《ビボ肉じゅるり☆①》
「ハァ、…ハァ、…ハァ、………」
息の荒いアルドラ。
呼吸を止めて1秒、真剣な眼差しで俺に飛び掛かってくる!
「せいやぁっ!!」
渾身の肘撃ちが俺の顎を捉える。
(大気を裂く前腕筋)
ぬるんッ!
NOダメージ。
「とりゃぁ!!!」
上段回し蹴りが俺の後頭部を直撃する。
(岩の様な大腿四頭筋)
つるりんッ!
無論、無傷。
「ぐぬぅぅ…やはりダメか…」
悔しそうに床に拳を叩きつけるアルドラ。
地下訓練室で汗だくの裸の男2人。
「あ、あのぅ、、、何も裸でなくても、、、」
「駄目だ!不純物の干渉が純粋な観測結果を阻害する可能性が否定できない」
うん、バカの理論だ。
そんな強烈な打撃の応酬が、かれこれ1時間続いている。
これも週1ペースの定例行事なので慣れて来た…いや、一向に慣れはしない。
1時間も密室でしっとりと肌を重ね合うのだから…しかも裸で。
それもこれも、俺が持つレアスキル
【物理耐性100%】
が悪夢の元凶なのだ…。
───そう。
このレアスキルのお陰で前回、崖から落ちても無傷で居られたのだ。
幼少の頃から「俺って何だか頑丈だなぁ…」とは思っていたが、まさかこんな展開になろうとは…
溜息をついていると、獣人セスが現れ、アルドラに衣類を投げつけた。
「アルドラ、客人だ」
おや?と言う顔をすると、アルドラはマントを羽織り、俺とセスと共に客間へと向かった。