異変
ーーー5月25日(水曜日)ーーー
「嘘だろ……」
俺はその場に崩れ落ちた
「日付は跨いでいた、なのになぜ?」
色々と考えていた所に部屋のドアがノックされた
「お兄ちゃん?朝だよ起きて」
「(可美奈!)」
俺は慌てて部屋のドアを開けた
「うわっ!ビックリした」
部屋の外にいた可美奈は既に制服姿でバッグを持っていた
「悪い、いやそうじゃなくて……」
「うん?」
「えっと〜…、そのなんだ…」
可美奈にいきなり『昨日』俺と寝た事を聞こうとしたが『5月24日』は一緒には寝てない、言わば『昨日』ではなく『今日の夜』に可美奈と寝た、しかし俺は聞こうにも聞けなかった
「ごめん、なんでもない」
「あ、そうなの…、じゃあ私は朝練に行くね」
「部活か、朝ごはんは?」
「いいや、じゃあいってきます」
「ああ、いってらっしゃい」
可美奈は早々と玄関に向かい家から出て学校に向かった
「……ん?おかしい…」
一つ不可解な点が浮かんだ
「可美奈、朝ごはん食べないで行った…、確か前の時は朝ごはんを食べてから俺と入れ違いで行ったよな、あれ?おかしい」
『前の5月25日』は朝、可美奈が起こしに来て可美奈が先に朝ごはんを食べて俺が制服に着替え終わってリビングに入ったあとに可美奈が部活に向かっていた
しかし今回は可美奈が起こしに来たあとにすぐに部活に行ってしまった
明らかに前とは違った
「もしかして…」
俺は部屋に戻り自分のカバンから現代文のノートを取り出しページをめくった
「やっぱり、書いてある」
そこには俺が『前の5月25日』に書いた、自習担当の先生が眠っている最中に椅子から転げ落ち腰を打ち保健室に運ばれる事が書いてあった
「てことは本当に『繰り返している』!?」
確信した、『5月25日(水曜日)』が繰り返している事に
「でもなんでだ、俺は昨日確実に夜を迎え、日を跨いでいたはず…、もしかして十二時を超えてなかった?いや、いまはそんな事はいい、俺は昨日の夜……よる……、何で死んだ?」
俺は『前の5月25日』の夜は可美奈が部屋に来て一緒に寝て俺も眠りについたそしてそのあと起きた所まで覚えていたがそのあと何をしたのか覚えていない
「何をしたんだっけ?起きたあとに何をした?、再び寝た?リビングに行った?それとも……」
必死になって『前の5月25日』の夜にあった事を思い出そうとするが何故かその夜に一度起きた事が思い出せない
「くそっ!!」
机を思いっきり叩いた
「……落ち着け、どうすればいい考えろ……」
俺は深呼吸しながら目を閉じて考えた
「(どうすれば抜け出せる、いや何をすればいい、考えろ…)」
考えてる最中、家のインターホンが鳴った
「誰だ?」
俺は部屋から出て玄関に向かった
「はい、誰ですか?」
玄関の外、インターホンを鳴らした人物を誰か聞いた
「あ、零くんおはよう、朝だよ、学校行こ」
インターホンを鳴らしたのは十華だった
「十華か、おはよう早くないか?まだ……」
時間を確認しようとした時、俺は思い出した
十華が俺を迎えに来る時間は早いのと、『前の5月25』にあった泣いていた事を
「十華、悪い!」
「え!?な、なに!」
俺は玄関のドアを開けて十華を引っ張り家の中にいれた
「きゃっ!」
十華は俺が勢いよく引っ張ったせいで玄関で倒れて尻もちをついてしまった
「わ、悪い」
「ちょっと何するの、いたたた…」
十華はゆっくりと立ち上がりお尻を軽くさすったあとにスカートの裾を払った
「もう、朝から何よ!」
「十華に聞きたい事があるんだ…」
「何を?」
十華は頬を膨らませ少し怒っていた
「昨日、いや『5月25』の六限目の始まる前に階段の踊り場に連れて行って俺が帰ろうとした時になぜ止めた?理由が聞きたい」
俺はハッキリと言った『前の5月25日』に六限目が始まる前に必死になって止めた理由を十華は何か知ってると思い聞いた
「………」
十華は驚いた顔で俺を見ていた
「何か知ってるんだろ十華」
「プッ、アハハ」
すると十華は笑いだした
「ど、どうした?」
「零くんこそどうしたの?『5月25』?それって今日だよね?六限目が始まる前に私が零くんが帰るところ止める?何それ、予言か何か?零くん面白い事言うね」
十華は笑っていた
「十華!聞いてくれ!」
俺は笑っている十華の両肩を掴み怒鳴った
「急に怖い顔してどうしたの?」
「十華、頼む知ってる事があったら教えてくれ…、お願いだから…」
「………」
十華は笑っていた顔から悲しい顔に変わった
「ごめん……」
十華はそう言い残して俺の両手を振りほどき玄関から出ていった
俺はその場に座り込んだ
「何なんだよ、ごめん、て……」
大きなため息をはいた




