{故郷は弱肉強食④}
翌日。
「いや~、そろそろご注文頂けると思って在庫を確保していたんです~!良かった~」
とニコニコの笑顔で両手に大きなトランクケースを下げ、現れたのはエヴァンスだった。
「なるほど」
閃いたように拳をポンと叩くアルドラ。
「先日の石化解除ポーションの出来と言い、納得がいったぞ。
ノミダニキ・エール錠Ωの製作者はお主だったのかエヴァンス君」
「えへへ~」
得意げな表情が愛らしい。
「代金は先日のビボルダー討伐及び魔導士救出作戦の報酬とほぼ同じ額だったので相殺しておきましたー♪」
「お、おう、、、」
一瞬挙動不審になるアルドラ
エヴァンスはホンワカした雰囲気とは裏腹に、意外と辛辣な発言を繰り出す。
「私も処方環境を把握したいので今回はご同行させていただいても宜しいでしょうか?」
「勿論だ」
エヴァンスの提案を許可するアルドラ。
「では向かおうか。セス、クリフも旅支度を。1週間はかかるぞ」
「わかった」
セスは快諾したが、俺は実態がイマイチ把握できないでいたら、アルドラが目的地を伝えた。
「セスと俺の故郷に行くぞ。クリフも初めてだったな。いい所だぞ」
ふ~ん…、まぁ、少しは気になるかも。
各自10分程で身支度を整え、最上階の鏡の前に集まった。
(この間にセスはノミダニキ・エール錠Ωを1錠内服した)
・・・・・鏡はキュマゾンを表示してた。
・・・・・沈黙が流れる。
明らかに操作して欲しがってるだろっ!!!!
「転移だ鏡」
「・・・・・・・・チッ」
残念な気持ちを素直に露呈する舌打ち。
かくして4人パーティは古代の遺物【夢幻の綸溝】の力を開放し、
目的地へと転移を開始した。




