ず見つけるから、おやすみ…」

「まっ……」

可美奈が言って俺が止めようとした時には遅かった、俺が見た景色は一瞬にして逆さまになり地面に落ちたと思ったら横には俺の胴体があった、そして俺の意識は消えた

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