《ビボ肉じゅるり☆④》
空間を跳躍した俺たちが降り立った場所は、湿度が高く、薄い霧が視界を遮る薄暗い森だった。
不気味な鳥の鳴き声がもはや鉄板。苦笑し肩をすくめた。
「獲物の縄張りはここから更に東に行った沼野周辺だ」
マーヴィックが説明し
「行こう」
アルドラが行動を促した。
人間種の手が入っていない森林の進行スピードは極端に低下する。
がしかし距離的に短かった為、程なく目的地に到着する事が出来た。
腰丈の低木に身を潜め、沼の様子を伺う事数刻。
一陣の風が吹き抜け、立ち込めていた霧が晴れる!
まるで滑らかな白絹のヴェールを剥がされ、スゥ…ッと姿を現したのは3メートルを超える巨大な球体だった。
恐ろしい巨大な口と眼球………?
「んっ?」
薄目!!!???
時折、後ろにひっくり返りそうになっては慌てて正面に向き直り、
左右にブルブル震える動作。
ふわふわと少し移動、また徐々に薄目………
それを繰り返している。
どう見ても…挙動が「寝落ち」のそれである。
5人全員、呆れて口があんぐり開きっぱなしになっている。
「こんな状態…どの文献にも載ってない情報です…」
エヴァンスが動揺している。
「あいつは魔力に反応してしまうので、支援・強化術は施せないぞ。
アルドラ、どうする?」
冷静を取り戻したマーヴィックが尋ねた。
「よし…、次にひっくり返った瞬間に襲いかかる」
(掴み辛いわーーっ!!!そのふんわりタイミングー!!)
と大声でツッコミを入れるところだった…危ない危ない。
案の定
「今だ!!」
とアルドラが飛び出した瞬間、全員、「えっ!?」と言う困惑の表情で慌てて追いかけた。
ビボルダーに向かって大きくジャンプしながらマントを大袈裟に脱衣!!
「貴様は愚かにも弱点丸出しなのだ!!きえぇぇえぇああぁぁぁっ!!!」
美しいフォルム(ほぼ裸)の飛び蹴りは、不意を打たれ一瞬硬直したビボルダーの眼球を直撃!!!
ズボぁ!!
巨大な目玉を蹴り潰した勢い余り、アルドラは全身がビボルダーの体内に埋没した!
「…えええぇえーーー!!??」
残された4人は一瞬間を置いてから絶叫した。