「コカ肉こそ至高③」
「先手必勝ぉぉぉっ!!、せいやぁぁぁあああ!!!」
コカトリスの柔らかい脇腹に正拳突きをぶちかます。
(無駄に脈打つ大殿筋)
「コケーっ!!」
驚き足元がふらつくモンスター。
すかさず追い打ちにジャンプからの回転踵落とし!
(キレッキレのハムストリングス)
頭部に大打撃を食らったコカトリスはたまらず脳震盪を起こしダウン。
必殺の石化ブレスを吐く暇もなく、セスが自慢の爪で止めを刺した。
俺は毎度の如く、倒されたモンスターを食用の肉部分、売買用の貴重部位、不必要な部位へ捌こうとしたその時!
崖下からドスドスドスと地響きが聞こえ、その音は徐々に接近していた。
どう見ても先ほど森で見かけたデブコカトリスが怒り狂っている。
ハッと何かを悟ったように周囲を改めて確認すると、
岩陰に巨大な鳥の巣があり、そこには3匹のガマガエルが3つの卵を温めていた。
「ゲコっ」
無駄に可愛く鳴くカエルに一瞬苛立つ。
「まずい」
セスが俺たちに迫る危機を伝えたが、雄鶏コカトリスの事ではなく、
足元を指さした。
「クケぇ~~~~~っ!!!」
ドスっ、ドス!っ、ドス!!っ、ドスンっ、ドスン!!!
湖に突き出た崖は、超重量のモンスターの体重を支え切れなかった。
当然のように走る亀裂。
「な!?っ」
落下は免れないと悟ったアルドラが浮遊魔法を3人にかけようと詠唱を始めるが、
何故かデブコカトリスはアルドラへまっしぐら。
ビシビシと嘴で荒々しく突きまくり、足の爪で飛び掛かった。
「ぐわっ!!!やめろ!!詠唱できぬではないか!!」
翼をかき分けもがく半裸の筋肉男。
セスが助けに入ろうとした瞬間、崖が崩れた。
「ぎゃあああ!、お、俺は泳げないんだぁ~!!」
情けない悲鳴を上げるアルドラ。
「〇〇ピースかよ!、ムキムキの実かよ!!!」
っと思わず突っ込む。
落下するモンスターと、筋肉と獣人と俺。
ざぶぅぅぅぅん
巨大な水柱を立てて奴らは湖に落ちた。
俺はと言うと、崖上のバトルに巻き込まれないよう無意識に距離をとった為か、
ギリギリ下は岩場。
この高さでは勿論、助からない。
俺は、、、即死した。