《ビボ肉じゅるり☆②》
この屋敷には上階に応接室がある。
既に2人の来客が簡素なソファーに座していた。
「遅いぞ」
イライラを隠さず、アルドラに悪態をつく男は、何度かここに訪れているアルドラの旧友、マーヴィックだ。
しかもこの国の宮廷魔術師長!
偉いお方だ。
「おお、マー君」
アルドラが友の来訪を喜ぶ。
「その名で呼ぶな!!!」
益々イライラがつのる。
一緒に来ている男性は初めて見る顔だが、マーヴィックと同じ紋章のローブを羽織っているので同胞で間違いないだろう。
極度に怯えている。
「彼はエヴァンス。此処に来るたびに体調が悪くなるので、以後を任せようと思って同席させている」
顔は青ざめ、脂汗が噴き出している。
どういう説明をされて来たのだろう…
「で、用件は何だ?」
アルドラが正面のソファーにドカッと腰かける。
(ひいいいいぃぃぃぃっ!!!!)
エヴァンスの心の悲鳴…俺には分かるぞ!ちゃんと伝わってるぞ!
何せ股間を隠す最低限の布しか纏わない、ほぼ裸の筋肉野郎が真正面に座ったのだから。
明らかに目のやり場に困っている。
「厄介なモンスターが現れた。既に有能な魔導士が5名やられている」
来訪の事情を説明するマーヴィック。
俺は、客人2人に茶を出した。
それを予想していなかったエヴァンスが必要以上にビクッと驚いていた。
「敵、正体、何だ?」
セスが単刀直入に聞いた。
「ビボルダーだ」
その場の空気が一瞬凍り付いた。
本来ファンタジー分野の一般的な名称と変えまして、あえて
ビ「ボ」ルダー
で記載しています。
ご承知おきください。<m(__)m>