アノ人
俺は学校に向かっていた
けれど時間は既に一限目の途中だった
「(行きたくはないけど行かないと)」
足取りは重く、気分も上がらずとても落ち込んでいた
「(教室には行かない)」
学校に着くと俺は教室には行かずに保健室に向かった
「おはようございます…」
「あら、おはようどうしたのかしら朝早くから」
保健の先生は椅子を保健室に入ってきた俺の方に向き笑顔で言った
「先生、『5月25日』繰り返していることは覚えていますか?」
「あら、今回は覚えていたのね」
「なら教えてください」
「何を?」
「三嶋…、三嶋 十華は『クロ』ですか?『シロ』ですか?」
「あー……、そのことね」
保健の先生は立ち上がり俺に近づいてきた
「何か知っていますか?」
「その前にドアを閉めてくれるかしら?」
「あ、はい…」
振り返りドアを閉めて先生の方に振り返したらすぐ目の前に先生の顔があった
「うわっ!」
俺はビックリして閉めたドアを背にぶつかってしまった
先生は左手で俺の顎を上げた
「あ、あの…、先生?」
「三嶋さんは『シロ』でもあり『クロ』でもあるわ」
「え?」
「私からはこれ以上は言えない、アノ人から言われてるから」
「アノ人?」
「ちょっと喋りすぎちゃった、約九十何回目だろう、やっと君は真実に近づけた、でもまだ遠い」
先生は手を離して振り返って椅子に座った
「ちょっと、先生?」
俺が色々と聞こうとしたが先生は言葉を止めなかった
「君はもう帰るといい、じきにアノ人が来る」
「だからアノ人て誰ですか?」
「まだ知らなくていい、早く帰るんだ」
「先生!」
どうしても教えない先生に我慢の限界で先生に近づこうとした時、空気が急激に重くなった
重力などと言ったものは変動してないが俺が一歩踏み出そうとしてもなかなか進めなく気持ち悪さまで込み上げてきた
「マズい…、まだ会わせる訳には行かない、それにまだ早すぎる」
「会わせる、て誰ですか?アノ人ですか?」
「零寺君、これを聞いたら帰ってくれるかい?」
「何をです?」
「これから君はーーーーーーを必ずやるんだ」
「……は?なんだよそれ…」
「早く!」
「わ、分かりました、帰ります!」
俺は重々しい空気の中、保健室のドアを開けその場から出た
「軽い、行ける!」
保健室を出るとさっきまで中にいた時の重々しい空気は無く普通だった
俺は走り出して学校を出ていった
「やっと行ってくれたか…」
「先生、どうして言ってしまったんですか?」
保健室に入ってきたのはーーーーだった
「ああ、アナタね」
「まだ足りないのに…」
「足りないと言っても必ず終わりは来るものよ」
「やだ、終わりたくはない」
「そんな事言っても零寺君は真実に近づいてる」
「じゃあまた記憶を消す」
「そんな事を何回もしたらいつか心が壊れてしまうよ」
「じゃあどうしたらいい?」
「もう運命に従うしかないんじゃないかな?」
「やだ、ダメ、運命を変える」
「はぁ〜、アナタも懲りないね」
「あ、そうだ先生」
「ん?」
「先生には感謝してるけど禁忌を犯したから罰を与えるね」
「あー、そっか喋り過ぎたもんな、受けますよ罰」
「………じゃあね」
ーーーーーはそう言うと先生の首を斬った




